要支援と要介護を分ける「唯一の壁」
生活期(維持期)を担う医療者であっても、案外介護保険を使うための介護認定ってどうやって決められるの?というルールを知らなくて、ケアマネージャーさんと話が噛み合わないセラピストが多くいます。
介護保険制度を理解しているセラピストは少数派
それは当たり前の話で、理学療法士全体の1/10しか生活期の介護部門で働いておらず、しかも制度理解が必要な管理者となるとさらに1/10程度となります。そのため、介護保険制度を理解している理学療法士は100人に1人と言っても過言ではありません。(概ねの理学療法士就職先は以前にnoteで書きましたので、ぜひ!)
「介護認定を受ける時って役所から面談に来る人がいるよねぇ』ってな程度だと思いますが、要介護・要支援を大きく分けるものって何ですか?と聞かれて、ズバッと答えられるセラピストは少ないです。
要支援と要介護を分ける壁とは?
実は「認知症」です。
もちろん、個々の症例によって、筋力が落ちて、足が頼りなくなってしまったりすることによって受けられることもありますが、まずはこのハードルを越えなければなりません。
分かりやすくまとめられた表で確認しましょう(出典:DUSKIN)
要支援2と要介護1で大きく変化しているのは「認識力」と「排泄」となっております。ここがボーダーなのです。
もちろん、他の持っておられるADL (日常生活活動動作)の要素で変化しますが、私の肌感覚としては「全く認知症ではない」というだけで、この壁を超えられない方は少なくありません。
まことしやかに語られる「面談ではボケたフリしーやー」と認定を経験した人から始まるヒソヒソ話はこの理由があるからです。
もし、認知症がなくても介護が必要な方へは、医師からのコメントでその介護は必要な医療的な目線のコメントをしっかりと書いてもらう必要があります(私の肌感覚では書いてくれても通らないことも多いです)。
そして、一度跳ね返されたら、改めて変更してもらう(区分変更)をするのにも改めてプロセスを踏む事が必要であるため、一言で言うと「面倒」ですよね。
要支援の方には優しくない令和3年度介護報酬改定
これは訪問リハビリテーションに限った話ではありませんが、リハビリ開始して1年以上経過している要支援者の訪問リハビリにおける診療報酬単価が下がりました。しかも、3単位(60分)のリハビリは半額とされてしまいました。
要するに、リハビリをながーーーく、だらだらリハビリしている人は「減算しますよ」という国からの「この紋所が目に入らぬか!」状態にされました。
減算とはどのような状態かといいますと、ご利用者さんがリハビリをした1回あたりの支払い金額が減る、ということです。
利用者さんからすれば、え!?半額になるの?ラッキー!となります。
特に、3単位(60分)の減算は–50%となりました。そうです。スーパーで閉店間際に陳列されるお惣菜にペチンを貼られる50%シールが介護の分野で貼られたのです。
ここまで減算になると、どこの事業所も採算が合わなくなるため、60分間のリハビリはサービスとして提供しない、となってしまいます。
実際に、ある事業所では介護予防のリハビリテーションのパンフレットで利用できる時間の表記に60分枠のご紹介欄がゴッソリ軒並み削除されていってます。この制度は使えない、という状態であるということです。
ならば、ボケたフリして介護認定をハッキングしちゃおうよ!
純真・純白の信念を貫くわたくし「さっとん」はオススメしません。しかし、要支援と要介護を分け隔てるkeyとなるのが「認知」ではあるので、要支援の方でADLが下がってきた理由に「認識力・認知面の低下」が出て来れば、要介護へ以降できるタイミングとして、区分変更のご提案をしてみてはいかがでしょうか?
最後に
要支援から要介護への移行を検討されている方が何をもって要介護となるのか?をこの記事を通じてイメージしやすくなれば嬉しい事はありません。
何か教えて欲しい内容などございましたら、コメント欄へ皆様ご記入ください。お時間ある時とはなりますが、ご返答します。
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