文【言える勇気】
「助けてください」
その一言が出てこない。
ほかのくだらないと思われるような言葉は次々と出て来るのに。
「助けてください」
その言葉だけは笑顔の裏に隠し、心の奥底にまで追いやり、自分でも気が付かないうちに忘れている。
心も叫ぶのをやめて、静寂を纏っている。
「大丈夫です」
自分の言葉で自分自身が傷付いているのさえ
気が付かない。
足元ばかりを見ている。
「大丈夫です」
視野が狭くなっていく。
殺した言葉は戻ってこない。
似たような言葉が浮かぶだけ。
でも、それでも。
初めて覚えた人に頼る言葉は
何度も蘇ってくる。
切り裂いて、潰して、燃やして、沈めて。
鎮めて、やっと静かになる。
それでも、聞こえてくる。
「助けてください」
その言葉と一緒に
言える勇気が蘇れば良いのに。
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