[書評]マインドセット「やればできる! 」の研究
ヒデトです。昨日の投稿を読んでいただいたからかと思いますが、BOOTHで1冊お買い上げいただきました!ありがとうございます!!今日のおつまみ代になりました(チーかまを食べながら)。
さて、今日は発売当初からずっと気になっていて、ようやく読むことができた本を紹介いたします。
マインドセット「やればできる! 」の研究 Carol S. Dweck(草思社)
マインドセットという聞き慣れない言葉ですが、日本語に直訳すると「心のあり方」のことです。このマインドセットには2種類あります。
硬直マインドセット fixed mindset
自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人
しなやかマインドセット growth mindset
人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができるという信念を持つ人
この2つのマインドセットのうちのどちらを選ぶかによって、あなたの未来が大きく変わってくる。というのがこの本の主旨です。一言で言ってしまえば、しなやかマインドセットの方が幸せな人生を送れるから心のあり方を変えていきましょうね、という本です。簡単でしょ?
ただ頭ではわかっていても、俺の49年生きてきた人生がそれを許してくれない。どうしても心の奥底で「そんなことはない」と否定し続ける自分が居るんです。この本にひどく拒絶反応を起こしている自分が居るんです。読み進めるのに非常に苦労しました。そんな自分のことについてちょっと説明させてください。
天才少年
俺が小学校時代までの古い知り合いに会うと、決まって言われるのが「あの頭の良い山下くん」でした。特に勉強をしなくても成績はクラスで1番。周りからは天才と呼ばれ、まさに頭の良さが自分のアイデンティティーでした。アマチュア無線の免許を取ったのも小4の秋です。その当時は国内最年少記録が小2だったので、かなり早く取得した部類だったと思います。
小4の冬休みに、同級生が通っていた日能研の冬期講習を受けました。講習最後の試験で総合17位になり、人生で初めて勉強で1位になれなかった経験をしました。今考えると東京神奈川神戸の日能研全体で17位なので凄いことなのですが、当時はそれなりに悔しかったです。小5から日能研に通い始め、さすがに全国レベルだと100~200位ぐらいに落ち着いてきますが、まあ好成績をキープしながら第一志望の中学に合格しました。
そして天才少年伝説はそこで幕を閉じます。かつての天才少年は勉強をサボるようになり、サボったらついて行けなくなり、ついて行けなくなったらますます勉強をやらなくなってしまいました。なんとかその後それなりに優秀な大学に一浪で引っかかりましたが、分不相応な大学で卒業するのに結局6年かかってしまいました。
危険なほめ方 優秀というレッテルの落とし穴
こんな自分の体験ですが、まさに同じような内容がこの本に書かれています。
私たちはこれから中学に進学するという生徒たちを対象に、マインドセットと成績の関係を調査した。(略)
私たちの調査で成績が落ちたのは、最初のマインドセットの評価で「硬直」と判定された生徒たちだけだった。中学入学直後から成績が下がりはじめ、2年間にわたって、徐々にだが着実に低下していった。一方、「しなやか」と判定された生徒たちは、2年間ずっと成績がアップし続けた。
中学入学の時点で両群の成績に差はなかった。つまり、小学校の環境では成績にも試験の点数にも違いはなかったのに、中学で難しい問題にぶつかったとたんに、両群の成績に差が現れはじめたのだ。
まさに自分のことが書かれている!と思いました。小学校の成績は良かったはずなのに中学で問題が難しくなっていった途端について行けなくなったのです。
そしてそのマインドセットを形成する一つの原因についても本書で触れられていました。(以下長いのでp.94~95の内容を文意を損なわない範囲で省略します)
ほめるにあたっては生徒を2つのグループに分け、一方のグループではその子の能力をほめた。そう言われた子どもたちは、有能というレッテルを貼られたことになる。<能力群>
もう一方のグループでは、その子の努力をほめた。自分には何か優れた才能があると思わせないように、問題を解く努力をしたことだけをほめるようにした。<努力群>
難問が出されてから、<能力群>の生徒の出来はガクンと落ち、その後ふたたびやさしい問題が出されても成績は回復しなかった。一方、<努力群>の生徒の出来はどんどん良くなっていった。
この調査は知能検査の問題を用いて行なっているので、能力をほめると生徒の知能が下がり、努力をほめると生徒の知能が上がったことになる。
幼稚園、小学校の頃から優秀だ、天才だともてはやされてきた俺は、見事に硬直マインドセットに凝り固まってしまったわけです。そもそも自分のことを他人のせいにしている時点でダメですね。
マインドセットをしなやかにしよう
こんな硬直マインドセットの良くない点の指摘が第1章から第7章まで続きます。自分の半生を振り返りながらこの本を読み進めることが、拷問のような時間のように思えてきます。ただ最後の章に救いがありました。第8章のタイトルは「マインドセットをしなやかにしよう」です。著者の主催するマインドセットのワークショップに参加した生徒たちは、それまでひどかった数学の成績が、飛躍的にアップしていたそうです。
著者はこんなアドバイスも送っています。
今日は、私にとって、周囲の人にとって、どんな学習と成長のチャンスがあるだろうか?
そしてチャンスを見つけたら、それを実行する計画を立て、次のように問いかける。
いつ、どこで、どのように実行しようか?
当然、障害には突き当たる。失敗したら、計画を立て直して、次のように問いかけよう。
いつ、どこで、どのように新たな計画を実行しようか?
どんなに落ち込んでいても、行動に移すことが肝心!
そしてうまくいったら、次のように自問するのを忘れないこと。
逆戻りせずに進歩を続けていくためには、どんなことをする必要があるだろうか?
「上り坂か、下り坂か、道はふたつにひとつ」
どちらの道を行くかは、あなた次第なのだ。
こう自問することで、自分が成長するチャンスや大切な人の成長をうながすチャンスを逃さないように心がけていられるでしょう。
noteをはじめたこともそうですが、自分が成長できるチャンスを逃さず、新しいことにチャレンジしていきたいという気持ちにさせてくれました。
ではまた。
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