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七十二侯屏風制作物語 三 「叔父さんの奥様は女神様」

母校の学科卒業生有志による作品展「すみの会」に出展するための作品制作中です。七十二候の書と龍村の帯を表装して屏風仕立てにする作品です。

店構えのいい経師店の息子さんに紹介していただいた叔父さんのお店に電話連絡をしてから、弘明寺にあるそのお店を尋ねました。旧鎌倉街道沿いにある小さいけれど趣きのある店構えです。息子さんの父にあたるお兄さんは経師店、叔父にあたる弟さんは表具店を名乗っています。弟さんは京都で表装の修行をしてお兄さんのお店で一緒に働きその後に自分のお店を構えたとのこと。経師店と表具店の違いについて質問したら、一般的に関東では経師、関西では表具というそう。京都で修行したから表具店にしたのかな。

制作概要を説明したところ、息子さんのお店では4枚(四曲)は作らない言われましたが、叔父さんのお店では構わないとのこと。ただし、見積金額を聞いたところ、今回の作品の私の予算範囲内では半分の2枚(二曲)しかお願いできないことがわかりました。では、金額を抑えるために4枚を屏風仕立てではなく、タペストリーやベニヤ板に貼る案などの相談をしてみたのですができない、とのこと。やむなく今回は半分の2枚で二曲半双の屏風を制作し、残りは次の作品展の2年後までに制作して二曲一双を完結させようと考えました。「やらせていただきます」と快諾を得ました。

屏風の骨組みは骨屋さんに先行して発注するため、すぐに屏風の外形寸法が必要とのこと。七十二候を書いた画仙紙と龍村の帯の寸法から割り出した屏風の外径寸法を図面にして数日後再び表具店へ。

今度は奥様もいらっしゃいました。すると職人さんである叔父さんは、屏風を枠無しの「太鼓張り」にして蝶番を金具にして仕立てれば4枚を私の予算内でできる!というのです。それ、前回教えてよ〜!という言葉を飲み込みました。奥様が女神様に見えました。作品完成まで物語は続きます~。


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