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『文』『詩』

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思ったこと感じたことを書き殴ったような文。 共感やこんな感情もあるのか、をコンセプトに。 不定期更新。
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2022年6月の記事一覧

文【しがない物書きは答えを持たない】

私はしがない物書きである。 毎日書き続けてはいるが、これといった目標もなく、ただただ書いているだけの物書きだ。 何故、書き続けるのか。 それは私自身が私の物語を読みたかったからである。 しかしながら、現在の想いは少しずつだが横に逸れつつあり、私自身も困惑している。 売れたいという欲もなければ、生涯の仕事にしたいとも思わない。 なのに何故か、書き続けてしまう。 当初の読みたい欲も薄れてきているにも関わらず、私は私の文章を、音を探し続けている。 「苦しいなら書くのを辞め

文【言える勇気】

「助けてください」 その一言が出てこない。 ほかのくだらないと思われるような言葉は次々と出て来るのに。 「助けてください」 その言葉だけは笑顔の裏に隠し、心の奥底にまで追いやり、自分でも気が付かないうちに忘れている。 心も叫ぶのをやめて、静寂を纏っている。 「大丈夫です」 自分の言葉で自分自身が傷付いているのさえ 気が付かない。 足元ばかりを見ている。 「大丈夫です」 視野が狭くなっていく。 殺した言葉は戻ってこない。 似たような言葉が浮かぶだけ。 でも、

文【矛盾】

聞こえてくる音が煩わしいのに、音楽を聞く。 聞きたくない話なのに、耳を傾けてしまう。 嫌いな人なのに、視界に入れてしまう。 好きな人には、目をそらす。 逃げ出したいのに、立ち止まる。 逃げたくないのに、恥ずかしさから逃げてしまう。 冷静でいたいのに、声を荒らげる。 熱中しているのに、静寂に包まれる。 平穏でいたいのに、感情が揺さぶられる本を読む。 僕は、矛盾を抱えて生きている。 淋しいのに、平気なフリをして。 一人でいたいのに、人と会話をする。 孤独が欲しいのに、SNSを

文【ある光の独白】

自分の後ろにある長い影が、ときおり羨ましく見える。 私もそこに沈んでしまいたいと。 だが私の足の下にさえ影があるにも関わらず、私はそこに入れない。 何も邪魔するものはいないはずなのに。 もう沈んでしまおう。 そう思うたびに、前に見えるものが愛おしく思えて、沈めないのだ。 時には私の姿すら見えないほどに。 時には肌が焼け焦げるほどに。 さんさんと。じりじりと。 その痛みに耐え切れず。 消えてくれと叫んだこともある。 もう嫌だと泣き叫んだこともある。 でも、それでも。

文【暗い暗い暗闇の誓い】

手のひらで目を覆えば暗闇が訪れる。 覆っている手を離せば光が訪れる。 暗い暗い暗闇は、いつもそばにいる。 自ら進んで目を覆うものもいれば、腕をめいいっぱい広げて光を享受するものもいるだろう。 私は前者だが。時たま光にあやかりたいと、思うこともある。 だけれど暗闇に慣れすぎた目には、明るい光は眩しすぎる。 止めてくれと叫び、手のひらで目を覆っても、光は指の隙間から瞼の隙間から入り込み、容赦なく眼球を攻撃してくる厄介さを持つのだ。 それでも、光に憧れてしまうのは、反対側

文【前へ】詩

花よ 愛よ 散ってしまえ 色褪せてしまえば 枯れてしまえば 追い求めることも無くなるだろう 心よ 絆よ 砕けてしまえ 最初からなければ 何も無ければ こんなに悲しむこともなかったのに 私の叫び声よ 届いておくれ 痛いくらいに 体が軋むのだ 君へ 君へ いってしまった君へ どうすれば良いか分からない 私の背中を押してくれ どうか どうか 踏み出すために

文【それでも私は爪を切る】

「なぁ、爪よ。なぜにお前はのびるのだ?」 そんなことを思いながら、今日も私はお世辞にも上手いとは言えない、ド下手くそな爪切りを、だるいだるいと言いながらも、自分自身に披露している。 ……なぁ。切られるとわかっていて、何故にのびるのだ。やっと切れたと、整えたと思うても、一週間後には邪魔でしようがないほどにのびている。爪よ。 人体とはそういうものだと論じられれば、はぁそうですかと答えるしかない。お前さんよ。 私はお前が邪魔で鬱陶しくて、痛みにこらえながらも、硝子ヤスリで限界

文【頭の中の猛獣】

私の頭の中には猛獣がいる。 しつこく獰猛な猛獣が。 ずしんずしんと歩き回ることもあれば、何かを齧っているようなときもある。 何が足りなくて暴れ回っているのか。 私には皆目見当もつかない。 たまに首筋まで降りてくる。 肩まできたときは最悪だ。 どうしたらこの猛獣を追い払えるのか。 さんざん試したが、未だに居座り続けている。 一番煩わしく思うのは、寝る時だ。 目を瞑っても、猛獣が走り回り、獲物を探している音がする。 うるさいと自分の頭を叩いても、猛獣には届かない。 それどころか、