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kokoro

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医療現場のリアルを公開。突然の事故や病気による障害、余命宣告をされた患者さんたちの言葉から教えられる人生や命についてを語っています。
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#命

今、お父ちゃん焼いている時間だわ

「今、お父ちゃん焼いている時間だわ」 ある日、リハビリを行うために患者さんのお部屋に行った際に患者さんから開口一番に言われた一言がこれでした。 私が担当していた患者さんの旦那さんは別の病院で入院中でした。夫婦揃って病気で入院をしていたのです。それも別々の病院で。 互いにかなり重症でお互いの病院を行き来することはできない状況が長く続きました。 そんな時、患者さんの旦那さんは亡くなりました。 死目にも会えず、葬式にも出られずの患者さんは今、何を思うのでしょうか。 「今

その家族の自撮りの意味、病院でのある光景

今回の記事はstand.fm「病院あるある探検隊」でも紹介した内容です。stand.fmでは今回の記事を音声で聞くことができます。 ある日の夕方、 私は、息子の保育園のお迎えのために足早に職場の敷地内を歩いている時でした。 「息子は泣いていないかな」 「今日は保育園で楽しんだかな」 と思いながら歩いている時、 私の歩行速度が急に遅くなりました。 それは目の前の光景に目を奪われたからでした。 敷地内のベンチに座る母親と病気を抱えた子供の姿。 子供はおそらく重度

ありがとう、患者さん

また1人、患者さんがお亡くなりになられました。 初めて会った時は、リハビリは完全拒否で全くやってくれなかった方で非常に大変でした。 他愛のない雑談を繰り返す内にだんだんと打ち解けてきて、少しずつリハビリができるようになって、笑いが生まれるようになって・・・ でも、病気は治らない病気・・・どんどん身体状況は悪化していく・・・ 笑顔がみられない日も出てきて、だんだんとリハビリもできるような状態ではなくなって 私もお部屋にいくのが辛くなってきて、足が重くなることもありまし

みんな、いつからそんな風になった

いつからみんな、そんな風になった 今この時も私が勤務する病院では、病気と真剣に闘っている患者さんがたくさんいます。 産まれつき心臓の病気を抱えた0歳の子供 30歳代、仕事も子育てもこれからという時に、がん発病 一生治らない難病と診断された40歳代の働き盛り 例をあげればきりがないくらい、たくさんの人が今も自分の命や人生、そして家族とのことについて真剣に向き合っています。 ちょっとした嫉妬心や恨み、妬みなどが原因で殺人事件が起こっています。家族内で、無差別で。 自