最強掃除棒!
クラリネットはグラナディラという木で出来ている。指で穴を塞いで、息を入れて吹きつづけると当然ながら中で結露する。で、この結露を放っておくと、水が木に入り込み、温度差でビシッと割れてぎゃーっとなる。で、クラリネット奏者はみんな少しの間をぬって掃除にいそしむ。割れるのは大抵密度の高い、質の良い木が多く、割れた時には嫌味でなく「(良い楽器なんだね!)おめでとう!」と声をかける事もあるそうだが、割れれば放っておく訳にはいかず、それなりのメンテナンスが必要になるので面倒だし、第一ショックである。めでたい気分にはとてもなれない。
クラリネットの掃除用の布のことを「クリーニングスワブ」というが、紐のついた、一見「ふ◯どし」のような形をしたものである。しっかり水分を吸い取ってくれるスグレモノであるが、時折クラリネットの中の突起(表からはわからないが、一箇所ある)に引っかかることがある。大抵はスッと取れるが、難渋して楽器店に駆け込んで取ってもらった、という話もちょいちょい聞く。
私の愛用しているクラリネットは「エス管」という種類で、普通のクラリネットより小さい。人にもよるが、この楽器だとチューニングの際、マウスピースの下を抜き差ししてピッチを調節する(普通のクラリネットではしない)。
スワブだと、マウスピースをしっかり外すので、その度にピッチを調整し直さねばならない。大変面倒くさいし、舞台の上ではそんな時間がない事もある。
フルートは「掃除棒」が存在するが、クラリネットだと前述の突起がある為、なかなか使えなかった。そんな時、「クラリネット用の掃除棒が発売された」と聞き、どんな物かと思いつつ、大阪梅田の「ドルチェ楽器」で試しに買ってみた。
これが秀逸だった!長さは結構あるし、普通のクラリネットでも使用している。程よいぐにゃぐにゃ具合で、巻いてしまうことができる。専用のケースもある。ぐにゃぐにゃなので、突起に引っかからない。棒にかぶせてある布は、洗濯できる。スワブと違って、合奏中に地面に落ちたりしない。
物は試しと買ってみたが、ものすごく愛用している。勿論、ケースにしまう時はキチンとスワブを通すが、舞台上の時間がない時にはとても便利だ。
何度も洗っているが、一向に傷んでこない丈夫さも気に入っている。クラリネット吹きにはとてもオススメな一品である。