アンチ・自己啓発

日々人は成長していくべきだ。

昨日の自分より今日の自分、
今日の自分より明日の自分が、より成長しているように生きていくべきだ。

という思想が貫かれているのが、自己啓発本というものである。

しかし、僕はそれに反対する。

自己啓発を嫌っている癖に、そういう成長だとか、学びだとか、行動だとかを人生の指針にしている人間も、僕は嫌いだ。

そういう人たちは、人生をなんだと思っているんだろうか。

人生はそんなに上り坂が続くものだと思っているのだろうか?

または人生が上り坂、下り坂であろうと、魂は、精神は、常に上を目指さなければならない、と思っているのだろうか?

そんなに単純なものではない。そうでしょう?

僕には、人生という内面の世界に、成長という現象なんて無いように思える。

成長だなんて、客観的に見なければ分からない。常に、個々人の人生は個々人にとって足元しか見えない。

人生は、直線というより、また曲線というより、

二重らせん、いやもっと何十、何百、それ以上の線が複雑に絡み合い、そのまとまりがうねって突き進んでいくもののように見える。

簡単に、簡潔に、
人生というものを定義するんじゃない。

気安く、自然と社会の中に生きる人の生の目的を定めるんじゃない。
おこがましいぞ。

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