負のスパイラルを、正のスパイラルへ
「なんで、結果が出ないんだろう!?」
自分の子どもは、睡眠時間を削り、食事の時間も削って、机にかじりついて、毎日、一生懸命、勉強している。だけど、結果がついてこない。だから、ますます勉強時間をながくするけれど、うまくいかない、、、。
とても残念な、「負のスパイラル」に入っていることってありませんか。
この負のループを「正のスパイラル」に変えることはできないものか。
もっと効率的に勉強ができないものか、また、本番でベストな状態で実力を発揮できないものか研究をしていくと、ある傾向が見えて来ました。
頑張っているけど報われない、負のスパイラルの受験生は、次のような共通点がありました。
・ 睡眠時間が6時間未満。
・ 勉強机に連続して2時間以上、座りっぱなし。
・ 塾の途中コンビニで、カップラーメン、ファーストフードやスナック菓子、清涼飲料水をよく飲む
・ 極端に太っている、やせている。
・ 家族との会話がない。もしくは、反発している。
・ 朝ごはんを食べていない。
・ 休日は家にこもりっきりで勉強
これは、どれも、「脳の血流を悪くする習慣」です。
脳に血液が巡っていないため、頭がぼーっとし常に霞がかかった状態。
その結果、集中力が低下。
暗記物を覚えようと思っても、覚えられない。
論理的に考えようと思っても、思考が組み立てられない状態です。
これではどれだけ長時間勉強しても結果はついてきません。
本人も手応えを感じられず、イライラし、もどかしいはずです。
負のスパイラルに入っている受験生は、一生懸命、勉強をしているのでしょうが、エアロバイクを漕いでいるかのように、前進している感覚や、周りの景色が変わる感覚も味わえていません。
一方、今まで積み上げてきた勉強を、本番でいかんなく発揮できている「正のスパイラル」の生徒は
・ 睡眠時間、7時間半以上
・ 1時間毎に席を立ち、軽くストレッチ
・ 3食、たんぱく質、野菜、炭水化物を摂っている。
・ スリムな体型を維持している
・ 家族関係が良好。
・ 朝ごはんを毎日、食べている。
・ 勉強の合間に10分間のサイクリング/ウォーキングで気分転換
という共通点が見えてきました。
これは、どれも体の健康を支える習慣であり、同時に、「脳の血流を良くする習慣」です。
日中は、頭が冴え渡っているため、勉強もスムーズに頭に入り、夜は深い睡眠をとっています。
昼の質も、夜の質も高い状態です。
成績が良い子どもは、健康で、脳のめぐりが良い習慣を持っているのです。
集中力も高く、暗記もスムーズ。学んだことがぐんぐん頭に入っていく感覚です。
自転車のペダルを踏むたびに、ぎゅんぎゅんとスピードが出る、前に進む感覚に近いかもしれません。
本番に強いのも当然、頷けます。
本書のテーマは、本番力を高める健康習慣を身につけること。
そして、ゴールは、本番で実力を100%発揮するコンディションづくり。
現代は、「Withコロナ時代」と言われ、健康を否応なく意識する時代となりました。東京都のアンケート調査によると、8割の人が今までよりも健康を意識するようになったと回答しています。確かに、私達の生活においても、マスクをし、うがい手洗いを実行することで、この2年間、風邪やインフルエンザに罹患した人はほとんどいなかったのではないでしょうか。
従来の生活の中ではうがい、手洗いなどの健康習慣は、知識としては持っていても、真剣に実行する人は、少なかったはずです。
しかし、「健康習慣は、実行すれば、結果が出る」
このことを実感した人は大勢いらっしゃるに違いありません。今ほどスムーズに健康習慣を取り入れられる時代はありません。
私は長年、ビジネスパーソン向けに企業、行政、海外の大学などで「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」をテーマとして講師をしております。また、近年、この講演が、受験を控えた受験生たちにも効果的という評価を某大手塾の指導者から頂き、受験を控えた保護者・生徒たちにオンラインセミナーを延べ1,000人以上に研修してきました。
私は長年、ビジネスパーソン向けの「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」をテーマに、企業、行政、海外の大学などで講師をしてきています。
多くの保護者や受験生の生活を聞く中で、私が驚いたのは、睡眠時間を削り、勉強机に何時間もかじりつき、朝はふらふらになって目覚め、学校では居眠りをして、栄養ドリンクを飲みながら塾に行き、夜食はカップラーメン。蓄積された疲労をエナジードリンクやサプリメントでかき消しながら、試験本番に向かう子どもたちがいるということ。
まるで一昔前の、健康を犠牲にして働く日本のサラリーマンを見ているようでした。
これでは、本番に力を発揮することはできません。
本書では、
本番力=やる気+勉強+健康(心・体)
と定義します。
今までの受験は、健康は後回しにして、気力と勉強の割合を多くして、乗り切ってきたかもしれません。
しかし、これからは、健康という土台を高く安定させ、効率的な勉強をし、充実した心身で本番にのぞみ、結果を出す時代です。
「本番力」があがると、日々の勉強だけでなく、中間・期末テスト、模擬テスト、受験本番など、「ここぞ」という踏ん張りが効くようになります。
親の役割は、子供の発射台を高くすること。
本書をきっかけに、お子様のみならず、家族全員の健康という土台を高くするきっかけにしてください。
本書をまとめるに当たり、①科学的に根拠があるもの ②延べ1,000人を超える受講者に実際に試してもらい結果がでたもの ③忙しい受験生が「今の生活の中で」無理なく実践できる内容の3点にこだわりました。
また、私は今まで介護サービスで10年間、予防医学としての生活習慣を学んできました。その後、海外でレストラン経営をすることで栄養学を学び、日本帰国後は、大手サプリメントメーカーで10年間商品開発の責任者を務め、日々海外の研究論文を読んできました。こうした経験も踏まえ、体系的かつ、実践的な書に仕上げました。
また、本書のメインの読者は、受験生を支える保護者ですが、実際のところ、受験生自らが納得し動かにないと変化は現れません。文字数を減らし、読みやすくしています。ぜひ、親子で読んで頂ければと思います。
本書の構成は、考え方、食事、睡眠、運動、実践編と5章に分けています。ただ、運動については体育の授業で体を動かす要素が大きいため、最小限にとどめています。
気になる健康メソッドから拾い読みをして頂いても構いません。しかし、「考え方」も頭に入れた上で読み進めていただくとより、納得感もたかまり、実際の習慣形成につながるのではないかと思います。
受験は団体戦です。家族で新しい生活習慣を一つ一つ、取り入れて栄光のゴールまで駆け抜けていきましょう。
健康マネジメントスクール
代表 水野雅浩