家族で訪れた思い出の場所
昨日の記事でも書いたが
一昨日と昨日、家族で実家に帰っていた。
二日目の昨日は元々京都の町を
観光する予定であったが、
あまりに人が多く混雑することと
京都観光は子供たちにとって退屈だということで
家族会議を開いた結果、
車でここ↓に行くことにした。
関東圏の方はもちろん、
関西にお住まいの方でもご存知ない方が多い
南郷水産センターである。
なぜここに行くことにしたかというと
GWでも比較的混雑しにくく、
ここが私にとって思い出の場所だからである。
私が生まれ育った家庭はあまり家族で
出かけるタイプではなかった。
子供の頃に奈良ドリームランドに
家族で1度行った記憶はあるが、
それ以外はほぼ父は一緒にいた記憶がない。
父は大工をしていて、少し気難しく
今の私と同じように人ごみをとても嫌った。
なので基本遊園地のような場所には
行きたがらなかったし、
買い物などにも行かなかった。
だが、それでも家族で年に1~2回の頻度で
出かける場所があった。
それが、今回私が行った南郷水産センターである。
ここは琵琶湖の南端のあたりにあり、
今大河ドラマで話題の石山寺の近くにある
分類としてはアミューズメント施設。
昔は入り口付近にちょっとした遊園地スペースは
あったものの、
私が子供の頃から既に古びた感じだったので
今回訪問したときには既に撤去されていた。
ここは琵琶湖に入り込む瀬田川の水を使って
鯉をはじめとした色んな魚を鑑賞してエサをやったり
フナや鯉の釣り堀を楽しんだりできる施設で、
アユのつかみ取りは昔から子供たちに人気であった。
そんな南郷水産センターで我が家はいつも
釣り堀を楽しんでいた。
私の父はほとんど趣味がなかったが、
唯一、ヘラブナ釣りを趣味にしていた。
ヘラブナ釣りは家族と一緒にするような
趣味ではない。
だが、南郷水産センターのような釣り堀ならば
レンタルの竿を使って家族で釣りを楽しめる。
しかもここは当時から比較的地味な施設だったので
そんなに混雑することもなく、
釣り堀で釣りを楽しんでいるのは
数組の家族連れと、常連と思しき人たちだけであった。
このような環境だったので、
職人肌で気難しい父にとってみれば
家族サービスができる数少ない場所だったのだ。
この南郷水産センターの話は
子供たちにこれまで何度か話してきたので
今回ここに行くことは妻以外満場一致であった。
(妻は京都観光がよかったようだが)
車を走らせ、目的地に近づくと
子供の頃に父の車から見ていた景色が
目の前に広がっている。
車を駐車場に入れる際も
混雑して待つのではないかと思っていたが、
特に待つこともなくすんなりと入ることができた。
早速入場券を購入して、中に入ろうとすると
受付の人も駐車場の人もとても愛想が良く、
本当にウェルカムな感じが伝わってくる。
好天のGWということもあり、
私の記憶の中の南郷水産センターに比べれば
劇的に人は多かったが、
それでも全く身動きがとりにくいほどではない。
鯉や金魚のエサやりに興奮する子供たち。
本当はここでマス釣りをさせてやりたいと
思っていたのだが、
GWで既に予約がいっぱいになったらしく
受付は終了していた。
私が子供の頃やっていたフナや鯉の釣り堀も
家族連れがズラっと並んでおり、
さすがにそこまで並ぶわけにもいかない。
どうしたものかと思っていると
小さな池で金魚釣りができ、
そこなら並ばずできるようである。
早速竿を借りて、釣りを始める。
息子とは海に何度か釣りに行っているが、
淡水の釣り堀は初めてなので、
まずは釣りの基本を簡単にレクチャーする。
海でする釣りのようにリールも無ければ
虫のエサをつけるわけでもない。
浮きが付いたしかけの先に練り餌をつけて
同じ場所に投入して、浮きの動きを見る。
ただそれだけの繰り返しである。
だが、この釣りは浮きの動きを見て
動きがあった瞬間にアワセをして
魚の口に針をひっかけなくてはならない。
一見とても単純であるが、
それがとても奥深いのである。
投入し始めた最初は、子供たちもイマイチ
ピンと来ていない様子であったが、
浮きがピクリと動く様子を見ると
その下に魚がいることがわかり俄然やる気が
出てきたようである。
特に息子は要領を得たらしく、
何度かアワセに失敗した後、
最初に1匹を釣り上げた。
それを見た娘は悔しそうな顔である。
私はそんな彼らにレクチャーをしながら
もらった練り餌を細かくちぎって
子供たちの仕掛けの周りに少しずつ撒いていた。
特に意識をしていた訳ではないが、
ふと思い返すと子供の頃、
釣り堀で父は自分は釣りをせずに
いつも私たちの仕掛けの周りに
撒き餌をしてくれていた。
知らぬ間に私は父と同じ行動を
取っていたことに不思議な縁のようなものを
感じた。
しばらくすると、娘の浮きにアタリが来て
娘は念願の1匹を釣り上げた。
自分が釣ったわけではないが、
何だか私も嬉しい気分になる。
子供の頃、この場所に連れてきてもらい
父に釣りを教えてもらったとき、
父の顔は間違いなく楽しそうであった。
父は釣りが上手かったので、
自分が竿を出せば次々に釣り上げられる。
しかし、時折竿は出すものの、
基本的にずっと私たちのところに
撒き餌をしながら
ときおりアドバイスをしてくれていた。
その時の父の気持ちが今回子供たちと釣りをして
手に取るように感じられたのである。
今回は残念ながら人が多く、
大きい釣り堀も、マス釣りもできなかったが、
混雑していない時にまたここに来て
ぜひ彼らに釣りを教えてやりたいと思った。
父が亡くなってもう20年近くになるが、
父から預かったバトンを子供たちに
引き継いでいく時期が来たのであろう。
最初は興味がなさそうだった妻も
子供たちが魚を釣り始めると
とても面白そうに思えたらしく、
次回は自分も釣りをすると意気込んでいた。
私達が住んでいる町からは
ちょっと遠いが、
実家に帰った時には少し足を延ばして
この場所に再び来ようと思う。
その時には実家から父の使った釣り道具を
借りていくのも悪くないだろう。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?