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文【しがない物書きは答えを持たない】


私はしがない物書きである。
毎日書き続けてはいるが、これといった目標もなく、ただただ書いているだけの物書きだ。

何故、書き続けるのか。
それは私自身が私の物語を読みたかったからである。
しかしながら、現在の想いは少しずつだが横に逸れつつあり、私自身も困惑している。

売れたいという欲もなければ、生涯の仕事にしたいとも思わない。

なのに何故か、書き続けてしまう。

当初の読みたい欲も薄れてきているにも関わらず、私は私の文章を、音を探し続けている。

「苦しいなら書くのを辞めれば?」

幾度となく言われ続けたが、心が悲鳴をあげればその事について書きたくなるし、喜びを感じればその感情を忘れまいと文章にしたくなるのだ。

私は私ではない私の中にある欲望によって書かされている、と言っても過言ではないのかもしれない。

どれだけ辛く苦しくても文章を綴ってしまうのだから。

書いて書いて書き続けていれば、この欲望は満足するのか。
どれだけ私の心を締めつけ血を流せば、乾いた大地は潤うのだろうか。
途方もない、水平線すら見えない旅路の果てに、私は何を手にするのだろうか。
今は目隠しをしているようなこの状態も、いつかは報われるのだろうか。

書いて書いて書き続けていれば。

私自身が救われる時が来るのだろうか。

私を突き動かす自分勝手な欲望に問い掛けても、答えは返ってこない。

「私は何のために書いているのだろう」

常に頭の中を行ったり来たりしている言葉は、心を苦しめ胃を痛めるが、欲望を傷つけることは無い。

いつになったらこの欲望は消えてくれるのか。

そう思いながらも、答えを持たないしがない物書きの私は、今日も書き続ける他ないのだろう。


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