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当たり前すぎて気づかなかった疑問に気づいた話

初詣は近くの氏神様に行けば十分だと
私は思っている。

神社への参拝とは
自分たちが無事にいまを生きられていることに
感謝をする場であり、たくさん神社はあるものの、
感謝の対象は全て同じだと思っているからである。

だが、妻は違うらしい。

何社もお参りに行かなければ気が済まないらしく、
毎年何社かお参りに行っている。

我が家も近くの氏神様で年始に初詣は
済ませたのだが、
昨日、妻の希望で車で1時間ほどの距離にある
有名な神社に参拝に行くことになった。

午前は息子のサッカーの試合があったので
早朝から私と息子は出かけており、
昼頃に帰宅してから再び出かけることになった。

正直家でゆっくりしたいと思いながら
ハンドルを握り運転していると、
1社目(この数え方が正しいのか)に到着した。

毎年わら細工で干支の人形が作られるこの神社は
三が日に来るとズラっと人が並ぶのだが、
流石に12日にもなると人は少なかった。

サッと参拝を済ませ、次の神社に向かう。

1社目と2社目は結構距離が離れているので
ここからまた運転に集中である。

そして何とか2社目に到着すると、
時間は4時過ぎ。

辺りは薄暗くなり始めていた。

そこも有名な神社なので
幸い私達以外にも参拝客がちらほらいる。

サッを参拝を済ませ、帰ろうかと思うと
妻が破魔矢を買いたいという。

息子と私は何も買うつもりがないので
少し離れたところでその様子を見ていると、
息子がふとあるものに気が付いた。

学業成就の祈願を受付中という張り紙である。

その神社は菅原道真にゆかりのあるところなので
毎年この時期になると合格祈願の学生さんが
沢山来られるらしい。

息子ももしかすると来年早々に中学校を
受験するかもしれないので
彼自身何となく気になったのだろう。

そう思いながら息子と話していると
妻と一緒にいた娘がこちらにやってきて
私たちの会話に加わりだした。

娘があの張り紙は何かと尋ねるので
「行きたい学校に受かるようにお願いするんやで」
と教えてやると、
娘がふとこんなことを聞いてきた。

「受かるってどういう意味なん?」

確かに「受かる」という言葉は
わかりそうでわからない言葉の一つである。

娘に合格することだと教えると、
娘は「じゃあ、反対の言葉はなに?」と聞いてきた。

私が小さな声で「落ちる」であると答えると、
娘は不思議な顔をした。

彼女の中で「落ちる」の対義語は「登る」なのに
「受かる」という言葉だったかららしい。

言われてみれば「受かる」という言葉は
当たり前のように使っているものの、
イマイチ意味が分からない言葉である。

響きが似た言葉で「浮かぶ」と「沈む」ならば
何となくイメージにピッタリな気もするが、
「うかる」の漢字は「受かる」なのだ。

そもそも受という感じの送り仮名は
「受ける」であり、
この言葉は他動詞である。

お笑いなどで笑いが起こることも「受ける」と言い、
自動詞的な使われ方をすることもあるが、
この場合には感じはあまり使われない。

私は記事に書くときには基本的に
「ウケる」とカタカナで書くようにしている。

では、一体この「受かる」とは一体どこから来たのか。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/oushinken/47/3/47_227/_pdf

調べてみると上記の講演記事に当たった。

東北文教大学学長の須賀一好氏がこの「受かる」について
話をされている欄があり、
さらに調べてみると、この須賀一好氏が金沢大学時代に
「自動詞の派生『受かる』」(1998年)という論文を
出されていることがわかった。

残念ながら論文の引用はできなかったので、
ぜひ気になる方はGoogleで上記の論文を調べて
PDFの資料を見てみて欲しいのだが、
「受かる」という言葉はまさに
「受ける」の他動詞的な派生として生まれた言葉で
明治以降に生まれた比較的新しい表現らしい。

私は子供の頃からこの言葉を使ってきた。

学校のプールの授業で級の認定をされる際にも、
「オレ、〇級に受かった」と友人たちが
声高らかに言っていたのをハッキリと覚えている。

だが、これまでその言葉が当たり前すぎて
こんなにもこの言葉のナゾに気付くことは
なかった。

学びのネタはこの世の中に星の数のように
潜んでいてもそれに気付くかどうかで
見え方は全く変わってくる。

そんな事に気付かされる気がした。

もしかすると学問の神様が気づかせて
くれたのかもしれない。

もしそうなら疲れた体を引きずりながら
参拝に来た甲斐があったというものである。

今年も学び多い年になりそうな予感がした
寒い日の夕方であった。

ちなみに「受かる」という言葉を
考えている時に、似た言葉を頭の中で探していると
サザエさんのお隣さんである伊佐坂先生の
奥さんが「おかるちゃん」と
フネさんに呼ばれていることを思い出した。

よく考えてみれば「おかるちゃん」とあだ名になる
名前は一体何なのだろうか。

気になって調べてみると、
驚いたことに名前が「伊佐坂お軽」らしい。

しかも、驚いたことにご主人の伊佐坂先生は
名前が「難物(なんぶつ)」というらしい。

当たり前に見ている物でも知らないことは
やはりあるものである。

気になる方は是非下記リンクを見てみて欲しい。




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