少し先の未来を想像する大切さ
昨日とある中学校の説明会を聞きに行った。
うちの息子はいま小学5年生。
本人の希望で塾に行っているのだが、
もともと受験をするつもりはそれほどなかった。
だが、我が家から比較的近い場所にある
公立の附属中学校を受けてみたいと
ある時から言い出した。
遠方からも通う子供が沢山いるなかで
うちからなら近くのバス停から1本で行けるし、
アクセスは決して悪くない。
そして、中高一貫が原則なので
高校受験に煩わされることなく
学生生活を送ることができる。
どうやら息子はこの点に
とても魅力を感じたらしいのだが、
今年から中学校に入った2年年上の人たちと
息子はなぜか仲が良く、
彼らのうち数人がその学校に入ったのも
息子に影響を与えたらしい。
私としては地元の公立校でもいいと
思ってはいるが、
息子が受けてみたいというなら
その意志は尊重してやりたいし、
何といってもその学校も公立なので
経済的な負担はそれほど大きくない。
だが、私自身地元の出身ではないので
その学校のことはよくわからない。
6年生になってから受けるかどうかを
決めても悪くないのだろうが、
それでは対策し始めるのが遅くなってしまう。
ということで、5年生ながら昨日開催された
学校説明会に参加することにしたのだ。
そうして会場に到着してみると、
私学かと思うようなきれいな建屋が
いきなり目に入ってきた。
設立されてそれほど長くないので
公立ながら設備はとても新しく、
全体的な印象としては私学の大学のようであった。
少しオドオドしながら説明会会場に入ると
既に多くの親、子供たちが席に座っており、
今か今かと説明会の開始を待っている。
仕事でもセミナーを受けたりすることはあるが、
それともまた少し違う雰囲気に
少しの居心地の悪さを感じつつ
待っているとほどなくして説明会が始まった。
ふと隣に座る息子を見ると、
息子は背筋をピンと伸ばして
説明会の内容を聞いており、
驚いたことに手にはノートとペンが
用意されていた。
事前送信された案内メールの
持ち物欄には筆記用具と書かれており、
私は持ってきていたのだが、
息子が自分からそんなものを用意するとは
思っていなかったので私は驚いてしまった。
説明会はおおむね1時間ほどで、
途中には先輩の学生さんが自分たちの活動について
説明をしてくれる機会があったりして
親にとっては非常に面白いものであった。
だが、一緒に連れてきていた娘には
退屈な時間だったらしく、
彼女は途中からスマホを渡して
写真を眺めさせることにした。
私の目の前に座っていた子供も退屈そうな
素振りをしきりに見せていたので、
きっと息子も退屈そうにしているのだろうと
ふと様子を見てみると、
変わらず背筋を伸ばして座り
最後まで説明をしっかりと聞いていたのだ。
そうして説明会が終わり、
学校の設備を一部を公開しているというので
見てみることにしたときも、
息子自身が見てみたいと言い出したし、
いざ見学をしてみてもとても興味深そうに
学校内を眺めていた。
その彼の様子はこの学校に自分が通ったら
どうなるのかを想像しているように見えた。
私自身、学生時代には公立の学校にしか
お世話になったことがない。
中学校は当然のように地元の学校だったし、
高校も徒歩5分ほどの距離にある
公立高校を選んだ。
経済的な理由もあって、
大学も自宅から通える国立校を選んだが、
実質選択肢は1つであった。
なので、私自身学生時代に何か目的があって
学校を選んだという経験がなかったのだ。
我が家も別に息子を私立の学校に入れるつもりは
なかったので、
正直、このような学校説明会に参加することは
私自身想定していなかったが、
今回初めて参加してみて、
息子の様子に私はとても驚いてしまった。
その学校はどちらかというと理系に特化しており、
子供たちの知的好奇心、探求心を高めることに
重きを置いた教育方針だと説明されていた。
正直、中学生の頃の自分がこの学校に通っていたら
もっと楽しかったのではないかと
私自身、説明を聞きながら思ったのだが、
息子の様子からはこれから自分がここに通ったら
楽しそうだという希望がにじみ出ていた。
正直この学校の倍率は高いので、
受験したからといって息子が合格する可能性は
それほど高いわけではない。
だが、今回の説明会を聞いて
ぜひ受けたいという息子に対して
親として応援したい気持ちになった。
大人でも数年先にどうなっていたいかを
具体的に想像することが大事だとよく言われる。
目標を立てる際にもその目標を達成した自分が
どのような気持ちで、どんな風になっているのかを
想像することでより明確な計画が立てられるように
なると言われているが、
これは子供においても同じなのだ。
何となく未来を想像して生きるよりも、
数年後どうなっているのか、どうなっていたいのかが
明確になっていることで
今するべき行動は明らかに変わるであろう。
今回の経験で、私は親として息子のことを
ちゃんと見てやれていなかったことを反省した。
彼は彼なりに未来を想像しようとしており、
その一つの形として説明会に参加したことで
とても積極的に聞こうという姿勢を見せた。
残念ながら子供には自らこのような
未来を想像できる機会を調べる力は強くない。
ならば、私達親がしてやれることは
何かを経験する機会を与えてやるだけでなく、
今回のように未来の自分を想像できる機会を
作ってやることではないだろうか。
そんなに遠い未来でなくてもいい。
数年先の未来が想像できるだけで
彼らの目は間違いなく輝くはずである。
正直、私自身数年後どうなっていたいのかという
ビジョンは正直曖昧である。
しかし、親として子供に機会を作ると同時に、
自分自身が数年後どうなりたいという
姿を想像して、それに向かう姿を
もっと子供たちに見せてやりたいと思う。
想像していなかったが、
今回この学校説明会に参加してよかったと
心から実感した。