AIを使った認知行動療法の可能性を探っています。
最近話題のClaude3(Opus)が気になって
最近AI界隈でちょっと話題になっている「Claude3」という大規模言語モデル(LLM)、中でもOpusというモデルがGPT-4と同等以上の賢さを持っているということで少し気になっていました。
最初はClaude3の無料版でOpusより下のSonnetというモデルを試していたのですが、これが想像以上に出来がよかった(GPT-3.5よりちょっと賢くてしかも爆速)ので、Claude Proに課金してOpusも試してみることに。
数日使ってみた限りでは、Claude3 Opus確かにかなり賢いです。私が使っている範囲ではGPT-4よりももうちょっと解像度が高い回答を返してくれる(場合もある)という感じがします。
先に結論:両方使うのが良さそう
この下はAIの出力がずらずらと並ぶので、両方並べて使ってみた私の結論は、どちらのAIの出力にも一長一短があり、少なくとも私が使った限りではどちらかが圧倒的に強い、という感じはありませんでした。
Claude3(Opus)の日本語の方がややこなれている感はあります。これは文筆業界隈の方々が言われている通りですね。ただ、今回の実験に関して言えば日本語のこなれている感はあまり重要ではないので(チャットボットを作るに当たっては要検討ですが)、私としてはさほど気にならない、と言えます。
分析力という点でも、GPT-4の分析が鋭い時もあればOpusの分析におぉっと思わされる事もあったりで、これもまた甲乙つけがたい感じです。
ということで、私が思ったのは「両方使って討論させたらすごいんじゃね?」ということに。この記事の最後でもちょろっとお互いを批評させあってみましたが、各論の足りない箇所などが浮き彫りになり、素人の私でもずいぶんと理解が深まったように感じます。
ということで、数日使った時点での結論:
ChatGPT(GPT-4)=ChatGPT Proを使っている人はあえてClaude3に乗り換えるまでもないかも
文字ベースのAIで十分、という人はClaude3(Opus)一度試してみるのも良さそう
お試しで両方使ってみるのがおすすめ。ただし止められなくなる可能性あり
とこんな感じでしょうか。
ここからはGPT-4とOpusにモデルケース与えて精神分析をさせてみた記録です。興味のある方はどうぞ。
GPT-4とOpusにAI精神分析をさせてみた
せっかくなので、ChatGPTとClaude3に精神分析をさせてみることにしました。
ターゲット設定
ターゲットは架空の、日本人にありがちな生育環境を盛り込んだキャラクターです。
Claude3(Opus)の精神分析
まずはClaude3(Opus)に上の情報を与えて、分析させてみました。
少ない情報から、かなり適切な分析と治療方針を提案してくれました。
ChatGPT(GPT-4)の精神分析
ChatGPTの分析もかなり近いですね。ChatGPTより病名をはっきりと述べているのが切れ味よい感じです。
共依存(依存性パーソナリティ/人格障害)、対人恐怖症(社交不安障害)あたりはどちらのAIも認めているメンタルヘルス問題です。
自己主張の困難と低い自己効力感は結果と原因という感じですから同じことを言っていると考えていいでしょう。
ChatGPTは父親の自己愛性パーソナリティ障害を項目として挙げているのに対し、Claude3は職場不適応に触れているのが興味深い違いです。
ChatGPT(GPT-4)が提案する心理療法
続いて、ChatGPTに、「この女性に対して、どのような心理療法が適切か」と尋ねてみました。
Claude3(Opus)が提案する心理療法
Claude3も既に「ついで」に提案してくれていましたが、改めて同じことを尋ねてみました。
両者の意見を総合すると、認知行動療法が第一選択、次にスキーマ療法という感じでしょうか。対人関係療法(IPT)も選択肢に入れることができそうです。
もう一つの選択肢として、ChatGPTは自己慈悲に焦点を当てた療法(コンパッション・フォーカスと・セラピー)を提案し、Claude3が家族療法を提案したところが興味深いところです。
Claude(Opus)の認知行動療法(CBT)アプローチ
続いて、両者の第一選択であるところの認知行動療法(CBT)について尋ねてみました。
Chat GPT(GPT-4)の認知行動療法アプローチ
続いてChatGPTの回答です。基本的に内容はほとんど一緒ですが、表現や技法の部分で細かい違いがあるように感じます。個人的な好みですが私はChatGPTの回答の方が現実的な気がしました。
AIにお互いの見解を批評させてみた
次に、ChatGPT(GPT-4)にClaude3(Opus)の、Claude3(Opus)にChatGPT(GPT-4)の回答を見せて、批評させてみたいと思います。
ChatGPT(GPT-4)は「具体的な懸念点や問題点を指摘するのが難しい」とかなり大人な感じの回答ですね。それでも、一般的な注意点を挙げてくれました。
参考文献についても、精査はしていませんが一応存在する論文を挙げており、ハルシネーションの恐れは低そうに感じます。
続いてClaude3(Opus)。
このターンではClaude3(Opus)が、ChatGPTの提案に不足していると思われる箇所に鋭く切り込み、比較的新しい文献も取り入れつつ新たな提案を行っています。
この討論続けてみたら面白いんじゃ?と思ったところで今日は時間切れ。また次の機会に試してみようと思います。