#7 「DXの抵抗勢力をはねのけろ!組織の壁の壊し方の話」
第5回「DXの抵抗勢力をはねのけろ!組織の壁の壊し方の話」のデデデータ!!“あきない”データの話の台本・書き起こしをベースに、テキストのみで楽しめるようにnote用に再構成したものです。podcastで興味を持った方により、理解していただくために一部、リファレンスをつけています。
デジタルの渦に取り残される人々への問い
私は常々、「デジタル化の波が業界そのものを飲み込むだけでなく、社内の人材まで取り残しかねない」という危機感を抱いてしまう。
たとえばキャッシュレス決済が日常風景になったり、紙と電卓だけでは業務が回らなくなってきたりする場面を目にするたびに、「自分たちの組織は本当にこの渦に適応できるのか?」と問いかけていた。
その渦は決して穏やかな潮流ではなく、時に組織や職場を混乱に巻き込み、抵抗勢力との壮絶な衝突を誘発していった。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の本質は単なるIT導入ではない。企業文化や働き方そのものを再構成する“企業変革”に他ならない。私はそれを実感するに至った経験がいくつもあった。
DXについて書籍で学ぶ前に、現場で感じた違和感や苦労。どれほどテクノロジーを磨いても、人が納得しなければ使われない。あるいは予算を得ても、現場が協力しなければ頓挫する。なぜこうも抵抗が大きいのか、どうすれば越えられるのか。組織変革の理論を改めて学ぶと、その理由が手に取るようにわかる。
以下では、ジョン・コッター教授の「企業変革を成功に導く8ステップ」と私なりの体験を重ねながら、DXが抱える本質的な壁、そしてそれを越えるためのストーリーと根気について考えてみたい。ここには数値的裏付け(ROI)や論理的手法も織り交ぜるが、最終的に鍵となるのは、泥くさいコミュニケーションと小さな成功の積み重ねだと私は信じている。
1. DXの波は止まらない
デジタル化の進行が止まらないのは、肌感覚でも明らかだ。スマートフォンの普及により、消費者は24時間いつでも情報へアクセスできる。クラウドやビッグデータ分析の台頭により、企業は膨大なデータを活用して新たな顧客価値を生み出しつつある。そうした企業間競争の渦に巻き込まれ、紙と電卓だけでは立ち行かなくなった組織が次々と悲鳴をあげている。
私自身、顧客先で「今のやり方では追いつけない」と慌てる経営者の声を直接聞いてきた。だが、その慌てぶりと裏腹に、現場の社員たちが「自分には関係ない」「このままでも業績は悪くない」と涼しい顔をしている光景にもたびたび遭遇している。こうした温度差はなぜ生じるのか。
そこには、人が変革に抵抗する心理的メカニズムが潜んでいるように思う。MBAでならったアレの話だ。
2. コッターの8ステップと企業変革の本質
ジョン・コッター教授が提唱した企業変革の8ステップは、DXを含むあらゆる組織変革に応用できる。私もさまざまな現場でこれを意識して動いてきたが、そのたびに「最初の一歩の大切さ」「初期の小さな成功の共有」「組織文化への定着」が大切だと痛感する。
緊迫感をつくり出す
競合の成功事例やデータを共有し、「このままでは危ない」と皆に危機感を持たせる。
だが、現状維持バイアスが強いと「いや、大丈夫だ」「うちは例外だ」という声が上がる。変革チームを結成する
影響力あるリーダーを選び、多様なスキルを集める。
しかし「IT部門だけで勝手にやればいい」と言われたり、選ばれなかった社員が妬んだりする。ビジョンと戦略を立てる
明確なビジョンと行動計画を示すことが重要。
だが「抽象的すぎる」「金がかかりすぎる」と言われる場合が多い。コミュニケーションと参加を促進する
全社へわかりやすいメッセージを届け、参加意識を高める。
上から押し付けと感じられると、一気に抵抗が起きる。権限を移譲する
現場が自律的に動けるよう権限を与える。
しかし支援不足だと「丸投げだ」「責任だけ重い」と言われる。短期的な成果を生み出す
小さくても早い成功を作り、周囲を巻き込む。
「目先の利益しか考えないのか」という反論も出るが、成功例の共有は大事。変化を継続する
得られた成果を分析し、組織全体に展開する。
継続的な改善に疲弊する社員も出るので、適切なフォローが不可欠。新しい文化を定着させる
定着すれば、変革が当たり前となる。
だが古い伝統を懐かしむ声や「昔は良かった」と嘆く勢力が消えるわけではない。
私が感じるのは、DXが単なるIT導入やシステムリプレースにとどまらず、まさしくこのステップの総合演習だということ。現場の納得を得られなければ、どんなAIやクラウドでも使われない。経営層のコミットがあっても、導入後の地道な運用フェーズが疎かなら意味がない。そこに企業変革の本質があるように思う。
3. なぜ人は変革を恐れるのか
私は現場の生々しい声を聞くうち、「やはり人は変化そのものを恐れる生き物だ」と感じる。MBAで学ぶような「変革に対する抵抗の6要因」は、DXの現場でも的中する。
喪失:慣れ親しんだ業務フローや既得権益が奪われる
不確実性:新技術が未知であり、将来が見えない
不公平:一部の人だけが楽をしているように感じる
アイデンティティ:自分の立ち位置が否定される恐怖
社会的認知:周りがどう思うかを気にして、変革に参加せず抵抗する
主体性:自分が意思決定に関われないと感じるとやる気が起きない
あるプロジェクトで、年配のベテラン社員が「このやり方で30年やってきたのだ。私の知識はどこへ行くのか」と嘆いていた場面を思い出す。そこには「喪失」「アイデンティティ」「不確実性」が絡み合っていた。デジタル化のメリットをいくら説いても、彼の不安は消えなかった。
何を失うのか、自分の価値がどう変わるのか。その部分を丁寧にケアしない限り、DXへの抵抗をなくすことは難しいと痛感した。
4. DXが抱える特殊性とROIの算出
一方で、DXには他の組織変革と違う強みがある。ROI(投資対効果)を算出しやすいことだ。たとえば、需要予測AIを導入して廃棄ロスを減らすプロジェクトなら、削減できるコストを数値化しやすい。そこで削減された予算を新サービス開発に回すなど、具体的なメリットを説明しやすい。
私も過去に、需要予測と在庫最適化の仕組みを入れた際に、廃棄ロスが年数千万単位で減少する可能性をシミュレーションしたことがある。そこまで明確に試算すると、現場の納得が一気に進みやすい。「なるほど、自分たちの在庫管理がラクになり、かつ会社にこれだけ貢献できるのか」と合点がいけば、デジタル化への抵抗はぐっと下がる。
しかし、ROIの算出はあくまで一部の人間を納得させるロジックに過ぎない。実際には、人間の感情面をどう扱うかが勝負の分かれ目になることが多い。「コスト削減で仕事が減るなら、自分はリストラされるのか」と不安が募る人もいる。ROIを示すだけでなく、「新しいデジタル技術があなたの業務を補完し、むしろ創造的な業務に時間を割けるようになる」という未来図を、懇切丁寧に描いてあげる必要がある。
5. 抵抗勢力との泥くさい対話
DXに関わるプロジェクトで痛感するのは、「導入したけど誰も使ってくれない」という悲劇がけっこう多いことだ。
なぜ使われないのか。原因は二つあると思う。
開発段階で現場を巻き込まない
結果として、必要な機能が的外れになる
部署間連携が疎通せず、データの取得すらままならない
運用フェーズでの教育・サポート不足
新ツールやAIの得意領域と不得意領域を明確にせず、現場が混乱する
エラー処理や例外対応の手順が曖昧で「やっぱり手作業が安心」と戻ってしまう
私も実際、月に一度は顧客企業の現場へ足を運び、担当者たちと顔を突き合わせて話す。どこがボトルネックか、どんな不安があるか、どうすればモチベーションが上がるか――そこにテクノロジー以外の課題が山ほどある。実はそれを解決するのに、地道なコミュニケーションが不可欠なのだと知った。
6. 小さな成功で火を灯す
コッターの8ステップのなかでも、私は「短期的な成果を生み出す」ことを非常に重要視している。DXプロジェクトは長期視点が必要だが、最初の一年ほどで小さな成功が見えなければ、現場のモチベーションは一気に低下する。
たとえば在庫管理の一部だけをAI化し、そこが劇的に効率化したとしたら、その事例を社内に積極的に広める。ポスターやメール、朝礼で紹介するなど、ちょっと大げさなくらい周知することが大事だ。成功が可視化されれば「自分の部署でもDXをやってみようかな」という雰囲気が自然と広がっていく。私の経験上、一つの成功を引き金に別の部署が動き出す波及効果を何度も見てきた。
7. 変革ストーリーの力
変革ストーリーの設計も重要である。人は数字だけでは動かない。実装だけでも動かない。自分自身が変わる意義を理解し、ビジョンに共感して初めて、新しい行動に踏み出す。
「DXを進めるとこうなる」「最初はこのプロジェクトを導入し、この業務が楽になる」「次のフェーズでは組織全体の利益が生まれ、こんな未来図が描ける」――そうした物語を描くのが変革チームの仕事だ。変革ストーリーがしっかり描かれていると、多少の障害があっても全員がゴールをイメージできるから踏ん張れる。
一方、ビジョンが曖昧なまま始めてしまうと、現場はもちろんマネジメント層すら戸惑いがちだ。「結局、どこへ向かっているのか?」という疑問が湧き、組織がバラバラな方向を向く。優れたストーリーテリングは企業変革の粘着剤だと思う。
8. 心がけたいDX実践例
私が実際にDX支援を行う際には、下記のような手順を強く意識している。
経営会議でアジェンダに上げる
予算と人員を確保しないと、実装フェーズで停滞しがち
変革チームに多様な人材を入れる
IT部門だけでなく、現場やユーザー部門にも積極的に声をかける
分析だけでなく実装までを約束する
ビジョンを描くだけでなく、最後の運用までコミットする
費用対効果の目標をわかりやすく設置
1年以内に一部でも成果が出るよう、小規模かつインパクトのあるテーマを選ぶ
1プロジェクトにつき上限5000万円程度
大きすぎるプロジェクトは失敗リスクが高いので、小回りを重視
このように数字や期間を明確化すると、現場に覚悟が生まれる。少しシビアなようだが「1年で成果が出なければ継続しない」という条件を設ければ、全員が真剣に取り組む。結果として短期的な成果が出やすく、成功体験を社内に水平展開しやすい。
9. 感情と論理を行き来する私の試み
DXプロジェクトを進めるうえで感じるのは、ビジネス上の論理と人間的な感情が絶えず交差するということだ。数字を示すことは重要だが、そこに「あなたの仕事がこう改善される」「組織のなかであなたが今後どういう存在になるのか」という感情的・アイデンティティ的なメッセージがないと、人は動かない。
それを思うと、私の仕事はシステムエンジニアリングやデータサイエンスだけでは完結しない。むしろ半分以上は、現場との対話、心理的抵抗の解きほぐし、それらを紡ぎ合わせたストーリーテリングの設計に費やされる。
「なぜ人はここまで変わりたくないのか?」という問いを突き詰めると、変革の本質は組織と個人のアイデンティティのせめぎ合いにあると感じる。
10. まとめ:DXは人間ドラマの集大成?
デジタル化の波は、もはや誰にも止められない。しかし、デジタル技術をどう使うかは人間次第である。DXが成功するかどうかは、最先端のAIを入れるかどうかではなく、組織としての納得感と変革ストーリーをどこまで共有できるかにかかっている。
コッターの8ステップが示すように、企業変革は長いプロセスだ。初期の緊迫感づくり、変革チームの編成、ビジョン策定、コミュニケーション強化、権限移譲、短期的成功の共有、変化の継続、文化の定着――どれも地道な努力が必要であり、人間ドラマが渦巻く。
私がこれまでに見た成功事例は、一人の熱意あるリーダーが火をつけ、小さな成功を重ねながら、組織全体が「新しい働き方って悪くない」と感じ始めたケースだ。その裏では矛盾や衝突も起きるが、それをオープンに話し合い、乗り越えた経験が変革を本物にする。
最後に振り返りたい。DXとは企業を飲み込む大きな渦のようでもあり、その渦に巻かれながら人々は「何を失い、何を得るのか」という根源的な問いに向き合うことになる。そこに抵抗勢力がいるのは自然なことだ。大事なのは、彼らを否定するのではなく、抵抗を解きほぐす物語を紡ぐこと。
私がこれからも執拗にやり続けたいのは、ROIをふりかざすだけではない、対話によって変革を促す、まさにそういうストーリーづくりである。
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参考
1. ジョン・コッターの8ステップ
出典: John P. Kotter, Leading Change, Harvard Business School Press, 1996
解説:
コッターは組織変革のプロセスを「1.緊迫感をつくり出す」「2.変革チームを結成する」「3.ビジョンと戦略を立てる」「4.コミュニケーションを促進する」「5.権限を移譲する」「6.短期的な成果を生み出す」「7.変化を継続する」「8.新しい文化を定着させる」の8段階に整理した。これらのステップを順序だてて踏むことにより、変革が計画倒れにならず、組織全体へ浸透すると論じている。
具体的には、「緊迫感の創出」フェーズで市場環境や競合事例を明確に示し、組織メンバーに危機意識を共有することが重要とされる。ここでの“緊迫感”は拙速な動きではなく、情報に基づく合理的な認識の醸成を意味する。続く「変革チームの結成」や「ビジョン策定」では、リーダーの資質やマネジメントスタイルが大きく影響するとされる(Kotter, 1996)。
DX領域のみならず、M&Aや組織再編などの大規模変革に対してもコッターの8ステップは適用可能である。ただし、近年の研究(例:Hornstein, 2015)では、変化プロセスがトップダウン型のモデルだけでは捉えきれないことも指摘されており、組織内で発生する多様なイシューやリアルタイムの調整をどのように組み込むかが課題として論じられている。
2. 変革を恐れる心理メカニズム
要素: 喪失・不確実性・不公平・アイデンティティ・社会的認知・主体性
参考: Dent, E. B., & Goldberg, S. G. (1999). “Challenging ‘resistance to change.’” The Journal of Applied Behavioral Science, 35(1), 25-41.
解説:
組織変革の場面では、従来「抵抗勢力」と呼ばれるメンバーの行動が焦点となるが、Dent & Goldberg (1999) は「抵抗そのものよりも、変革をめぐる認識の食い違いに注目すべき」と提唱している。
具体的な抵抗要因としては、慣れ親しんだ業務フローを失う恐怖(喪失)、導入技術や将来の役割が不透明な不安(不確実性)、自分だけ損をしていると感じる疑念(不公平)、自らのスキルや存在意義が否定される感覚(アイデンティティ)、周囲の視線を気にする同調圧力(社会的認知)、自分の意思や主体性が奪われていると感じる不満(主体性)などが挙げられる。これらの要因はDXのような大規模テクノロジー導入時に顕著になりやすく、心理的サポートや丁寧なコミュニケーションが不可欠とされる。
3. ROI算出のポイント
主題: デジタル導入による人件費削減、在庫削減、機会損失回避などを数値化
指針: 1年以内のリターン開始が望ましい
解説:
DXプロジェクトにおいては、財務的な説得力を得るためにROI(Return on Investment)の見積もりが必要とされる。ROIを算出する際には、(1)導入コスト(ハードウェア・ソフトウェア・人件費など)と、(2)導入後に期待される効果(人件費削減、在庫圧縮、廃棄コスト削減、売上向上など)を定量化することが基本となる。
特に1年以内に部分的でも良いので成果が見込める形にプロジェクトを設計すると、現場が成果を実感しやすくなるため、長期的な投資に対する心理的ハードルを下げる効果があるとされる(Kotter, 1996)。また、複数のシナリオを試算し、最良ケースだけでなく、保守的なケース(Worst Case)も示すことで、経営層や現場の双方からの信頼を得やすいという報告もある。
4. DX推進時の組織構造
主題: DX推進部、IT戦略部、情報システム部、SCM部、マーケ部などの連携
解説:
大企業においては、DX推進部やIT戦略部を新設しても、既存の事業部門との連携が希薄なままだと、テクノロジー導入が実務レベルに落とし込まれず形骸化しやすい。とりわけSCM(サプライチェーンマネジメント)部門やマーケティング部門など、業務データを大量に保有する部門が連携しなければ、データの一元化や分析結果の活用が難航する(Wamba et al., 2015)。
さらに、いわゆる“サイロ化”の問題が発生しやすいため、小規模プロジェクトで短期成果を出して各部署に成功体験を共有するアプローチが推奨される。Kotter的には「短期的勝利(Quick Wins)」に相当し、他部門への波及効果を狙うことでDX全体が加速しやすいと考えられる。
5. 変革ストーリーの具体化
主題: DX導入後の目指す世界観、業務改善のインパクト、人材の新しい役割
解説:
組織変革における「ストーリーテリング」の重要性は、多くの研究で指摘されている(例えばBrown, Denning, Groh, & Prusak, 2004)。デジタル技術の導入は、単なるコスト削減や業務効率化の問題にとどまらず、組織の将来的ビジョンや従業員個々のキャリア形成にも大きな影響を与える。したがって、「どのような未来像を描き、その実現のために個々の社員がどのように貢献できるか」を具体化し、共有する作業が不可欠とされる。
具体的には、ビジネスメリット(売上拡大、市場シェア獲得など)と従業員個人の幸福感・誇り(ワークライフバランス向上、自己実現など)を結びつけることが効果的とされる。これは、従業員が「導入されるテクノロジーに自分が翻弄されるのではなく、テクノロジーを活かして自らの仕事を変革する主体である」という認識を育むうえで重要だと理論づけられている。
主要文献
Brown, J. S., Denning, S., Groh, K., & Prusak, L. (2004). Storytelling in organizations: Why storytelling is transforming 21st century organizations and management. Butterworth-Heinemann.
Hornstein, H. A. (2015). The integration of project management and organizational change management is now a necessity. International Journal of Project Management, 33(2), 291-298.
Kotter, J. P. (1996). Leading Change. Harvard Business School Press.
Wamba, S. F., Gunasekaran, A., Akter, S., Ren, S. J. F., Dubey, R., & Childe, S. J. (2015). Big data analytics and firm performance: Effects of dynamic capabilities. Journal of Business Research, 70, 356-365.
以上のように、DXや組織変革は多角的な視点で分析する必要がある。ROIの算出やシステム導入の手順だけでなく、変革を支える心理的・社会的要因のマネジメント、部門横断的な連携、変革ストーリーによる共感形成などがトータルに機能するとき、企業はデジタル時代を生き抜く変革を達成しやすくなると考えられる。