甲羅を外した悟空の気持ち
先日も書いたが、私はKindle出版をしている。
だが、どういうわけかある時から筆が重くなり
ここ2か月ほどなかなか出版に至らなくなった。
先日の記事では頭の中で書くことが
ちゃんとまとまっていないことが原因だと分析し、
Kindleの台本を書くことをTo Doとして書いた。
そして、実際に台本を書いてみて
いざ私はパソコンに向き合った。
だが、困ったことに同じように筆が重いのだ。
おかしい。あの仮説を立てた時には
自分なりにとても腑に落ちたはずなのに、
なぜ筆は重いままなのだろうか。
そう思いながら、筆が重くなったと感じ始めたころに
何か変化がなかったかを考えてみた。
すると一つの変化点があることに気が付いた。
それは文章を書きながら、段落や句読点を
意識するようになったことである。
以前の私の執筆スタイルは段落など全く気にせずに
頭に浮かんだ文章をとにかく先に書いていき、
その後で修正をするというものであった。
だが、このスタイルでは勢いに任せて書いているため
修正に時間がかかるのが悩みだった。
そこで、ある時から私は段落や句読点を意識しながら
書くようにした。
そうすることで出版自体にかかる時間は
削減でき、そこから2冊をポンポンと出版できた。
自分なりにはとてもいい改善だったと思っていたのだが、
もしかするとこの変化が筆が重くなった原因かもしれない。
そう思い執筆のスタイルを以前のような
段落や句読点を気にしないスタイルに戻してみた。
すると、嘘のように執筆速度が上がったのである。
スキマ時間を使って書き始めて2日であるが
既に15000文字に到達しており、
台本からするとあと二日もあれば
書き終わってしまう感じである。
これには私自身とても驚いた。
なぜなら、これほどまでに執筆速度が
戻るとは想像していなかったからである。
よく考えてみると、毎日書いているこのnoteは
段落を全く気にせず書いている。
この書き方のスタイルはもともと
スマホ画面でも読みやすいように
比較的短い文章で改行し始めたのが
キッカケだったのだが、
今となってはこれが自分のスタイルになった。
そうして、無意識のうちに段落などを気にせず
文章を書くことに私は慣れてしまったらしい。
だが、noteならそのままのスタイルで
発信をしても読者が読みにくいと感じることは
ないのだが、
Kindleとなるとそういうわけにはいかない。
読者は基本的に本を読むような感覚で
Kindleを読むので、どうしても文章の体裁を
整えなくては読みにくいものになってしまう。
だが、考えみるとはこれは彫刻を作るプロセスと
同じなのではないだろうか。
大きな丸太を切り出して彫刻を作る際に
最初からノミだけで切り出す人はいない。
最初はチェーンソーなどで明らかに要らない部分を
ラフに切り取って、そこから大きなノミで
ざっくりと切り出して、最後に小さなノミで詳細な部分を
再現していく。
文章を書く際にもこれと同じように
大枠をざっくりと先に書いた方が
ずっと書き上げる時間を短縮できる。
だが、私は最終の仕上げ工程にかかる時間を
削減しようと、最初から小さいノミで
削ることにしてしまったのだ。
それ故に逆に時間がかかり、
筆が重くなったとすればとても腑に落ちる。
だがこれも一度書き方のスタイルを
変更したからこそ気づくことができたことである。
こうして試行錯誤しながら自分のベストなスタイルを
見つけていくしかないのであろう。
再び筆が軽くなった今、私は書きたい衝動を
抑えるのに苦労するほど、
早く文章を書きたくてウズウズしている。
まるで修行で重い甲羅を背負わされた悟空が、
甲羅を脱いだときのようである。