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湯気の龍の名前
ぱちり開いた目に朝の白い光
意識がどこかから帰ってきた安心感に深い息をする
とおくのまな板の上から生まれる音 ことことこと
ゆったりした部屋の空気にまた目をつむって すわりと滑らかな毛布にくるまる お休みの日
季節は冬の あと ストーブの前に準備した制服と定期入れ
思い出していたこと
白い息と遊びながら歩く長いレンガ道の色
きのう届いたメールの絵文字のならび
きっとそういうの
すこし笑って
考えていたこと
それはもう沢山
たとえば
やさしい声の案内で駅まで運んでくれるバスの運転手さんに 次こそは ありがとうって言おう
なんてこと
なんてことない
なんてことない思い出の日
そんな あるお休みの日
出来立てのスープから立ちのぼる湯気の
その白い龍の 途切れるところを見つめていた