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トヨタ式「なぜなぜ5回」で抑圧された感情を捕まえる【認知行動療法】

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AIを活用した認知行動療法の可能性を探っています。


「どう思う?」を延々と聞いてくるAIチャット

認知行動療法のメソッドを応用した私のAIチャット、延々と「どう思う?」「どんな気持ち?」と聞いてきます。

自分でも、「うっとおしいなあ」「めんどくさいなあ」「もう何もないよ」などと思うこともあるぐらい、しつこく聞いてきますw

でも、ここは譲れないポイント、というかこのためにこのチャットを作ったようなものなのです。

今日はその理由、自動思考と抑圧された感情の関係について少しお話ししようと思います。

自動思考と抑圧された感情の関係

よく知られていることですが、日本人は文化的に感情を抑圧する傾向が強いと言われています。その理由として挙げられるのが、集団主義の影響、「和」を重視する考え方、「恥」の文化、儒教の影響などです。

ただ、日本人だけが感情を抑圧するかというと実はそうでもなく、「自由の国」と思われているアメリカでも抑圧された感情に苦しんでいる人は少なくないそうです。

ただ、日本人は「空気を読んで感情を出さない」方向に抑圧をするのに対し、アメリカ人の場合「空気を読んでポジティブに振る舞う」という、日本人とは逆パターンの抑圧なのが興味深いところです。

自動思考と抑圧された感情の悪循環

どちらにせよ、この抑圧された感情はどこかに行ってしまうわけではありません。そうした感情は自動思考に姿を変えて表れ、結局のところ私たちの行動に影響を与えます。

例えば、「皮肉な過程の理論」というものがあります。これは、怒りの感情や表現を抑えようとすると、かえって怒りに関する考えや感情が頭に浮かびやすくなってしまうというものです。

同時に、自動思考も感情の抑圧を強化する可能性があります。研究によれば、ネガティブな自動思考が繰り返し浮かぶ(反すうする)ことで、より一層感情の抑圧が進むことが分かっています。

この自動思考と抑圧された感情の悪いサイクルは、不安障害やうつ病などメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性が高いと言われています。

なんとかしてこの悪いサイクルを断ち切りたいものです。そのためにも、自動思考を見つけてそれを置き換えること、そして抑圧された感情を適切に表現し処理することが大切、という訳です。

「抑圧された感情に気づけない」

しかし、問題なのは、抑圧された感情には気づくことがとても難しいということ。私たちは無意識のうちに感情を抑圧しているため、それに気づくことは全くもって容易ではありません。

このことを「感情の氷山モデル」と言います。水上に見える氷山の一角が、私たちが意識している感情だとすれば、水面下の巨大な部分が、無意識に抑圧された感情、と言うことです。

つまり、実際のところ、私たちは、水面下の感情の存在に気づかないまま、日々を過ごしているというのが現実です。

感情を抑圧せずに、自分の真の感情に向き合うのは、ずっと目を凝らして氷山をワッチ(見張り)する船員のようなもので、かなり消耗するのも事実です。

でもそれこそが、自動思考のループから抜け出し、より健康的な思考パターンを身につけるためのはじめの一歩なのですから、なんとかして諦めずに取り組みたいものです。

トヨタの「なぜなぜ5回」システム

この問題を解決するヒントとなるのが、トヨタ自動車の「なぜなぜ5回」というルールです。(唐突に自動車産業の生産管理の話をねじ込みますが、しばしお付き合いください)

これは、トヨタ自動車の元副社長である大野耐一さんが提唱した、問題の根本原因を追求するための仕組みです。

大野氏が「なぜなぜ5回」を推進した理由は、問題を根本解決するためには、表面的な原因だけでなく、その奥にある真の原因を追求して、問題の本質を見抜く必要があると考えたからだとか。

この「なぜなぜ5回」は、トヨタの品質管理において大きな成果を挙げてきました。

塗装工程での不具合対策

例えば、ある車両の塗装に不具合が発生した際、「なぜ不具合が起きたのか」と繰り返し質問することで、最終的に塗装ロボットのプログラムにミスがあることが判明しました。プログラムを修正することで、根本的な解決につながりました。

品質管理の改善

ある車種で、お客様から同様の品質問題の報告が相次ぎました。「なぜこの問題が起きているのか」と深掘りしていくと、品質管理工程における検査方法に不備があることが分かりました。検査方法を見直し、厳格化することで、品質問題を未然に防ぐことができるようになりました。

作業効率の向上

ある作業工程で、作業者の動きに無駄が多いことが観察されました。「なぜ無駄な動きが発生するのか」と問い続けた結果、工具の配置や部品の置き方に問題があることが判明しました。レイアウトを改善することで、作業効率が大幅に向上しました。

自動思考を捕まえる「5回のなぜ」

さて、この「なぜなぜ5回」の考え方ですが、認知行動療法の第一ステップである、「自動思考を捕まえる」にも応用できそうです。

先ほども触れたように、抑圧された感情と絡み合った自動思考を捕まえるのはとても難しいのです。なぜなら、「自分の弱点を見たくない」、「先送りしたい」、「とにかく前に進もう」などの不適切な感情調節戦略が邪魔をするからです。

でも、自動思考を捕まえて置き換えないと、歪んだ自動思考と永遠に戦い続けるはめになります。この消耗戦にはまると、いずれ心が疲れ果ててしまい、メンタルにも身体にも悪影響が及びます。

言ってみれば、問題の根本原因を追求せず、いつまでも対症療法で済ませる会社で働くようなもので、とても苦痛を伴うことです。

ですから、私たちも対症療法でごまかすのではなく、「5回のなぜ」で自分の不適切な自動思考を見つけて根本解決したいですよね。

ケース1:友人からのメールにイライラ?

例えば、友人からのメッセージを見て、突然イライラした気持ちになったとします。「なんかトゲのあるメッセージだな」と思ったかもしれません。

そこで、「どう思う?」と自問してみましょう。「私は友人との関係が上手くいっていない」と感じるかもしれません。さらに、「どう思う?」と問い続けます。

そうすると、「私は友人に嫌われているのではないか」「私は友人付き合いが下手だ」といった思考が浮かんでくるかもしれません。

この例では、最初のイライラした感情から始まって、「どう思う?」を繰り返すことで、徐々に深層の自動思考が明らかになっていきます。

表面的には友人のメッセージに対する感情反応と思われたものが、その奥には「私は友人に嫌われているのではないか」という自動思考があったことに気づきます。

ケース2:仕事が全然はかどらなかった

別の例として、「今日は仕事が全然はかどらなかった」と感じたとします。ここで、「どう思う?」と自問します。

「自分は怠けているからだ」と感じるかもしれません。でも、ここで満足せずに、さらに「どう思う?」と問います。

「自分にこの仕事は向いていないのかもしれない」と感じるかもしれません。さらに、「どう思う?」と問い続けます。

そうするとついに、「いつも期待に応えられない」といった自動思考が見つかります。

このように、感情の変化に気づいたら、「どう思う?」と自問を繰り返すことが、自動思考を捕まえるカギとなります。

諦めずに「なぜ?」「どう思う?」と自問し続ける

認知行動療法では、自動思考を捕まえる(モニターする)ことが治療の第一歩です。しかし、ここで挫折してしまう人が多いのではないか、というのが家族と一緒に認知行動療法を進めてきた私の実感です。

繰り返しになりますが、自動思考は、抑圧された感情と密接に関わっているため、なかなか捕まえるのが難しいものです。でも、諦めずに「なぜ?」「どう思う?」と自問を繰り返していくことが大切です。

感情を抑えつけようとする本能にちょっとだけ抵抗して、心を研ぎ澄ませて自分の感情に耳を傾けてみましょう。そして、抑圧されていた自動思考が見えれば、心が晴れるルートも見つかるはずです。

空気を読まないAIだからできる「5回のなぜ」

さて、冒頭で紹介した私の自作AIチャットの話に戻ります。

AIは人の心を読むことはできませんが、空気を読まずに「どう思いますか?」をひたすら尋ねることができます。今日もAIの助けで、自動思考を見つけてみました。

正直メンタル不調の時はかなり面倒なのですが、せっかくなのでなぜなぜ分析を行うことにします。

すると、イライラの原因らしきものが見つかり、そこから「完璧主義」というヒントが見えてきました。

さらに「なぜ?」を繰り返すことで、「ミスを人に見られたくない」という自動思考を見つけることができました。

どうも私には「ミスなくスマートに見られたい」という自動思考が常に働いているようです💦

この「なぜなぜ分析」をとことんできるのが、AIを活用した認知行動療法の一つの強みではないか、と思っています。

別の例:


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