
チョイスの面白さ。(曲が変わったver.)
このごろはね、WEBサイト
「ほぼ日刊イトイ新聞」で現在連載中、
NON STYLEの石田明さんと糸井重里さんとの対談
『NON STYLE石田明さんと、「お笑い」の話を。』が、
めっぽうおもしろい!
この対談は、昨年末放映されました
「M-1グランプリ2024」の決勝戦の四日後に
行われたとのことなのですが、その
審査員席に座られていた石田さんが、
「M-1」について、そして
「お笑い」についてどっぷりお話されていて、
「お笑い」って、すごいなあ!
と思いながら対談を読んでおります。
さいきんのぼくのブログではね、
書籍『日本の最終講義』(KADOKAWA)にて、
精神医学者・土居健郎さんの最終講義
【人間理解の方法 ——「わかる」と「わからない」】
を読みながら、土居先生が
「『馴染みがある』と『わかる』は、
だいたいイコールなのではないか。」
とおっしゃっていたことを申しましたが、
そのことと関連して申しあげますと、
「お笑い」もまた、
「馴染む」とつながっているとも存じました。
そのことでね、「ほぼ日」連載の
石田さんと糸井さんの対談の中で、とくに
おもしろいなあ! と感じましたのが、
昨年の「M-1」の、
真空ジェシカさんの二本目のネタにおける
とある「チョイス」のことです。
長くなりますが、以下、引用をいたします。
石田
だから先日のM-1の、
真空ジェシカの2本目のネタとか。ね?
「場が静かすぎて、隣から長渕剛さんの
歌が聴こえる」という。
糸井
はいはいはい(笑)。
石田
面白いじゃないですか。
ほいで2回目、もう1回静けさがあったときに
‥‥「次の曲に変わってる」んですよ。
糸井
ええ。
石田
で、僕はそのときに
「え、川北(茂澄)くん、
もっと合うんあったんちゃうの?」
って思うんですよ。
たとえばそこで、長渕さんが
ワケわからんMCしてても面白いわけですよね。
もしくは正拳突きずっとやってる時間でも
いいわけですよ。
糸井
正拳突きの音が聞こえる(笑)。
石田
でもそういういろんな可能性のなかから、
あそこに至った理由とかが、もう、
(声を張って)ワクワクするんですよぅ!
会場
(笑)
石田
「なぜ、2曲目に移ってるだけに
したんだろう?」みたいな。
その理由が聞きたくて、聞きたくて、
仕方がないんですよぅ!
会場
はぁーー(ため息)。
糸井
それ、最高ですね。
石田
めちゃくちゃ面白いんですよ。
その場があまりに静か過ぎるがために、
となりの会場で行われている
長渕剛さんのライブの歌声がうっすら聞こえてくる、
というところから、さらに、つぎのときには、
「曲が変わった…」というだけの
シチュエーションにとどまっているのは、
石田さんおっしゃるには、そこで
長渕さんのもっと詳しいものにしてしまうと、
いっこ入り過ぎて、
ディープ過ぎるものになる可能性がある。
でも、その逆として、
わかりやすいことをしようとし過ぎても、
もの足りないものになってしまう。
そこで、今回では、
エッジ、万人ウケ、及び、玄人も笑かす、
みたいなところへと来ているから、ここの
チョイスの面白さなんです、とお話しされていて、
なるほどぉ、と思いました。
このことを読みながら、
つまりは、これもまた、
「馴染む」のエピソードなのではないか?!
馴染まなければ、
よくわからない可能性があるし、逆に、
馴染み過ぎれば、
おもしろくないやもしらない。
そのちょうどの塩梅によって、
「お笑い」が作られている。
そう考えてみると、
すごい! って思う。
ぼくは、「お笑い」のこと
ぜんぜん詳しくはないのですが、
その地点へと至るまでには、
おそらく、たくさんの
試行錯誤があったのではないか?
とも、想像をいたします。。。
令和7年2月15日