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その家族の自撮りの意味、病院でのある光景

今回の記事はstand.fm「病院あるある探検隊」でも紹介した内容です。stand.fmでは今回の記事を音声で聞くことができます。


ある日の夕方、

私は、息子の保育園のお迎えのために足早に職場の敷地内を歩いている時でした。

「息子は泣いていないかな」

「今日は保育園で楽しんだかな」

と思いながら歩いている時、

私の歩行速度が急に遅くなりました。

それは目の前の光景に目を奪われたからでした。

敷地内のベンチに座る母親と病気を抱えた子供の姿。

子供はおそらく重度の障害を抱えていて、意識はない。

その子供と秋の夕暮れに自撮り写真を撮る母親。


どんな思いでその母親は子供との自撮り写真を撮っていたのでしょうか。

私にはわかりませんでした。

微笑んではいましたが、どこか疲れているような、寂しいような、不安なようななんとも言えない表情。

病気を抱えた子供を育てるということ、看病するということは並大抵のことではありません。

医療制度、社会制度だって十分ではない。

自分たちの生活をすることだけも精一杯のこの世の中です。

どんな思いでその母親は子供との自撮り写真を撮っていたのかは、私にはわかりませんでした。

その時、私は子供を普通に保育園に迎えに行けることの幸せ、子供と夕飯を普通に食べることが出来る幸せ、子供と川の字になって寝ることが出来る幸せを改めて感じました。

この時、私も少々育児に疲れている時でしたが、猛烈に反省しました。

自分のおかれた状況がいかに幸せなことであるか、そして医療者としてこうした光景を忘れずに日々患者さんとしっかり向き合う必要性があることを改めて考えさせられました。

病院にはいろんな光景を眼にします。

その1つ1つに意味がきっとあるはずです。

その光景を見落とさず、大切に見守り・支える医療者でありたいと思います。



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