売れる状態を創るということ:Marketing無しにSales Enablementは成り立たない
皆様、明けましておめでとうございます!
いよいよ2024年がスタートしましたね!
パートナーサクセスの村田です
今回は、年始の初投稿ということで、昨今その重要性が高まっている"Enablement"とはなんぞや?ということについて、私の経験を踏まえて考察・記述したいと思います
市場拡張性が著しいSales Enablement
特にこの1~2年で、"Sales Enablement"というキーワードの認知は一気に高まったのではないでしょうか?
まずはマクロ市場から傾向をとらえていきたいと思います
Sales Enablementの市場規模
Sales Enablement関連のアプリケーションプラットフォーム事業がグローバルトレンドでは、2022年に22億米ドル(現在の為替で3.1兆円)から、CAGR(平均成長率)23.7%で推移し、2030年には119億ドル(現在の為替で16.8兆円)にも成長する見通しとなっています
日本の市場においては、Forecastは発表されていない(?)ようですが、2022年の時点で31億円に到達、CAGR17.2%と高い推移であることから、今後も市場成長が予測できます
実際SalesTech領域では、既にいくつかのSales Tech Market Map / Landscape、つまりカオスマップが発表されています
はい、既にレッドオーシャンですね
日本では、マツリカさんが2022年にリリースされていらっしゃいました
SalesForceを代表とするCRMや、Zoomを代表とするオンライン商談ツールは、既に日本でも高いシェアを獲得していますが、日本は良くも悪くも独特な営業の商習慣を持っているため、どこまで外資系が入り込めるのか、は興味深い点です
一方でSales Tech領域というのは非常に難易度の高い市場です
理由は簡単で、「ツールを導入するカウンターパートがマーケターやセールスの方々だから」です
彼らのミッションは端的にいうと「売上・利益」ですが、ツールで売上・利益を生み出すことはできません
実際に、2023年時点で日本国内のSaaS事業売上Top20のランクにおいて、マーケターやセールスの方がカウンターパートとなるツールは、たったの3社しかいません
消耗品などの安価なコモディティ商材はECで購買が成り立っているため、売上・利益を生み出せるツールと言えますが、経産省発表の国内電子商取引市場は2022年時点で、BtoC-ECで9.13%、BtoB-ECで37.5%のシェアと、成長著しいものの、まだまだ課題があります
BtoB向けの説明商材は、ツール活用の練度によって効果が大きく変わるため、こちらもSalesForceを代表として、Customer Successに注力していることも、その難しさの証左と言えます
Sales Enablementって結局何?
Sales Enablementの定義は、SalesForce社のものが参考になります
上記の記事にも記載がありますが、要は「出来るようにする」ということで、これを仕組みとして体型立ててやろう、という取り組みです
SDGsの流れから、グローバルレベルで人的資本経営の重要度が高まっていることも、この必要性を後押ししていると考えられ、今後はSalesだけでなく、MarketingやHRなどの領域にも"Enablement"が発展していくことが予測されます
これまでの"研修"と何が違うのか
過去長い間、社員育成の施策といえば研修でした
特に次世代経営層向けに、外部コンサルを活用した研修は、今でも行われています
一方で、研修はROIが語れないケースが殆どではないでしょうか?
人事付けで予算化された研修費で消化しているものの、研修を受けたことでどのような成果があったのか?まで言語化されているケースは少なく、研修を受けた所感をアンケートでまとめて、感覚的な満足度の結果をレポートして終了、という流れが殆どだったのではないかと思います
研修とEnablementの一番の大きな違いは、「データドリブン」である点です
先ほどの記事に記載がありますが、Enablementの実行サイクルは、データによるボトルネック抽出に始まり、データによる検証結果の回収に終わります
つまり、データドリブンに仮説検証を回すことで、効果的な育成を実現するのがEnablementだと言っても過言ではありません
日本ではSales EnablementとMarketing Enablementの並行実施が必要
特に欧米では、Sales Enablmentの導入は60%を超えるほどに成長しています
日本は欧米に比べて20~30年遅れていると言われるようになったほど、欧米の取り組みが先行していますが、当然これは結果論であって、そこには必ず要因があります
全ての要因を解き明かすのは困難ですが、日本と比較した際、明らかに違うのがMarketingです
欧米では、ビジネス理論においてMarketingが重要視されており、長い歴史があります
一方で、日本は良くも悪くもドブ板営業が強く、その慣習が長く続いたせいか、Marketingは非常に弱いと言われてます
Sales Enablementのスコープ
ビジネスの変化の激化やテクノロジーの進化により、ビジネスオペレーションは細分化・再定義される一方で、各職種の境界性は益々複雑化していることもあり、Sales Enablementのスコープは、今後拡張や縮小を繰り返すと考えられますが、
現時点では、the Modelでいう、フロントセールスの領域に特化しているものが殆どです
そのため、現在のSales Enablementのコンテンツとしては、以下のようなものが一般的です
上記に加えて、営業資料や顧客提案資料などのツール強化も含まれますが、割合としては、商談における顧客とのコミュニケーション方法に集約されているケースが殆どです
営業力ほど再現性のないものはない
「トップセールスマン」というと、皆さんも一人くらいはその称号に相応しい方をイメージできるのではないでしょうか?
話がうまい
お客さんとの関係作りがうまい:簡単に懐に入ってしまう
行動量が圧倒的
同様に、「高い営業スキルとは何か」という質問に対しても、上記のような回答をするケースが少なくありません
セールスという役割に就くからには、一定のコミュニケーション能力が求められるのは確かですが、全員がトップセールスレベルにコミュニケーションスキルを高めることは不可能です
私にも、2名すぐに思い浮かぶトップセールスの知り合いがいますが、何をどれだけ鍛えても、彼らのように顧客とコミュニケーションが出来る自信は一切ありません
完全な属人スキルであり、特異性質だとすら感じます
また、Enablementは仕組み化による再現性の向上が目的ですから、属人的なスキルの再現は矛盾しますし、10を量産するのではなく、3を6に変えるような考え方になります
つまり、コミュニケーションスキルで担保できる、もっと言えば、現在のSales Enablementのスコープで実現できる成果には限界があるとも言えます
一番シンプルな問い
営業力に自信のある方への質問です
「売れているケースは稀にあるが、殆どの顧客が欲しいと思っていなさそうな商材を、あなたの営業力で売ってくれますか?」
自信はある!という方はいるかも知れませんが、売ってきてくれと言われたら、依頼者を裏切れない特別な事情があるか、余程の好きモノでもない限り、答えはNoだと思います
売れる商材を扱う方が良いに決まってます
要因はいくつかありますが、売れない商材は、どんなトップセールスの方が営業したところで、残念ながら売れません
売れない理由は一つだけ
つい、「商材が悪い・機能が足りない・価値提供が弱い」などと考えてしまいがちですが、売れない理由はそうではなく、シンプルに一つだけです
誰も欲しいと思っていないから
つまり、顧客がいない、ということです
この理由は、2つに分解することが可能です
1.の場合は残念ながら、手の施しようがありませんので、事業であればピボットが必要ですが、意外と2.のケースが多いです
では、どのくらい売れるのか?という市場の大きさの議論はありますが、それはどの程度の事業成長を求めるのか?という問いなので、売れる・売れないとは別の議論です
欲しい顧客が見つけられていない場合、圧倒的に不足しているのがMarketingです
こちらの記事でも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください
パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)は、MarketingとSalesの掛け合わせ
Marketingで顧客を見つけ、Salesで信頼を勝ち取る
Marketingは端的に言えば、欲しい顧客を見つけることです
欲しいと思っている顧客が見つからなければ、どれだけSalesしても売れません
一方で、特にBtoB商材の場合は、どれだけ良い商材だと伝わっていても、顧客にとっては購入後の効果が重要なため、本当に役に立つのか?を吟味する必要があります
ここがSalesの出番で、お客様に効果を信頼してもらうのが役目です
代理店販売には両方のスキルが必要
パートナーとの相性をはかるためには、パートナー企業の顧客や商材を理解したうえで、自社の商材が組み合わせられるのかを考える必要があります
直販よりもさらに複雑な「顧客の発見」が必要です
また、パートナーに対するインセンティブを、どうプログラムとして構築するのかも重要ですので、顧客だけでなく、パートナーのニーズにも応えるという、非常に高度なマーケティングスキルが求められます
一方で、パートナー企業との契約締結やプログラムだけでは、営業担当者レベルでの動機付けは出来ません
どれだけ良いパートナー企業を開拓しても、結果的に、営業担当者がどれくらい提案してくれて、結果どうだったのか?が重要であり、そのためには現場レベルでの信頼構築が重要になります
最後に
自分自身がパートナービジネスに関わることで、新たな気付きがありました
それは、まさに今回記述させていただいた内容で、これまで自分自身はMarketingの領域(どの顧客の、どのような課題に、どう解決策を当てはめるのか)、とSalesの領域(顧客に信頼してもらうために、どのようなコミュニケーションが有効化)、を両軸で経験してきた、ということでした
デジタルデータの取得レベルが向上する一方で、組織の分断によるサイロ化が発生しがちです
役割の細分化は、知識や技術などの質を高める一方で、評価制度なども相まって、視野が狭くなる・自分の領域を守ろうとするインセンティブが働く、というトレードオフも抱えています
そのトレードオフに対抗する手段は、全体から俯瞰して捉える・解像度の高い具体的な事象と照らし合わせる、ということだと感じます
自分自身、そういった能力を高めていけるよう尽力して参ります
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パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)とSales Enablementを掛け算したPartner Sales Enablementを構築すべく、週1回のnote投稿にチャレンジしています
パートナーセールス・代理店販売のノウハウとして、「こんなのもあるよ!」という方がいらっしゃいましたら、是非お声がけください!
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