伝統南洋珈琲の焙煎
昨年11月の東南アジア旅行の一つのテーマは「珈琲の伝統VS革新」でした。伝統珈琲文化が強く残るどの地においても、「革新」といえる先端のスペシャリティーコーヒーを求める人々に多く出会えて感動したのですが、「伝統」の深い世界の訴求については課題を残していました。
例えばペナンで訪れた「Old Master New Nangyang Coffee」。壁に貼られた老マスターの焙煎の風景に大変感銘を受けました。これを見学させてもらえないか! ペナンの店の店主さん(ご子息)に伺ったところ「タイピンで焙煎しています」ということで、さすがにバスで7時間?かけられる時間はなかったので諦めたのですが、その後も諸事情でマレーシアのコーヒーの焙煎について、なかなか前に進みませんでした。(そして残念ながら(観光地として大変有名な)アルメニアストリートの店は今は閉業のようです)
マレーシアのコーヒーの特徴は、世界的にも稀な「リベリカ種」が大半で、一般的には、スペシャリティーコーヒーに使われる「アラビカ種」のようには豆の香りをうまく引き出せないため、「2度焙煎」して更に2度目の焙煎に「砂糖、バター(マーガリン、パーム油)を加える」ということです。
そこでようやく見ることができたのが、下記焙煎の光景ビデオです。
そうか!
ほぼチョコレートのように黒光りする焙煎後の豆。
これを砕いて、粉にした上で出荷。
この製造方法であるがゆえに、例えばコーヒーを「Kopi O Kosongーブラック」で頼んでも、それでも甘いんですね!!
そして、マレーシアの「伝統」焙煎方法と、ローカルなコピティアムで飲むコピとが見事にマッチしています。
一方で、この「伝統」を尊重しつつ、地元のリベリカ種を使いながら、「2度焙煎」をせずに、アラビカ種と同等の品質で勝負しているのが、「革新」の「My Liberica Coffee」。9月のジョホール訪問でぜひ見学させていただきたいと思っています。「伝統VS革新」
そして、今回はマレーシアの前にベトナムにも寄ります。ベトナムもコーヒー文化はマレーシアによく似ていて、練乳で甘くします。(一方でスペシャリティーもしっかりと存在します)。
このベトナムコーヒーは「ロブスタ種」を専ら使うんですが、ここでも焙煎に「バター添加」があるようなのですね! そして、また、My Liberica と同じように、ロブスタ種を使っても、アラビカ種と同じ焙煎でチャレンジしている人もいるようです!
次回のベトナム訪問の時間も短く、どこまで「深く」調査できるかわかりませんが、頑張っている店を事前に調べて訪問してみたいと思います。
南洋伝統珈琲文化
一体誰が「2度焙煎、バター添加」を始めたのでしょうね。そしてそれは広範囲に広がる。伝播の経緯と歴史は、時間の経過で曖昧になっていくことが多いのですが、少しでも残せるといいと思います。とにかく面白いです。