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理想の姿

将来どんな大人になって欲しいですか?

子育てをしていると稀にこのような質問を
受けることがある。

この手の質問をする方は
ポジティブな回答を期待しているのであろうが、
私は「彼らが好きに生きていてくれればいい」と
思っているので、答えに窮してしまう。

彼らが好きなように生きて
自分の人生を味わえているならば
それに越したことはないと思うし、
親としてそれ以上何も求めるものはない。

何か特定の仕事に就いて欲しいわけでもなければ
特定の大学に行って欲しいわけでもない。

妻には理想ぐらいあっていいだろうと
言われるのだが、
彼らの人生の理想を親が勝手に決めるのも
何だか妙な気がしている。

彼らが何か理想を見つけるための
サポートをしてやったり
機会を提供することは出来ても、
親があまりに具体的な理想を持ってしまうと
ついそこに誘導したくなってしまうものである。

しかも、親が理想を持ってしまうと
否応なくそれは子供への期待につながってしまう。

妙な期待があると、そこから外れた時に
どうしても人は感情的になってしまうので
本来自分のタスク以外に期待など持っては
ならないものだと私は思っている。

そんな私だが、
いつも見る度に感心してしまう子供がいる。

それは磯野カツオである。

なぜここでアニメのキャラが出てくるのかと
思われるかもしれないが、
私の中で磯野カツオは非常に理想の
子供像だと思っている。

我が家はテレビをつける時間がかなり
限定されているが、
その限られた時間の番組の一つがサザエさんである。

サザエさんは正直爆笑するようなシーンが
出てくるわけではないのだが、
私的には色んな面白ポイントがある。

・堀川君のサイコパス発言
・アナゴさんと奥さんのやり取り
・食卓でのカツオの「ねぇさん。。。」というオチ

そんな中でも
カツオの発想、アイデア力、行動力を
見るのが私の一つの楽しみなのだ。

カツオは学校の成績は決して良くないし、
テストでは20~30点台を取って帰ることが
しばしばある。

しかも、色んなことをしでかして
お父さんにはしばしば叱られている。

一見すると彼はダメなヤツのようにも
見えるのだが、
私はサザエさんに出てくるキャラクターの中で
誰よりも頭の回転が速く、
行動力も高い人物だと思っている。

そして何より彼は
自分の心に忠実に生きているように
見えるのだ。

ご存じの様にカツオにはワカメという妹がいる。

ワカメの成績について言及されたことは
あまりないのだが、
恐らく触れられることがないぐらい
成績については申し分ないのだろう。

ワカメは学校や家でもいたずらなど妙なことを
するシーンは殆ど描かれておらず、
いわゆる”いい子”キャラである。

だが、その”いい子”でならねばならないという
プレッシャーが時にワカメを苦しめている。

本当はしたいことがあるのに
それを”いい子”を守りたいがゆえに
解放することができないのだ。

正直、私自身子供の頃の自分を思い返すと
ワカメのようなキャラであった気がする。

兄との関係、そして親との関係が
そのようにしてしまったのかは今となっては
わからないことであるが、
少なくとも私は”いい子”であることが
正しい判断であると思っていた。

ある意味、”いい子””真面目”の鎧をいつも着て
生きてきたような気がするのだ。

だが、その鎧は重く分厚いものなので
ダンスを踊ることができない。

本当は鎧など脱ぎ捨てて、ありのままの自分で
ダンスを踊りたいのに
ありのままの自分を見られたり、
その姿で踊るダンスを叱責されるのが怖くて
ダンス自体を諦めてしまう。

私から見たワカメはどこかそんな風に
見えるのだ。

そして、私自身もそのような鎧をつけて
子供時代を生きてきたので
自分の子供たちにはそのような鎧を
付けずに生きて欲しいと思っている。

だが、磯野カツオにはそのような鎧が一切ない。
いつもありのままの姿で生きているように
私の目には移るのだ。

カツオはしばしばお父さんに叱責されているが、
それを恐れて行動を決めていない。

そして、自分の発想をとても忠実に行動に
うつそうとする。

時にその行動が失敗につながり
落ち込むこともあるが、
少しするとすぐに立ち上がって
反省しつつも自分の発想を大切に行動し始める。

その姿はとても私には清々しく見えるのだ。

自分になかったものを子供に持って欲しいという
ないものねだり的な感情が
私の心理の裏にないかと言われれば
どこかにはある気がする。

だが、それを抜きにしても磯野カツオは
私の中で理想の姿である。

子供の頃は余計なブレーキなど
かけなくてもいい。

大人になると嫌でもブレーキを踏む機会が
沢山でてきてしまうし、
そもそも子供はブレーキを踏まずに
思い切って行動できるように
人間は物心ついたころにナルシシズムがMAXとなって
すこしずつ減少していくような
設計になっているのである。

昨日も家族でサザエさんを見ながら
自分らしく生きるカツオに感心させられた。

うちの子供たちがそうなってもいいように
私も今から「バカモ~ン!」と声を張る
練習をしておこうと思う。

ちなみにサザエさんを見ていて不思議なことは
カツオはカオリちゃんか早川さんの
どちらのことが好きなのかということである。

この二人に対しては明らかに好意を寄せているが
どちらの方が本命というような描かれ方は
していない。

そして、父親も含めてカツオを将来の婿候補と
捉えている花沢一家の存在も気になる。

カツオは小5で10~11歳という設定だが、
あれから10年後のストーリーを描いたならば
ドロドロした感じになって面白そうな気がするのは
私だけではないだろう。


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