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自分と向き合う時間

昨日仕事帰りに髪の毛を切った。

半月ほど前からそろそろ切りたいと
うずうずしていたのだが、
そういう時に限ってなかなかタイミングが合わず
なかなか切ることが出来ていなかった。

ちょうど昨日仕事帰りに駅前の床屋を見ると
人が少ないタイミングだったので
私は迷わず店に飛び込んだ。

その店は私はいつも行く、廉価な床屋である。

廉価な分、店員さんとの余計な会話もなく
シャンプーや顔そりをしなければ
15分ほどで終わるのでとても重宝していた。

だが、1点この手の廉価な床屋に行く際の
デメリットがある。

それは毎回カットする人が異なることである。

美容師に比べればまだバラツキは小さいと
私は思っているのだが、
理容師も切る人によって感覚が異なるので
同じオーダーをしても仕上がりが違ってくる。

特に切った直後は問題なくても
切ってからしばらくするとその違いが
ハッキリとしてくるのだ。

なぜなら、私は昔から髪の毛が多いと
言われるからである。

髪の毛を切るときに毛をすいて
適切に毛量を減らしておかないと
伸びてきた時に妙に横にボリュームが出たり
形が合わなくなってしまう。

その辺りを考慮してくれる理容師の方に
偶然当たったなら、次に切るまでの1か月半~2か月ほどは
結構髪型がシックリくるのだが、
運悪く適当な理容師の方に当たると
髪型がキマらずとても嫌なのだ。

そして、前回切った時の理容師さんが
まさに後者のタイプであったらしく、
私は後ろ側の髪の毛のボリュームに
辟易しながら毎日を過ごしていた。

店に入り、今回の理容師はどの人かと
半ば祈りながら席に着くと、
今まで見たことのない新しい理容師さんが
「今日はどうしましょう?」と
私のもとに現れた。

新しい方と言ってもベテランっぽいその理容師さんに
いつものオーダーを伝えると、
その方は「前回いつ切られたんですか?」と
私に聞いてきた。

2か月弱ほど前だと伝えると、
全体的によく伸びていて、
特に後ろ側が重くなっていることを指摘して
「この夏暑かったでしょ。
今日はスッキリ軽くカットしますからね」
と言った。

これまでこの店には何年も通っているが
このようなやり取りは初めてだったので
正直私は驚いてしまった。

そこからカットが始まっても、
その方は私の髪質のことを言ったり、
細かな部分もどの様にしたいかを尋ねてくる。

そして、何よりカットが丁寧であった。

私としては15分ほどでサッと切ってもらえることを
期待していたのだが、
時計をちらっと見ると既に20分以上が過ぎている。

もしかするとこの方は
通常の4000円ほどする理容室から
何らかの理由で廉価な理容室に
最近移ってこられたのかもしれない。

とはいえ、久々に丁寧な対応をされるのは
あながち悪いものではない。

結局いつもの倍ほどの時間をかけて
カットが終わり、
私は軽くなった髪の毛に満足して帰路についた。

だが、あの理容師さんも次に行く頃には
廉価な店での顧客対応に慣れて
他の方と変わらない接客になっているだろう。

廉価な店であの接客を続けていては
回転数が落ちてしまい、
店としては利益が出なくなってしまう。

顧客としても早さと安さを求めているので
ある意味それは仕方がないことでもある。

しかし、今回あの理容師さんに対応してもらったことで
たまには4000円ほどする通常の理容室で
丁寧なカットをしてもらうことも
悪くないなと思えた。

髪の毛を切ることは単に清潔感を維持するだけでなく、
自分の外観を整えることでもある。

時にはじっくりと自分の髪について
プロのアドバイスを聞きながらベストな選択を
探してみることは
自分と向き合うという意味でも
とても大事なことなのである。

ここ数年そんな大事なことを
私は疎かにしていたような気がする。

新しい理容室に入ったり、
理容師さんと会話をするのは気が進まないが
次は普通のお店でカットしてもらおうと思う。

ちなみに子供のころから”顔そり”が
どうにも苦手である。

あの泡を太い筆のようなもので塗られるのも
たまらなく苦手だし、
カミソリを肌の上で滑らせる感じも
とても苦手なのだ。

廉価な店なら「顔そりなし」というコースが
ちゃんと設定されているが、
通常の店なら当たり前のようにセットになっている。

もちろん「顔そりは要りません」と言えばいいのだが、
何だかそれはプロの仕事を否定するようで
若干気が引けてしまう。

次回通常の理容室に行ったとき
私はきっとこの言葉を言うかどうか迷うだろうが、
せっかくいつもと違うことをするならば
18年ぶりぐらいに顔そりにも
チャレンジしてみてもいいかもしれない。



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