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その話したんだね、OK 2024/12/01週
付き合いのあった期間から少し時間があいて、友だちがひとりで店をはじめたと何かのつながりで知ったときに、なんとなくわかるような気もするし、少し意外な気もしたのではなかったかと思う。
それを知ったのは友だちがお店をはじめてしばらくしてからだったから、彼がお店に行きはじめたときには既にその友だちが真ん中らへんにいるようなコミュニティが出来上がっていて、店に行くときは早めの仕事終わりで直ぐに向かっていたから、2,30分くらい友だちと話しているうちに少しずついつもきている人たちが集まってくる。
誰だってある程度はそうだとは思うが、そういう状態になった店にひとりで居心地良くいようと思ったらそのコミュニティの中に何かしらひっかかりをつくっていくしかなくて、友だちが話題をふってくれるのをキッカケにしながら店にいられる時間を少しずつ長くしていくことになった。
それでも彼は店にきていつもいる人たちとも話をしてしばらくしたら、1,2時間くらいで席をたって、またね、と友だちに伝えて、おやすみなさい、と周りの人たちに言って店を出た。彼は居心地がわるかったわけではなく、彼とその友だちとの関わり方の型みたいなイメージが残り続けていたからだったのではないかと思っている。
友だちは、彼がはじめて店にはいってきたときに、この人は本当にあまり変わらないなと思って、付き合いのあった時期をカウンター越しにではあるものの、そのままつなげて話しはじめた。彼のそのときの生活ぶりのことを聴くにしても、ある時期の続きとして話した。だからいつも店に来てくれる人たちがそこにいるときは少し工夫がいるね、と思って話をはじめた。
彼と一緒に散歩をした具体的な固有名をもった場所の中に、違う人を会話の流れの中で配置させてみる、逆のこともしてみる。自分もそこにはいってみたり、一歩ひいて展開をみてみる。別の人がきたらまた作り直してみる。彼がそれなりにそういう場に居られるのは、それまでの関わりで知っていた。それでも彼が自分と続いている時間のことを意識しているのも何となくは感じる。だから彼がいないときに何時もきている人がいる場所で彼とよく遊んでいたときのことを話してみた。それが打ち明け話や噂話にならないように。その話もできるようにすればいい。
そういうのが前から上手かったな、と彼は思い出す。友だちがそういうことをするときは自分のことを「外」で話されていても嫌な気持ちにならないどころか、その友だちの中に自分が目の前にいないときでも居るんだと思うことができた。どういう感じで自分が話されていたかは「外」からその話が反射してきたときにすぐにわかる。あっ、その話したんだね、OK、と思って話をはじめるときの心地よさ。
そんな店もいい意味で色々あってなくなって、その後でも彼が相変わらず一人でウロウロしていられるのは、その時のその友だちの何かが反響していると、ふりかえってみるまでは気が付かなかった。感覚をつくってもらったと自覚できている友人が何人かいる。というよりその何かしらの感覚がつくられるときと友人ができるのは同時なんだろうと思う。
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