投球障害肩に必要な”大円筋・広背筋”のエコー観察
C-I Baseballの小林弘幸です。
今月で私たちの活動も3シーズン目を迎えました。
これまで多くの方々にいつもマガジンの記事をお読みいただきありがとうございます!
C-I Baseball3シーズン目は
「実践力」をテーマにライター一同noteを配信していきます!
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「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!
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今シーズンの私が担当する配信では、「エコー」を通じて
肩関節の解剖とそれに対する実際のアプローチを学んでいこうという
コンセプトの元、Noteを書かせていただきます。
元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
野球選手の投球障害肩を診てきました。
投球障害肩になってしまうと、
『痛くて投げられない』
『何をしても良くならない』
『自分のプレーに集中できない』
『野球が楽しくない』
と悪循環になってしまいます。
私はそのような投球【障害】肩を持った選手に対し、
エコーを通じて、細かな解剖を理解しアプローチすることで
治療効果が奏功することを経験しました。
もちろんそれだけでは解決しないことも多数ありますが、
ケガからの復帰をするということを考えると、
細かな解剖を学んでいくということは必要なのではないかと考えています。
解剖書で見る肩関節だけではなく、
エコーを通じて、3次元的に捉える肩関節を一緒に学んでいけたらと思います。
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●投球障害肩に必要な”大円筋・広背筋”のエコー観察
■投球障害肩における大円筋・広背筋
大円筋と広背筋は、比較的イメージの付きやすい、わかりやすい筋かと思います。
大円筋は回旋筋腱板には属さず、
筋腹の大きい筋です。
また、広背筋との共同腱を持ち、
お互いに同様な作用を持っていると考えられます。
投球動作の中で考えるのであれば、
Acceleration期以降で作用します。
Acceleration~BRで肩関節内旋の際には求心性収縮、
BRからFollow-throughの際は遠心性収縮で作用すると考えられます。
特に、筋の表面積が大きいく広背筋は、
遠心性収縮で重要な役割を果たしていると考えています。
理由は、野球選手の筋の非対称性を見てみると、
広背筋部分は投球側の方が筋厚が厚いという結果になっているからです。
さらに、
広背筋と大殿筋は、筋連結でお互いに共同して作用すると考えられます。
この連結の作用によって、BR~Follow-throughの
遠心性収縮が作用すると考えています。
広背筋の重要な理由は解剖学的視点からもあります。
その話は付着部の章で後述していきたいと思います。
■大円筋・広背筋の解剖
①支配神経:肩甲下神経(中・下肩甲下神経)
大円筋:下肩甲下神経(C6~C7)
広背筋:(中肩甲下神経→)胸背神経(C6~C8)
肩甲下神経は、上、中、下に分かれます。
上肩甲下神経は、肩甲下筋上部に
中肩甲下神経は、胸背神経から広背筋に
下肩甲下神経は、肩甲下筋下部と大円筋を支配します。
後神経束から3本分岐します。
後神経束は、腕神経叢の中では最深層(最背側)にあるので、
前胸部や腋窩の軟部組織が硬いことで圧迫ストレスが受けやすい部分とも考えられます。
周囲にある軟部組織のコンディショニングは非常に重要であると考えます。
また、関節包に対する神経支配として、
(下)肩甲下神経は関節包の
前方に位置します。
肩の前方痛と外旋制限があるときは
大円筋や肩甲下筋がタイトネスになっていることが多くあると思います。
②神経の走行と分岐
神経の走行を知ることで、アプローチすべき部位が変わってきます。
まず、
胸背神経は中肩甲下神経が末梢へ走行するにつれて名称が変更します。
胸背神経は、その分岐を2つもしくは、3つに分岐させて、
広背筋の筋内へと侵入していきます。
さらに重要なことは、近位の分岐部です。
広背筋を9分割し、分岐部を調べると、
近位中央部から分岐していることがわかります。
このA2にあたる部分へアプローチすることで、
広背筋へより効率的に作用させることができると考えています。
より背中側の、Bの位置になると、
筋内へ神経が侵入してしまうので、エコーでの観察も難しくなり、
徒手療法のアプローチも効果が薄れてしまうと考えています。
非常に重要な神経の分岐に関する解剖かと思います。
③筋の付着部
大円筋と広背筋は、共同腱となり同部位に付着する。
上記のように思われていますが、
正確には異なります。
この少しの差が、大円筋と広背筋のもつ作用の意味合いが異なってくると感じています。
詳細な解剖を見てみると、
大円筋よりも広背筋の方がより近位外側へ付着します。
(以下、解剖の模式図と作用の意味)
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