サクラ伎『まめ伝承』『酔い宵』
本が好きな理由も、
本を作りたい理由も、
人それぞれ。
(文字数:約1600文字)
サクラ伎さんと書籍情報
そもそも伝承系の本は好きなので、
訪問リストには入れていたんだが、
それでも並べられていたラインナップを見て、
「まめ?
なぜに、まめ?
どうして数多ある項目の中でも、
まめに興味を?」
と店にいた方に訊きまくってしまった。
いや。分からなくもない。
私もちょうどその時自作の小説に、
ピスタチオアイスと胡麻豆腐の、
類似性に触れるシーンを書いたばかりだったから。
作品中にも記載されていたが、
まめには種子として豊穣をもたらす点で、
創作意欲を掻き立てる何かがある。
『まめ伝承』
著者 植田 弦
発行所 サクラ伎(さくらぎ)
発行日 2023年5月21日 初版発行
A6版 90ページ
『酔い宵』
著者 絲宮 椿
発行所 麒麟茶会(けいろんさかい)
発行日 2011年4月3日 初版発行
B5版 66ページ
なぜ酒の伝承本も一緒に買ったかって、
乾き物には酒がいるだろ(順序は逆だが)。
するとだ。
本を読まない訳ではないが、
私ほどの本好きでも無いので、
帰宅後戦利品を広げる私には目もくれず、
自転車やバイクレースに浸っていた配偶者が、
「まめ?」
と『まめ伝承』の表紙にだけは気を留めたぞ。
装丁とか表紙って、
やっぱある程度大事なんだなと思わされた。
「伝承サークル」とその本
自分の経験や、
自分の脳内にある世界ばかりを、
文章化してきた私にとっては、
「伝承を集めて本にする」
という活動内容と執筆・製本動機が、
目から鱗が落ちる感じに新鮮。
そして読んでみたら、
伝承には伝承に相応しい、
語り口が存在する事に気付かされる。
「へぇー。面白いね。
そういえば私も似たような話知ってる」とか、
「ん? その話って、
私が聞いたのはこうだったんだけど」とか、
ついでに思い出すエピソードがあるような、
読みながらも話に参加しているような、
何気なくも微笑ましい雰囲気が、
醸し出されていれば最適だ。
私が醸されたエピソード(酒だけに)
そんなわけで収蔵されていた話に加えていく。
・カラスノエンドウは漢字だと、
烏野豌豆って書くんだ。
点字ではカラス□ノエンドーって、
区切り方になるんだぜ。
くれぐれも、
カラスノ□エンドーじゃないんだぜ。
・先日読んだ柳田國男の本にあったんだが、
藤布の原料は、
紫色の花が咲く藤ではなく、
赤色の花が咲く葛なんだ。
両者は古代社会でほぼ同一物と扱われていたので、
後世が間違えても致し方ない。
・小豆を洗う感覚や音は独特で、
他の豆類とも異なる感じがする。
もちろん「小豆は特別」という意識を、
既に持っているがために、
洗う音も特別に聞こえてしまう可能性もあるが。
・テキーラの原料となる、
竜舌蘭に宿る女神マヤウェルの二つ名
「四百の乳房を持つ女神」
てとんでもないな。
しかし見習いたい母性ではある。
・小豆長光パネェ。
・ハニーワイン探したい。
・ザンポーネ食いたい。
・禁断の果実は葡萄じゃないか説はともかく、
楽園を追われた理由は……、だろうな。
・大江山の鬼、酒呑童子も悲しいが、
茨木童子も地味に泣ける。
・雨風、という隠語を初めて知った。
(酒好きなのに甘い物も好きな奴を指す)
・密造酒の隠語がムーンシャインだと知った途端、
頭の中にAccessの『Moonshine Dance』が。