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【読書感想】思わず笑ってしまうユーモア抜群の小説 『蕎麦ときしめん』 清水義範


”アウトプットしよう!”ということでnote大学読書部の活動の一環として

今日は本の紹介です。

清水義範氏の『蕎麦ときしめん』

少し古い昭和の本ですが、ご存知でしょうか?

パスティーシュ小説と呼ばれるスタイルの作品です。

パスティーシュとはフランス語で「模造品、模造画」という意味で、文学では模造作品という意味

6本の模倣作品を集めた短編集で、清水氏本人の表現を借りると「ちょっと仕掛けのある奇妙な作品集」。一つ一つの作品を読んでも面白いですが、個人的には全部読んでその違いを楽しむのが好きです。

私にとっての読みどころは、

*模倣の凄さ
*文体と内容のギャップ
*清水氏の茶目っ気あるユーモア

です。今回感想文を書こうと思って読み返したのですが、また声を出して笑ってしまいました。

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モノマネしてしまう文章力、凄い

大作家の文体で書かれたものから、無名のサラリーマン風、学者風、その文体はパスティーシュ度の違いはあるものもののどれも個性的です。

例えていうと、モノマネ芸人さんが、ご本人の特徴と質を見抜いてそれを誇張して表現されるような感じです。

司馬遼太郎氏を真似て書かれた『猿蟹の賦』『商道をゆく』は文体だけでなく特徴やくせも似せて書かれているので「凄いなぁ」「そうそう、あるある」と感心してしまうのですが、同時に「ぷっ」て吹き出してしまうのとで複雑な心境になります。

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文体と内容のギャップ

全体的にそうですが、文体はいたって真面目な感じです。なのに書かれている内容が突拍子がないのでそのギャップにやられます。

特にそれが出ているのが学者風に書かれた『序文』

題にあるように論文の「序文」のような文体で書かれていますが、そのとんでもない学説「英語語源日本語説」など。

次を読めば何が出てくるのか、その文体とは予想外なのが面白いです。

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茶目っ気あるユーモア

表題となっている『蕎麦ときしめん』
「蕎麦=東京」と「きしめん=名古屋」とを比較する鈴木雄一郎氏による自称「学術論文」を清水氏が紹介するという構成で成り立っています。

極論である名古屋人論は、歴史、地理、食文化など様々な側面から、まるでいたずらっ子が「これでもか〜」と名古屋人をつつきまくる感じで名古屋人を面白おかしく表現されています。

『きしめんの逆襲』はその続編。

『三人の雀鬼』はボケた老人たち?が堂々と繰り広げるイカサマがおかしい。麻雀もパロディーもとの作品も知らないのですが、それでも笑える作品です。

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最後に

かなりサクッと読める作品です。

ちょっと違った小説を読んで見たい時
笑いがいる時

に私はこの本を読んでいます。

そんな気分の時に『蕎麦ときしめん』一度試して見てください。

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読書部のマガジンにはたくさん素敵な本の紹介がされています。

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おまけ

私レビューを読むのが結構好きなんですが、
この本のレビューもおかしい。
特に評価の低いレビューを見て
この人は名古屋人なのだろうかと
クスクス想像して見てしまいます。
私は名古屋愛深まったけどなぁ笑

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