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すでにあるものに新しい価値を加えると、ヒットにつながる

『痛い失敗体験から学んだ 愛される書籍の成功の秘訣(仮)』、前回は、「世の中にまだない」ものより、すでにあるけど、「切り口」を変えることで新しい「ハッ」とする気づきを与えることができたら、大ヒットにつながる、というお話をしました。
 今回は、自分の編著書でそれを体験したので、そんなお話をしますね。

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編集脳アカデミーの藤岡信代です。
電子書籍出版サポートとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。

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■日常のなにげない投稿が出版につながった!

 私は、主婦の友社を退職してから、自分のブログでの経験に新しい取材を加えて『ワンコインでできる はじめての花の飾り方』という本を執筆しています。

 この本は、Facebookの一投稿から生まれた本で、その投稿とは、スーパーで買ってきた花束(確か398円)でフラワーアレンジをしてみたよ~、というものでした。当時、私は10年近く習ってきたフラワーアレンジの資格を取ろうとしていて、その練習の一環でやっていたことでした。

 それに目を留めてくれたのが、古巣の出版社のベテラン編集長です。
 元同僚経由で、「本にしてみない?」とお声がかかり、ブログを書きためてからという条件で、無事に企画が通ったのでした。


■編集長のアンテナにかかったのは、何?

 実は、フラワーアレンジの本というのは、マーケットがそんなに大きくなくて、つまり売れる本をつくるのがなかなか難しいジャンルです。
 その上、少子化と長く続くデフレのため、「習い事」をする人も年々減っています。

 そんななかで、お声がかかったのは、どこに着目してのことか?

  • スーパーで買える花束

  • 500円以下

  • フラワーアレンジの基本を押さえている

 この3点がポイントだったと思います。
 それまでの常識なら、フラワーアレンジを習う人はスーパーで花束を買わないし(お花屋さんで自分で選んで買う)、スーパーで花束を買う人はフラワーアレンジには興味がない。そんなふうに捉えていたと思うんです。

 そこに、

フラワーアレンジ ✕ スーパーの花束 ✕ 500円以下

こんな掛け合わせをやってみた。

 スーパーの花束で、500円以下で、としばりを加えることで、目新しさと面白さが出たのだと思います。


■ブログで発信してみてわかったこと

 切り口が新しいというのは確信があったのですが、どんな人が読者になってくれて、どんなニーズがあるのか、それはよくわかりません。そこで、アメブロでブログを書くことにしました(まだ残してあるので、リンクしますね)。

 ブログで発信してみてわかったことは、こんなターゲットの姿とニーズでした。

◯ターゲット

  • フラワーアレンジは習わないけど、日常の花を楽しみたい

  • 花は気軽に買えると嬉しい

◯ニーズ

  • 花を長持ちさせたい(すぐに枯らせてしまう)

  • じょうずに生ける方法を知りたい

  • 花の手入れの方法を知りたい

 フラワーアレンジメントとは違う、日常の花を楽しみたいという層がいることは、肌感覚でわかっていました(私もその一人だったから)。
 でも、このブログ発信の反応で驚いたことは、「花が長持ちしない。枯らせてしまう」というお悩みがある、ということでした。

 花 = 飾り方
という思い込みがどこかにあって、その切り口しか見えていなかった。
 ブログでテストマーケティングをして、本当に良かったと思ったことです。
 おかげさまで、この本は4刷りまで重版を重ねることができ、今でも電子書籍で売れ続けています(年に1回、印税をいただいています)。


■ターゲットを変えると、新しい市場ができる

 私の体験談は、ささやかなものですが、すでにある商品・サービスでも、それまで気づかなかった消費者にスポットを当てると、新しいニーズが喚起されて、市場ができていく例はたくさんあります。

 最近の鮮やかな例は、「ソロキャンプ」ですよね。
 私は初めてこの言葉を目にしたとき、目を疑いました(笑)。キャンプって、仲間とワイワイやるから楽しいんじゃないの?って。
 けれども、よく考えてみると、私も一人旅が好きなわけです。「旅行って、友だちと行くから楽しいんじゃん!」という人からしたら、女一人旅なんて「あり得ない!」でしょう(笑)。

 ちょっと前になりますが、「ハイボール」の復活もターゲットを変えた好例だと思います。いまはもう定着した感のあるハイボールですが、復活のためのプロモーションが始まるまでは、「ウイスキーのソーダ割り」という、おじさんも飲まないお酒でした。

 そもそもウイスキーって、日常ではあまり飲まないお酒だと思います。
 ところがそれを、「若者にも飲んでもらおう!」という視点でプロモーションを考えた。サントリーの広報部の記事があったので、リンクしますね。

 アルコール離れが進んでいた若者をターゲットにするために、アルコール濃度を低く押さえた、というのが、このプロジェクトの肝だったのかな、と思います。
 ビールのように気軽に飲めて、でもおなかにたまらないし、翌日の二日酔いにもなりにくい。そんな理由で、私もさっさと、乾杯ビールのあとはハイボール派になりましたから(笑)。


 実は、マーケティングの世界では、「ターゲットを変える」というのは、最初に考える打ち手の一つになっています。

 自分のコンテンツは、誰に届けると、新鮮に感じられるのか?

 そんな視点があると、コンテンツはいくらでも価値を増やしていくことができるのです。

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●著書

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