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対人支援職に関する文献を読もう~「対人支援職の燃え尽きを防ぐ(植田寿之さん書・創元社)」

helpwellでの活動に参加したい!という想いで、helpwell内にある「バーンアウト研究会」という論文等を読む研究会の活動をしている。
今回選んだ文献はこちら。

◇本を選んだきっかけ:

・helpwellの活動を始めるに辺り。私自身が対人支援職ではない(対人支援職の方に支えてもらった立場)のため、「一体対人支援職の方に何が起こっているんだろう?」と思ったことから。
・普段、行動(対話会に参加したり主催したり)を起すことで肌感覚で現状を知る派ですが、helpwellの活動で文献を読む活動もあるということを知り、そういうアプローチも私の中には新鮮なことだったことから。
・まだ論文を読むということに少し抵抗感があり、まずはイントロダクションとして「本」から始めてみたいと思ったことから。

◇本の構成

はじめに
第一章 ストレスから燃え尽きへ
第二章 あなたの気持ちと相手の気持ち
第三章 あなたと相手との関係性
第四章 組織の中のあなた
第五章 組織としての専門性

個人→1対1→組織 と順を追って進むので、とても理解がしやすい。
今回は三章までで、私が「対人支援職」と「バーンアウト」からの気づきをいくつか記載する。

◇きになったキーワードや、読者が思ったこと

・対人支援職とは、まさしく「ヒト」と対峙するお仕事であり、「感情労働」である。
 「ヒトの役に立ちたい」という想いを持っている方が多い。

対峙するのは「ヒト」、そして、独りで提供するだけでなく、チームとなって仕事をする、職場の人との関係性も「ヒト」。
どこにいっても、「ヒト」との関わりとなる。
勿論、勤務表や何かものを発注したりする作業もあるでしょうが、全て「ヒト」なので、ひとつ、ほころびがあったり、「わかりあえない」ことが八方塞がりになって、職場の中で助けを求められない人も出てくる可能性が特に孕んでいる、紙一重の職場だなと思う。

私は「プロダクト」を目的とする業界のため、あくまで最終成果物が「モノ」である。勿論思いは入れるが、想いが入らなくてもある意味「モノ」がその通りに作ればそれでいい。
対人支援職では、最終的な役割が「ヒト」であることに感じた。

・「高度な感情コントロールも専門性である」。
 「専門性」を通して「感情労働」をコントロールしていこう。
  そのために、自分のことを知り、俯瞰し、相手のことも知り、聴く。

第二章、第三章で事例を通じて紹介をしている。
そのために、「自分」(自分のバックグラウンドや、価値観、傾向)も知っておくこと。
相手との違和感や衝突が起きる時は、自分の価値観や、傾向と何か相違がおきるときだからこそ、自分の傾向を俯瞰してみることは大事。

そのうえで、相手と対峙する。
相手と対峙するときは、表面上に見えていることだけではない。勿論、対人支援で支援していくのは「今から先」に向かって進むことへの支援だが、
「今」と「今から過去」に相手が何が起きていたから、そういう発想に至るのか、深いレベルで聴きあうことが大事。
それがないと、「理解しあえない衝突」が発生し、ひいては「バーンアウト」に至る。
勿論、仕事をする上で、そんなに対峙することができなかったりするので、組織として人と向き合うとは、改めてどのようにしたいのか、という覚悟が必要かもしれない。

・「対人援助」とは、「援助する」「援助される」ではなく、「支え合う」ということだ。
 相手との「関係性」と相手と対峙する「態度」を磨く。これは我流だと頭打ちになるので、相手との支え合いのために「聴く」専門性を磨く。


つながり、と、「聴く」ことについて、詳しく在り方や、聴く姿勢も踏まえて紹介していて、第三章はとても熱のこもった章である。
詳しくは本を読んでもらいたい。
「聴く」ということについてはヒトとヒトをつなげるためのあらゆるものが詰まっている。
ただ耳で「聴く」ということだけでなく、その態度、存在の仕方、相手への想いも詰まっている。
一部、聴くと自分と重ねって聴けなくなることもある、と書いてあった。そのときは「積極的に聴き、忘れる」と書いてあり、それも非常に大事だなと思う。

◇一章から三章までの総括

「対人支援職の燃え尽きを防ぐ」という本だが、「ヒトと関わる」ことについて、何かしら息詰まりを感じた人には、誰にでも読んでもらいたい本だと思った。
ただ、「ヒトと関わる」ことの最前線の対人支援職の人々が、一番真っ向から対峙しているのか、とも思い、頭が下がる想いにもなっている。
対人支援職の人が、こういったことを職場の中でどのくらい話し、振り返り、原点に立ち返ることはどのくらいあるのだろうか・・・、という疑問もわき、それは別の文献なども読んでみたり、実際対話をしたくなったりしてみた。また、うまくいかなくなったときの心の構造も再度知りたくなった。
四章以降はまた記載をする。

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