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【読書】ましろのあさ(絵本)

 2023年になりました。今年の干支はうさぎです。
 うさぎを飼ったことはありませんが、我が家にはうさぎが登場する絵本が数多くあったためか身近な生き物です。
 どの絵本も好きだったのですが、一冊だけあまり好きになれない、というかよく意味が分からない作品がありました。子どもの頃にあまり読んでいなかったためか比較的きれいな状態で本棚に入っていた「ましろのあさ」(作:いもとようこ)。大人になってから読み返し、ようやくその意味が分かりました。頑張りたいときやギアチェンジをしたいときに読みたい一冊です。

 表紙には真っ白くてかわいらしいうさぎが描かれています。 このかわいさに惹かれて購入してもらった記憶があります。
 主人公はうさぎの「ましろ」。

”ましろは うまれた ときから ずっと あみの へやに います。
 ましろの へやには おいしい にんじんが いっぱいあります。
 きれいな みずも たっぷり あります。
 そして、へやは いつも きれいです。”

いもとようこ「ましろのあさ」(金の星社)

 ましろは誰かに飼われているようです。「網の部屋にいる」という描写から、家の中ではなく外に設置されていそうです。幸せな環境にいるましろですが、いつも網の外の世界が気になっています。

●ましろは外の世界が気になる●

”「だけど なんだか つまらない。
  だけど なんだか つまらない。
  わたしは いつでも あみの なか。
  あみの そとは どんなだろう。」”

いもとようこ「ましろのあさ」(金の星社)

 満月の夜、ましろは網を破って抜け出します。
 すると、野良犬に気付かれ追いかけられてしまいます。
 やっとのことで逃げますが、いばらの茂みで怪我をしたり、森の中で迷子になったり、食べ物を探してへとへとになるまで歩き回ったりし、ましろはぐったりしてしまいます。

●野良犬に追いかけられる●

”「おいしい にんじん どこだろう。
  きれいな みずは どこだろう。」
 でも いくら さがしても みつかりません。”

いもとようこ「ましろのあさ」(金の星社)

 ましろにとって「食べ物=にんじん」「飲み物=きれいな水」が常識でした。しかし、いくら探しても人参や水はありません。
 疲れて眠ってしまったましろは、あくる朝に朝露を飲んでみます。

●あさつゆ●

”ましろは はじめて あさつゆを のんでみました。
「あっ なんて おいしいんだろう。」
 くさの はっぱも はじめて たべてみました。
「なんて おいしいんだろう。」
 にんじんしか たべられないと おもっていた ましろは
 うれしくなってしまいました。”

いもとようこ「ましろのあさ」(金の星社)

 網の内側にいたら知ることのなかったことを知り、「わたしの あしで はしってる。」と大きな声で歌うところで物語は終わります。
 子どものときは、「え?家に帰らないの?」と驚きでいっぱいでした。
 大人になってから読み返すと、”安心・安全の環境”も大切だけれど、何事にも挑戦すると新たな発見があるから頑張ろう、という思いになりました。
 2023年、どんなことに挑戦しましょう。何をしましょう。
 一年後に振り返ったとき、「色々なことに挑戦したな。」と思える年にしたいです。

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