アフターコロナのオフィス論。 オフィス不要時代に生き残る不動産の考え方とカスタマーサクセス【導入編】

前回の記事を読んでくださった方、ありがとうございました。
前回は組織論でしたが、今回は不動産、特にオフィスについてお話ししたいと思います。
私がnoteに以前書いていた通り、「オフィス不要論」という考え方にメディアも気が付き始め、新聞やネット記事で目につくようになってきました。

オフィスの不動産オーナーやオフィス不動産関係者の皆さんは、オフィス不要論という言葉に今後の不安を抱えていらっしゃる方も少なくないと思います。
そんな方に安心していただくため、今回の記事を書きます。

現在、都内を中心にコロナによる自粛に伴い、企業のテレワーク化が進んでいます。
この記事を執筆中にもTwitter社が、希望者には「永久」に在宅勤務を許可しました。

「いやいや、外資系の企業だからそんなトリッキーな働き方許されるんでしょ?」
そう思われる方も少なくないと思います。
確かに、Twitter社のような外資系でアプリ開発などをメインにしている企業は今のスタートアップブームの走りとも言うべき企業であり、枠に捕らわれない考え方を持っている経営陣が多いことも確かです。
しかし、以下の記事でも執筆した通り、日本国内のベンチャー・スタートアップ企業でも、テレワークに伴うオフィスのバーチャル化(社員数よりも小規模なオフィスを構える形)が進んでいます。

そう、望むと望まざるとに関わらず、10年後、いや5年後、日本のほとんどの企業も社員が全員入るようなオフィスは捨てて、必要最低限のスペース分しかオフィスを借りないという時代が必ず来るでしょう。

なぜなら、テレワークで仕事が支障なく回るほど、現代はITサービスが充実しているからです。
そうなると、社員が全員入るほどの大きなオフィスはただの固定費の塊
登記住所確保のためにオフィスという住所が必要なだけで、それも現代であればコワーキングオフィスなどを利用することで月数万円で登記も可能になり、書類等の保管も必要な分だけ貸倉庫サービスを使えば事足りる。

もはや現代は、オフィスがなくても仕事が十分にできる時代になりました。
(オフィスを利用しない企業が増えれば、法律が改正されて会社の登記に住所は必要なくなるかもしれないし、書類も完全にデータ管理で良くなるかもしれません。)

では、そんな時代に生き残るオフィスとはどのようなものなのか。
どんな考え方が、生き残れるオフィスを作れるのか。
今回はこの2点ついて、書いていきます。

そして、今回のテーマはオフィス編や不動産仲介業編など、シリーズで書いていこうと思っています。
本記事はその導入編になっております。
どうぞ、気楽にお読みください。

1.生き残るオフィスとは

先程から述べている通り、従来のオフィスはこのままでは必要なくなります。
なぜなら、先述の通りオフィスの物理的な機能を代替できるサービスが溢れているためです。
では、今後の「働き方」がテレワークを中心とするようになったとき、それでも借りたいと思われるオフィスはどのようなものなのでしょう。

これは、そのオフィスがあるエリアや物件の形などにもよって答えが変わるので具体的に、「この形が答えだ!!」
ということは言えません。
ただ、どのオフィスにも共通する「考え方」があります。

それは、お客様の課題を解決し、お客様に成功していただくことを目的にした「カスタマーサクセス」という考え方です。

要するに、入居企業が困っていることを解決したり、喜んでくれることを先回りして行うことで、入居企業の成功や成長を手助けする、という考え方です。
これはIT業界、とりわけSaaSサービスという月額制サービス(サブスクモデル)でよく用いられる考え方です。
(気になる方は、最後にわかりやすい書籍のURLを記載しますので、ご参照ください)

残念ながら今まで常識とされてきた、設備や不動産の強みだけで勝負するという時代は終わり、オフィス不動産にはもう一歩踏み込んだ、入居企業の成功を手助けするサービスが必要になります。

以上のように、withコロナ、アフターコロナを生き残るオフィスとは、カスタマーサクセスという考え方を取り入れたオフィスとなります。
では、カスタマーサクセスを取り入れたオフィスとは、どのようなものになるのでしょうか。

2.生き残るオフィスを作るための考え方

「でも、入居企業が困ってることなんて、わからないよ!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
決して難しく考える必要はありません。
あくまでも、難しい技術が必要になるのではなく、不動産オーナーとして、貸主として、入居者(入居企業)と向き合おうとする気持ちがあれば、必ず見えてきます。

では入居者と向き合えていないオフィスとはどのようなものでしょうか。

例えば、最近は内装や家具を貸主側で整えておく、マンスリーマンションのようなオフィスが増えてきました。
これはとても使いやすく、ゼロから内装を造るよりも初期コストを抑えられ、入居も比較的早く行えます。
(その分月々の家賃は高めに設定してあります)

しかし、こういったオフィスを明日から入居して即仕事が始められる物件という謳い文句で打ち出しているケースをたまに見ます。
明日から入居はできるかもしれませんが、本当に明日から即仕事を始められるのでしょうか。
多くの物件では難しいでしょう。

なぜなら、一般的に現代の企業は、インターネットが無いと仕事にならないところがほとんどだからです。
では、住居のように最初から「〇〇光」のような月数千円の家庭用インターネット回線をとりあえず引いておけばよいのでしょうか。
もちろん、そんな訳はありません。
入居してくる企業が、webアプリなどをメインビジネスにしている企業であれば、間違いなく家庭用のインターネット回線では仕事になりません。
しっかりとした法人回線を引くべきです。

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※法人回線の費用は、安くても月に2万円はかかります。
また、引くのに2~3ヶ月かかるということもザラにあります。
(NTTの法人回線ならもっと早く引ける場合もありますが、月々のコストが少々割高になります。)
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この、「入居企業の困りそうなポイントを先回りして解決しようとする姿勢」が、入居企業には確実に刺さるのです。
こういった姿勢で入居企業がどうしたら成功するか、常にそこを考えていればこそ、今後のリモートワークが増えていくwithコロナ、アフターコロナ時代に、さらに賃料を上げていけるオフィスを作っていけるのです。
なぜなら、入居企業はお金をせっかく払うなら、自分たちのビジネスのプラスになるところに入居したいと考えるからです。

結果として、入居企業の売り上げが上がれば、たとえ入居企業が退去した後も、その物件が空き続けることはなくなるでしょう。
口コミで次から次へと埋まっていきます。

こうして生まれる、真に入居者のことを考え、成長と成功を手助けできるオフィスこそ、時間はかかるし手間もかかりますが、withコロナ、アフターコロナ時代も生き残るカスタマーサクセスなオフィスとなります。
もう、不動産屋さんに任せておけば埋めてくれるという時代は終わりました。

また、仲介業や管理業の不動産屋さんも、オーナーに代わって入居者の課題のリサーチや課題解決策の提案ができる様な「カスタマーサクセスな不動産屋さん」にならなといけません。
オフィス情報を握って営業をかけることしかできないようでは、今後生き残っていけないでしょう。
これからの不動産市場は、「オフィスは小さくて良くなる」分、入居者に対してオフィスの供給のほうが多くなります。
単なるマッチング機能や建物・入居者の管理機能しか持ち合わせない不動産屋さんは淘汰されていってしまうでしょう。

オフィス、不動産屋さん、総じて入居企業と誠実に向き合い 、彼らの課題を知ることが、生き残るオフィスを作るための考え方になります。

3.まとめ


・今後生き残るオフィスとは
カスタマーサクセスなオフィス

・どんな考え方が、生き残れるオフィスを作れるのか
入居企業と誠実に向き合い 、彼らの課題を知ること

以上から、好立地にあるだけの物件がもはや人気物件では無いということは、おわかりいただけたかと思います。
入居されているお客様にどれだけプラスを与えられるか。
オフィスも、「タダの箱」としてあるのではなく、入居されているお客様にを成功に導く、「カスタマーサクセスなオフィス」というサービスになります。
そのサービスの作り方は、入居企業と誠実に向き合い 、彼らの課題を知ること。
そして、彼らと信頼を重ねること。
この信頼貯金は、一時の入居者とのものだけではなく、その後の入居者へと引き継がれていく資産になっていきます。

4.最後に

これからのwithコロナ、アフターコロナ時代に不安を抱えている不動産オーナー、不動産関係者の皆さん。
これからの時代は、不動産の絶滅時代が来るわけではありません。
より、入居者のことを考えている物件生き残る時代が来るというだけのことです。
これは、オフィスだけでなく、住居も店舗にも同じことが言えます。

悩んだり、不安に思う必要はありません。
私も微力ながら、どんな物件が入居者の課題を解決し、成功させられるのか、カスタマーサクセスできるのか、一緒に考えていきます。
ぜひ困られている不動産関係者の方は、ご連絡ください。

そして、こちらのnoteでは前述の通り、定期的にカスタマーサクセスな不動産について、考え方や具体例などを発信していきます。

日本の全ての経済活動を支えているのは、不動産オーナーと不動産関係者の皆さんです。
一緒に新しい不動産の時代を切り開いていきましょう!


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