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『病歴聴取を極める』 〜全ての言葉に意味がある〜 report!

こんにちは、HBDのかわむーです!

本日は、2月9日(土)に行われた『 病歴聴取を極める   〜全ての言葉に意味がある〜 』の様子を簡単にレポートさせていただきたいと思います!

大盛況に終わった先月のHBDに続き、今回も非常に盛り上がり、大変良い会となりました!会場の熱き様子を頑張って伝えていきたいと思いますので、最後までどうぞよろしくお願いします!


  ***<本日の内容>***
1.  講師紹介
2. はじめに
3. 病歴聴取を極める!
4. まとめ
5. 最後に



1. 講師紹介

本日は、順天堂大学練馬病院 救急・集中治療科から小松孝行  先生をお呼びしました。

先生は、医学生の頃より非常に多彩で現在も多方面で御活躍をされております。『病歴聴取を極める』というテーマでの講演会は、なんと10年以上もされているそうです。

本日は “人を見る専門家” である小松先生から、救急科専門医として、集中治療専門医として、総合診療医・総合内科専門医として、さらにはスポーツドクターとして、多方面からお話いただきたいと思います!


小松孝行 先生



2. はじめに

「医学とは?」という問いから始まった小松先生のレクチャー。

医学とは「人間」という対象を扱う学問であり、約100年前に1つの言葉が生まれました。(The practice of medicine is an art, based on science. by William Osler)


皆さんは、この本質を考えたことありますか?


「人はなぜ生きることができるのか?」


そのためには、まず  “正常”  の理解をしなければなりません。

正常とは、恒常性を保つための機構(生理学・生化学など)であったり、人体の構造(発生学・解剖学・組織学・遺伝学など)というもの。


正常を知った上で、その正常のシステムが破綻すること=『病態生理』をきちんと理解することが、患者を科学していくのに重要になります。


“ 病歴聴取のscience ”

患者を取り巻くすべての事柄を詳細に観察し、情報を正確に抽出し、仮説をたてて分析する。この時、あらゆる情報が診断のヒントになることを覚えておきましょう。




3. 病歴聴取を極める!

病歴聴取のポイント

まずは、『会話』をすることが大事になります。

皆さんは患者さんときちんと会話できているでしょうか?リスト的に聞いてしまっていたり、めんどくさいことを聞かないようにしてはいないでしょうか?

話は流れから生まれるのもです。「ところで〜〜」と、話をブツっと切ってはいないでしょうか?


会話をすることで、"信頼関係の構築" と "情報の抽出" をすることができます。


先生は、「あえて会話は脱線するべし」と言われておりました。


会話に台本やテンプレートはありません。


病歴聴取はジクソーパズルと一緒です。

皆さんはジクソーパズルを作る時、どこから埋めていくでしょうか? 多くは周りから埋めていくのではないでしょうか。ジクソーパズルを周りから埋めることは、病歴聴取においては患者のバックグラウンドを埋める作業になります。真ん中のメインな図柄たちは、病歴で言えば、"主訴" と関連する近しい話になります。


もちろん最初から主訴と関係ない話ばかりするという意味ではなく、常にそこを意識して、会話の流れに逆らうことなく脱線していくということです。

患者さんに関する情報の一番外側が把握できていれば、漏れは少なくなります。

ちなみに脱線する場合には、こちらから乗っかって話をしてると、逆に話を戻しやすくなります。



● 診断推理を失敗する理由

1. 翻訳ミス
  例えば、「胸苦しい」という訴えに対して、胸痛、胸部不快感、胸部絞扼感、心窩部痛、胸焼け、などなど色々な症候を患者は「胸苦しい」と表現する可能性があります。曖昧さを無くすようにしましょう。

2. 本当のonsetの認識ミス
  患者さんが言う、風邪とか夏バテを怪しむこと。OPQRSTは使わない。
 (例:ちょっと前のちょっとって、いつ?)

3. 諦めたらそこで試合終了です
  検査に逃げないこと。



●「点」から「線」へ

病歴を時間軸に合わせて聴取していきましょう。

どんな経過なのか?(持続 or 間欠? 増悪 or 寛解? など)

または、発症時の前後の状況や程度や性状、随伴症状、痛みの場合や放散痛など。


記憶を順行することで、不足した情報を得やすく、患者としてはsympathyを抱くことができます。 

情報を細かく聞くだけ。病歴にも全て理由があります。




● 実習①  〜 臨床推論  小松先生(患者役)  VS  受講者(医師)〜

ここからは実習です。今回は実際にどのような症例が良いか会場からのリクエストも受け、先生が即興で患者を作り、演じて下さいました。


あらかじめ会場に用意された変装用のカツラを身につけ、先生が演じている患者は一体。。。。!?!?


受講者は順々に、小松先生演じる患者さんに問診を行いました。


一通り問診が終わったところで、フィードバックです。


まずは病態生理の確認から。

病態は、自分がしっかりと理解していないと、患者に説明することができません。病態の説明で必要なのは、医療用語をわかりやすく翻訳してあげること。『こちらのレベルに引き上げられるように、正確に説明する』ことを意識し、そのためにまずは自分自身がしっかりと "病態生理" を理解しましょう。


そしてお次は、問診のポイント確認です。

時に「患者は嘘をつく」ということを頭に入れておきましょう。それは、"本人が重要と理解していないから言わない"  ことや  "本当に言いたくない"  といったことが含まれます。情報の分析の中で生じる矛盾から、隠された情報の存在に気付き、なぜ言ってくれないのか?を考えていきましょう。


ホワイトボードは字でいっぱいに。非常にあつい講義が繰り広げられました。



● 実習②  〜 ロールプレイ :  医療者側と家族側のGAPを学ぶ 〜

つづいて2つ目の実習。ここからはロールプレイの時間です。

受講者を5人ずつのグループに分け、医師・看護師(医療者側)、 患者・家族、そしてオブザーバー役にそれぞれ割り振ります。


ここでの設定のポイントは、患者家族は『何かに怒っている』ということです。患者家族役の2人でどこに苛立つのかを予め決め、ロールプレイがスタートします。


一生懸命 ICする医療者と、苛立ちを見せる患者家族。
みなさんの迫真の演技が妙にリアルで、オブザーバーも思わず息をのんでいました。


会話が進むにつれて、医療者側は患者家族側とのGAPに気づき、説明が丁寧になっていっていました。


『病歴聴取 = 会話を極める』という本当の意味を学ぶ事ことができた、そんな有意義な実習となりました。




4. まとめ

〜 病歴聴取を極めることとは 〜

1.  臨床推論 = 『Based on Scienceの側面』

2.  会話を愉しみ、オーダーメイドの対応を!
     ⇒ 患者・家族との信頼関係構築 = 『Artの側面』 

3. 行動科学を理解し、常にGAPを埋める!
     ⇒ 病歴聴取と患者教育を同時に行う!


医者の本質として、いわゆる "いい先生" は無意識にできていることがあります。それは、人と人との信頼関係です 。
EBMの理解は最低ライン。それに加えて、行動変容を起こさせるような『人と人との信頼関係=Art』の部分が非常に大切になります。



相手と自分の思惑にはGAPがあり、さらに、相手の理想と現実にも同様にGAPがある。病歴聴取はそのGAPを埋めることです。情報が出てきたときに、なんか変だと思ったら立ち止まるようにしましょう。

最後に、『医療チーム』はやってるつもりになっている事があります。チームで見ていると思って、実はGAPがあります。それは、認識のGAPです。
そして、家族も医療チームに取り込まなければなりません。想いはみんなが共有するものです。その市場メイキングを行っていきましょう。



『寄り添う医療』ではなく、『抱き寄せる医療』を。 (by  Dr. 小松)

( この名言で、会場の女性陣の心は一瞬で鷲掴みにされていました笑 )




5. 最後に

どうでしたでしょうか、病歴聴取を極める!〜全ての言葉に意味がある〜


ぜひもっと詳しく知りたい!知識を深めたい!と感じた方へ、朗報です!小松先生、実は病歴聴取に関するDVDも出されています!今回伝えきれなかった事がそこにおさめられているかもしれません。

最後にリンクを貼らせていただきますので、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。



さて、ということで、2019年第2回目の本日も大盛況で終わったHBD!

次回は、2019年3月16日(土)に JA広島総合病院 救急集中治療科 高場章宏 先生 コーディネートのもと、

End - of - life   Decision Making  〜人生の最終段階における方針の決め方〜』

をテーマに勉強会を開催します!




最後はちょっとおちゃらけて(笑)



以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

かわむーでした。

今後ともHBDをよろしくお願いいたします。


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小松孝行先生 DVD 

Dr.小松のとことん病歴ゼミ /ケアネットDVD DVD-ROM – 2018


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