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なぜ医療・福祉の方々が地域に出るのか
数年前から医療・福祉業界では「地域に出たほうがいい」と言われてきている。(以下、医療・福祉をケア職とする)
しかし、ケア職のことをまだまだわかりきっていない私にとって、なぜケア職の方々がまちに出るのか?どんないいことがあるのかが正確にわからなかった。確かに地域に出た方がいい理由は言葉ではわかる。
医療・福祉業界では社会的処方という言葉もあるように地域に出れば病気や介護の予防のために地域の人とのつながりもできるし、閉ざされた空間よりも幸福度は上がるはずだ。
しかし私は人手不足と言われているこれらの業界で、本来の専門職としての価値ではない方向にいっているのではないかと思い、とある学会で、「その地域活動ってケア職がやる意味あるんですか?」と投げかけたこともあった。どうしても気になった僕は「福祉メディア こここ」で書かれていた以下の記事を見て、実際に現場で見たいと思い、高速バスに揺られながら1泊2日の旅に向かった。
そもそも"資格"は関係ない
大前提として、ケア職の資格を持って現場で死ぬほど頑張ってくれている人が多くいることにとてもつもない感謝の心を持っている。どの現場もとにかく目の前のことを考えてよくしようとしてくれている。
あえて、上記で本来の専門職としての価値という曖昧な表現をしたが、今ままでの私はわかりやすくいうと、医者は医者でしかできないこと、例えば手術や診療。介護職は介護職でしかできないこと、例えば身体介助や入浴介助に特化をするべきだと思っていた。
今でも一理あると思っている。ケア職の方々はみんな優しい。
だから全部抱えようとする。だから何が専門性で何はお互いで助け合えばいいのかの境界線が曖昧になっていると思う。
しかし、今回のご訪問を通じて感じたのは、ケア職だからとかケア職ではないからとか、資格があるからないからとか、地域に出た方がいい、出ない方がいいとかは議論の論点ではなく、いかに目の前の1人のことを考えた行動ができているかどうかだった。これが地域共生社会を創るためにもケアの現場がより良くあるためにも必要なことだなと感じた。
つまり、地域共生社会を創るために地域に出るのではなく、目の前の1人のことを思い、よりよく生きてもらうために地域に出るという選択肢があるということ。そう考えればケア職の方も「地域に出る」という選択がいかに自然で重要であることに気付くことができた。
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都会と比べて会話の量が10倍多いバスの中
高速バスで福山駅に着き、バスで鞆の浦さくらホームへ向かった。
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新築の家も並ぶ海沿いをバスの中で揺られていると、バスの中は会話で溢れていた。最初は観光客が多くいて盛り上がっているのか団体客がいるのかなと思った。しかしよく耳を澄ましてみると8割以上が地元のお客さんだった。
「あれ、あんた今日バス乗っとるのかい?」
「スーツケース持ってどこ行ってたんだい?」
「はじめまして、今日も寒いわね….」
「あんた、そこの席空いとるよ早く座りい!」
顔見知りもいればはじめましての方も多いようだった。
しかしバスの中がシーンとなることは一度もなかった。
「あーこれがこのまちの特徴なんだ。みんな元気だ。」
そんな印象を到着して間もないバスで感じた。
地域の人にさくらホームの印象を聞いてみた
お昼を食べた場所での店員さん、スーパーがないからまだ賑わいを見せている地元の小さい商店のおかあさん。複数人に聞いてみた。
「あそこは元気なじーさん、ばーさんがいっぱいおるから、楽しそうだよ」
みんな口を揃えてこう言っていた。元気!明るい!
当たり前のように認知をしていて、「さくらホームに見学しにきました!」と言うとより顔が優しくなり、印象は元気な人たちが多いと言う。
これってすごすぎないか…..
時が経つほどそう思う。いくら人口が少ないとはいえ、地域の人たちが1つの介護事業のことをバイネームで知っていて、その印象まで知っていてしかも明るい。と思ってくれている。
これこそが「地域密着」の魅力であると思う。
介護保険という仕組みではもうどうもできないようになっている日本は、理想な社会のあり方として掲げている互助の仕組み・地域共生社会を作っていく上でとっても参考になることが詰まっているような気がした。
1日介護職を体験
まずは私にデイサービスを見させていただける環境や訪問介護への同行を快く許可してくれた知世さんや柚那さん、赤澤さんをはじめ、他のスタッフさんや利用者さんの皆さんにとっても感謝の気持ちでいっぱいです!
当日はクリスマスイブの12/24。
(クリスマスなのになにしてんのと利用者さんからごもっともなご意見w)
8:30に集合し、朝mtgが9:00頃終わり、デイサービスの送迎を終了後、約1時間の運動。この時点で10:30くらいだった。結構疲れる。笑
午前中は利用者さんと話しながら、途中一緒に散歩にも出かけた。そして午後は訪問介護にも。
午前中の散歩では、明らかに認知症が入っていて常に孤独に怯えているおばーちゃんから「あんたが来てくれたから、今日は1番長く散歩できたよ」と言っていただいたときは涙腺崩壊した。
そして何よりデイの送迎の時も散歩をしている時も訪問介護の時も感じたのはスタッフが積極的に地域の方とのゆるい関わりを持とうとしていること。
「あーAさん!元気にしとるか!」というわかりやすい声掛けから、散歩の休憩場所を地域の商店にしていたりと地域に馴染むようにしていた。さくらホームの利用者さんも地域にいるので、地域の方からスタッフに声をかけてくる場面もあった。
共通していたのは、顔も名前もわかる関係性だった。
これはケア職だからこそできることなのかもと思った。
まちにいる人同士はバスの中で起きていたような緩いつながりがあることが大事なのかもしれない。しかし、ケア職が地域に出て地域の人と関わる1つのメリットは名前がわかる関係であるということ。いろんな情報を持っているからこそ、地域の中における1人1人の役割の違いまでも理解していることがある。だから、あんなフランクに関われる。そんな様子をまちにいる人たちの目にも留まるから、さくらホームに対する認知もあるし、いい印象を与えているのではないかと実感できた。
最後に
なぜケア職が地域に出るのか?
私なりの今の答えは、利用者さんにとってのQOLをあげることはもちろん、まちにいる人たちにとっても健康につながるいい影響があり、これから目指す社会を作っていく上で必要不可欠だから。になる。
これからも地域共生社会を担う地域福祉に関して「ケア」や「まちづくり」の観点から学生視点・医療介護従事者ではない視点をお届けします🍢