短編|アクションコメディ|チトセ班の場合 -3-
千歳は滑るように前進すると、魔物の後ろ脚を狙ってクローグローブを繰り出した。脚を狙うのは機動力を削ぎ、ロッソの大斧で捉えやすくするためだ。
左手のクローが堅い獣毛に覆われた魔物の肉に食い込み、切り裂く。
蹴り上げようとする魔物の脚を舞踏のような優美なステップで避け、体を反転させて今度は右手を繰り出す。
歯がむずがゆくなるような不快な音がして、予期せぬ感触が右手に走った。
「ロッソ! 待ってください!」
とっさに赤髪の青年の名を呼ぶ。
一同で一番背の高い