画面と現実は大きく違う
土曜日に家を出発して海外に来た。
今回の目的地はヨーロッパのある国。
成田発にはなるがダイレクトフライトを使えば
14時間ぐらいで現地に着くのだが、
いかんせんダイレクトフライトは高い。
出張旅費も予算の範囲に収める必要があるので
色んなルートを考慮した結果、
2回飛行機を乗り継ぐルートを選んだ。
私が航空便の選択に使ったのがSky Scannerというサイト。
出発、到着の情報を入れると各サイトから旅程と価格の情報を
集めてきてくれて比較ができる便利なサイトである。
このサイトで出発地と目的地を入れると
世界中の多種多様な航空会社の便を使ったフライトが表示され
その中から選んで、販売サイトから購入する流れとなる。
この際、画面上でどこで乗り継ぎ、何時間待ちがあってなどと
想像しながら見ていくことになる。
ここ最近海外旅行が盛んになってきた影響か
非常にどのフライトも混みあっており、
航空券の価格も高騰気味。
色んなことを考慮しながら結局今回のルートを
私は選ぶことにした。
過去に何度も海外には行っているが
私にとって初めての2回乗り継ぎパターンの旅である。
とはいえ、画面上に表示される限り
それほど大変なようには見えない。
そのぐらいの気持ちで土曜日に出発したのだが、
実際乗り継ぎをしてみると
想像以上にこの2回乗り継ぎが厄介であることがわかった。
なにせ2回の乗り継ぎがあるということは
2回も空港の中で次の出発口を探して歩き回り、
2回も次のフライトまでの時間をつぶすという作業を
しなくてはならないからである。
1回の乗り継ぎならば、この作業は案外楽しみにもなる。
日ごろ見ないようなハイブランドの免税店が並び
多くの人が行きかう空間に身を置くだけで
何だか楽しい気持ちになったりもするものであるが、
それが2回となると一気にウンザリしてくるのだ。
しかも、空港の中で時間をつぶそうと
飲食店に入ろうものならば、通常では考えられないような
高額な値段を支払わなくてはならない。
文庫本を4冊カバンに忍ばせて今回出発したが
2回のトランジットと長時間のフライトの中で
4冊などあっという間に読み終えてしまった。
こうしてフラフラになりながら
何とか最終目的地の空港に到着した。
そこからは現地の法人が手配してくれたタクシーで
1時間半ほどの道を乗らねばならない。
正直1秒でも早く寝たい気持ちだが、
海外のタクシーでぐっすり眠れるほど私も
肝は据わっていない。
万一何があっても対処できるように
しっかり目を開けておかなくてはならないので
タクシーに積み込む前にスーツケースから
文庫本を追加で取り出し、
タクシーの中でそれを読みながら時間をつぶすことにした。
よく車のなかで本を読んで酔わないかと
人には言われるが、
毎日バス通勤の中で本を読み続けて鍛えた私の三半規管は
ビクともしない。
結局、1時間半の道中で1冊の文庫本を読み終えて
片道の移動だけで5冊の本を読み終えてしまった。
もちろんフライトの途中で短時間の睡眠を
繰り返してはいたが、
移動の間だけで5冊もの本を読むと頭の中にも
情報が沢山入りすぎてパンクしそうになる。
今回持ってきたのは合計6冊の文庫本。
帰りの便も同じく2回乗り継ぎをしなければならないが
帰りは文庫本という装備がない中で
乗り切らなくてはならない。
こうなったらKindleで何冊か本をダウンロードして
スマホで読むしかなさそうである。
やはり何事も画面上で見るのと実際に経験するのは
大きく違うものであると今回の経験で改めて学んだ。
そして、乗り継ぎを2回するならば往復も考えて
最低10冊分ぐらいの本は必要だということも。
海外出張をするともちろん現地での滞在で
色んな学びを得られることはいうまでもないが、
案外道中で得られている学びも大きいのかもしれない。
そう思うと、今回の2回乗り継ぎは
私にとって大きな学びの機会となっていたならば
とても得した気がする。
とは言え、次にヨーロッパ方面に行く機会があっても
2回乗り継ぎはもう選ぶことはないだろう。