『ルビーの指環』

  ♪くぅもぉりぃ
   がぁらすのむぅこうはかぁぜのまち
   とわずがぁたりのこぉころがせぇつないね

  「問わず語り」という言葉の存在と意味を、
  この曲で知りました。
  恥ずかしながら初恋の人は寺尾聰さんです。

  しかしながらあまりに幼かったもので、
  同時に生活環境的に音楽に触れる機会が、
  親がたまたま選んだ番組で流れる、
  今現在のヒット曲くらいしか無かったもので、

  私は寺尾聰さんを、
  「ベージュのコートを見かけたら、
   その人の指にルビーのリングを探してしまう方」
  だと認識していました。

  歌はその方の実体験が表されているものと、
  思い込んでいたのです。

  「2年の月日が流れ去」ったのもつまり、
  歌に昇華出来るまでに2年が掛かってしまうほど、
  そして歌に出来たなら歌い続けずにはいられないほど、
  ツラい別れであったのですねと、

  どうにか力付けて差し上げたいと、
  誕生石を調べてみたらルビーではなく、
  当時はあまり聞く事の無い宝石で、
  ガッカリした事も覚えています。

  しかしながら「フィクション」あるいは、
  「演技」というものを、
  ヒトはいつどこで正確に認識し理解するのでしょうね。
  私は斉藤由貴さんが映画『トットチャンネル』で、
  黒柳徹子さんを演じた時にようやくです。

  三上博史さんもほとんど孔雀王だと思っていましたので、
  『孔雀王2』で阿部寛さんに代わる、
  という事が理解できなかった。
  なぜ。顔も身長も声も違うのに。なぜ。

  いかにも子供のカンチガイ、
  と一笑に付してしまえばそれまでですけれども、
  つまり寺尾さんの佇まいに歌声、
  曲調に音色に歌詞の総体が、
  「俳優」という職業も知らずにいた幼児には
  実際の出来事と感じさせるまでに、
  充分な説得力を有していたと思うのですよ。

  余談ですが洗濯物を取り込む際の、
  母の鼻歌レパートリーにも入っていまして、

  ♪くぅもぉりぃ
   がぁらすのむこうには……

  ちがう。
  お母さんちがう。
  と耳にする度に心の中でツッコンでいましたね。
  それ曇りガラスの向こうがすっごく気になる。
  話がそっちの側に展開する。
  
  母も「何か違う(続きが出て来ない)」
  とは思っていたみたいで、

  ♪たらららら~ たらららら~
   まもってあぁげたい~

  とやるんですよ。そして、

  ♪友よ 寂しいとき あなたに逢いたい

  ってまた別の歌『友よ』に変わるんですよ。
  『ルビーの指環』は母の中では最初の一行だけ。

  そして間に挟まる「守ってあげたい」は、
  一体誰の何の歌なのか不明。
  検索したって「♪まもーってーあげーたいー」の、
  松任谷由実さんしか出て来ないの。

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