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パラレルワールドを生きるとは。複数人格で、人々が異なる認知の世界を生きるとは。

私がメタバースで複数の人格を生きるというようなことが、妄想ではなく現実となっていることを理解したとき、外出不自由な私にとっては、少しワクワクする世界にも感じたり、これからの高齢化にとって、必要な技術であるとも感じました。そもそもこの流れは止められないものだから、人間の進化として受け止め、受け入れるしかないとも考えるようになりました。

しかし、ここに書かれたように、自分の目の前にいる人の世界の認識が今まで以上に全く違ったものとなることへの不安は、この技術の進化の中で誰もが予測する不安ではないでしょうか。

「本書の10. 1で述べたように,人によって認識する「現実」が異なることによるコンフリクト(論争・争い・衝突)がこれから顕在化していくであろう.ましてや人工知能によって,リアルタイムに「現実」を書き換えることができるようになると,人々が日々の生活の中で感じている経験そのものが、何が現実で、何が真実なのかとということはまったくわからなくなってしまう」


「パラレルワールド化により,人々が異なる認知世界を生きるということは,複雑なまま生きることを可能にする.だが,コンフリクト(衝突)の多様性,複雑性も爆発的に増大することになる.これらのコンフリクトの解消は,今までのような社会制度では太刀打ちできないであろう.」

『なめらかな社会とその敵PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論 (ちくま学芸文庫)』
鈴木健 著

コミュニケーションというのは,本質的には成立していないわけだから,コミュニケーションを成立させようと努力するのではなく,むしろコミュニケーションが成立しているかのような偽装を生み出すように技術を進化させるということである.」

『なめらかな社会とその敵PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論 (ちくま学芸文庫)』
鈴木健 著

コミュニケーションというのは,本質的には成立していないわけだから・・・」

私、この意味が最近ようやくリアルに解ってきた気がするのです。

私も還暦を迎える年齢。長く自分の興味からこの社会の紛争や問題解決というものは、何等かの合理的な話し合いを行うことで少しは変化するのではないかと若いころ思っていました。
でもそんなことでは到底解決することのない複雑な社会を私たちは生きていることをようやく理解するようになった・・・。

そう、私たちのコミュニケーションは、そもそも本質的に成立などしていない。人間は、自分の行動の理由を後付けしているということは、最近証明されてきています。生物としての人は周囲との関係性の中で無意識に行動し、その行動を後付け解釈している。

そんな複雑で、「全ての物が繋がって一体となった現象」のような社会を変化させるのですから、話し合いで変化するなどありえないと。


多くの人が望む「生きやすさ」へのうねりのようなムーブメントは、技術の進化を利用した人間の進化で起きるものでしょうか。

合意形成はあり得ないなら、何等かの波を起こすのか、起きるのか、その波はコントロールできるのか・・・。

良くも悪くも現象は、動き始めるとなかなか止まらない。


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