保守的思考はクセになる
私が働く会社は決算月がずれている。
なので、今ちょうど来季の予算を
検討している真っ最中である。
世の中の多くの企業では3月末決算で
ちょうどバタバタしているであろうが
私たちは今違う意味で忙しい。
企業経営において予算決めは
まさに来年自分たちが何をして
どのぐらいの成果を出すかという
コミットメントである。
株主に対し、社員に対し、そして
そのほかのステークホルダーに対して
自分たちの来季の活動を宣言する。
それによって社員としても
自分たちが進むべき方向性が明確になるし
株主にしても安心して株式を保有しておける。
これは夏休みに親が子供に対して
明日の予定を聞くのと本質的に変わらない。
子供が友達と川に遊びに行くと言えば
「危ないので子供同士ではダメ」と親は
言うであろうし、
逆に家でゴロゴロしてばかりなら
「もう少し外で遊びなさい」と言うだろう。
このように翌日の予定を実り多いものにするプロセスが
親と子供の間で広げられるはずであるが、
企業においてもこれは同じである。
チャレンジングな予算に対しては
その根拠についてしっかり尋ねておかないと
大きくコケてしまうリスクがある。
逆にチャレンジ要素のない維持予算ならば
企業の成長する意欲を株主は感じなくなってしまう。
私は今の会社の予算編成に携わって
今で数年になるのだが、
毎年立てられる予算を見ていてあまりに保守的なことが
気になっていた。
確かにここ2年ほどは感染症の影響で
売り上げの見通しが立てにくかったのは間違いない。
何が売れて何が売れないかは予想が難しいし、
緊急事態宣言やマンボウがいつ発令されるかも
わからない中での予算作成は保守的にならざるを得ない。
それは大いに理解している。
しかし、来期の予算作成においても
その保守的な思考が強く残っているのだ。
先日予算案についての打ち合わせが
開催された。
営業の責任者から売り上げ予算について
説明がなされたのだが、
売り上げ伸長はごくわずかで、
いかに伸ばす要素がないかを説明するのみであった。
私は営業活動を自らしたことがないので
あまり深く突っ込むことはしなかったが、
もし彼らが言うように、
市場的に売り上げを伸ばす術が
これ以上ないのであれば、
新しい市場を開拓するしか道はない。
しかし、新規開拓については話は全くなく
現状維持に近い話に終始していた。
これでは会社の未来が危ういのは
言うまでもないだろう。
起業が継続していくためには
決して現状維持は許されないからである。
例え同じ売り上げ額に終わるとしても
高付加価値の商品にシフトするなどして
売り上げの中の利益を増やす活動は
必ずしなくてはならない。
そうしないと年々上がる人件費や
高騰していく原材料価格を吸収しきれない。
企業経営は飛行機のように
常に前に進み続けない限り
いつか墜落してしまう。
チャレンジし続けない限り
私たちは揚力を得ることができない。
まさに、チャレンジすることは
企業にとってエンジンを回すことなのだ。
そして、これは私たち個人でも同じである。
個人で生きていく上では現状維持することは
会社経営ほど大きな問題でないように見える。
しかし、世の中は確実に変化している。
現状維持だけをしていてはいつか破綻する時が
来てしまうのは個人でも同じなのだ。
来期の予算作成でとてもモヤモヤしている私であるが
そんな私自身も個人レベルで見ると
保守的な目標にしていなかったであろうか。
「これ以上はやりようがないから現状維持」
こんな言い訳を私自身に対してしていなかったか。
そう考えると、思い当たる節がいくつかあった。
今年も早くも2か月が終了したが、
個人レベルならば今から予算の見直しも可能である。
もう少しチャレンジ要素を増やして
しっかりと揚力を得ていきたいと思う。
人は一度保守的になると、
チャレンジを恐れてしまう生き物なのだ。
今回の予算作成が私にそれを教えてくれた気がする。
もちろん会社という船の乗組員として
私はより良い予算にするための意見はしていこうと思うが、
それと同時に個人の船の船長として、
チャレンジをもっとしようと心に誓った。
それを繰り返して個人の船をより強くすれば、
会社という船が傾いても安心できるではないか。
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