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源氏物語絵巻「鈴虫二」に描かれた高欄そのニ

大倉集古館特別展「志村ふくみ100歳記念《秋霞》から《野の果て》まで」にある源氏物語シリーズ作品群の中の「勾欄(こうらん)」。

担当学芸員さんから「源氏物語絵巻第38帖「鈴虫二」に描かれた寝殿造の建築要素の「こうらん」をモチーフにした。」という解説を聞いて鑑賞して以来、私は初めて知った建築用語の「こうらん」に夢中です。そこで、その一に続き、そのニ!

五島美術館で過去に開催されたこちらの図録をチェック。

「開館五十周年記念特別展 国宝 源氏物語絵巻」図録
平成二十二年(2010)
発行 財団法人 五島美術館

図録の中で、「鈴虫ニ」の絵図については次の解説があり、こうらんは勾欄ではなく高欄と表記されています。
「冠直衣(かんむりのうし)姿の夕霧たちは、下襲(したがさね)の裾を高欄(こうらん)にかけ、簀子(すのこ)において笛や笙(しょう)を奏でる。廂(ひさし)の間(ま)では、冠直衣姿の源氏が柱を背にし、御引直衣(おひきのうし)姿の冷泉院と対座する。」
また全54帖の絵図には「鈴虫ニ」だけではなく、
 「柏木三」
 「御法(みのり)」
 「竹河一」、「竹河ニ」
 「宿木(やどりぎ)三」
にも高欄が描かれていました。

下襲という装束の裾をかけているのは「鈴虫ニ」だけなので、志村ふくみさんは「鈴虫ニ」の高欄が1番お気に入りなのかな?
絵図にある高欄から志村ふくみさんはどんな景色を眺めたのかな?
建築の高欄を知り、着物の勾欄の想像がどんどん広がります。

人間国宝 100歳の志村ふくみさんの着物が織りなす、寝殿造にある高欄が気になり過ぎる建物がたりです。


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