AIが迫り来る『現在』を書き残せる僕たちは、パイオニアだと思う

Cloude3の登場で「本格的にAIがライターに置き換わる」と話題になっています。これまでと違うのは、長らく執筆や編集に関わってきた達人たちがざわざわしていること。現役のプロに認められたのですから危機感もこれまで以上に高まったといえるでしょう。

ChatGPTがサービスを開始してから1年と数ヶ月、ライターがAI時代を生き抜くには何をすべきかというテーマの注目度は高まる一方です。しかしそのテーマに明確な答えは出ていません。「AIはまだ⚪︎⚪︎ができない」「AIの書く文章には面白みがない」「私は人間の文が読みたい」など多くの意見を見かけますが、今後どうなるのかなんて、もはや世界中の誰にも予想できない状況になっていると思います。

そんなか最近僕の頭の中で何度も再生されるのは「ものづくりの最前線は手作りにある」とおっしゃっていた琉球ガラス工房代表のインタビューです。手作りにこだわり、新しい色合いや素材を試し、流行を作る工房です。

本土の皆様はピンとこないかもしれませんが、僕が子どもだった30年くらい前は琉球ガラスは高級なイメージでした。お金持ちの家にある壺や置物と同じ棚に並べられる骨董品のイメージです。いつの間にかお土産ショップで気軽に買えるものになっていて、最近では100均でも購入できます。

安く気軽に買えるようになったのは工場での大量生産のおかげです。そして工場で大量生産ができるのは手作りで作った人がいるおかげです。また、琉球ガラスの色合いや質感には流行りがあります。新しい色合いは工場では生まれません。手作りで作った人がいて、それが売れているのを見て工場が大量に生産しているんです。

インタビューをした当時、話を聞きながらモヤモヤした気持ちが込み上げたことを覚えています。最前線で頑張っているのは、手作りで挑戦し続ける匠工房さんのような職人さんたちなのに、大きな利益を得ているのは大量生産だなんてずるい話だなと。

ところがお話を聞かせてくださる松田さんからはそんなネガティブな感情は一切感じられず、むしろパイオニアである自身の工房を誇りに思っているのが伝わってきて胸が熱くなったのも覚えています。

AIの進化は工場の発展に似ているのかもしれません。今後もっとAIが進歩すれば、利益を求める企業は工場で大量生産するようにAIでの大量生産を始めるのでしょう。それは仕方のないことですし、悲しい気持ちにもなります。

でもそんな今日、僕の頭の中をぐるぐる回るのは手作りにこだわる職人さんの熱い表情です。僕らライターにもきっと手書きだからこそ書ける何かがあると思い出させてくれます。

「AIに仕事が奪われるかもしれない」そんな未来を考えると、今何かを書くこともバカらしくおもえる瞬間があります。

でも「AIに仕事が奪われるかもしれない」と本気で思って書けるのは現在の僕たちしかいないはずです。

こんな僕たちの叫びもAIに取り込まれ、AIが自分で書けるようになるのでしょう。それは手作りでヒットした商品が工場で大量生産されるように仕方のないことだと思います。

それでも、こんな悩みさえも最先端の記事にしてしまう。そんな僕らライターは最高にかっこいいパイオニアだと思っています。


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