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「人と機械が読む時代」における知識基盤としての国立国会図書館

先日、国立国会図書館(NDL)から、下記のプレスリリースがありました。科学技術情報整備審議会から、「第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言-『人と機械が読む時代』の知識基盤の確立に向けて-」という提言がなされました。

提言書について

実際の提言書はこちらからPDFを読むことができます。データ駆動型研究やオープンサイエンスが進展する時代において、国立国会図書館はいかに科学技術情報(自然科学および人文学・社会科学)を整備し、知識基盤を確立するべきかが提言されています。

基本方針は、「読者を人と機械を想定する」ということ。人と機械からのアクセス性を考えて、適切なかたちに資料を保存する。更に、人力だけでは難しい機械による新たな発見や、人間が思考するのを支援する仕組みを作っていく、といった人機一体となる取り組みだと思います。

これらの取り組みは既に始まっており、提言書にもいくつか記載されています。データ駆動研究、オープサイエンス、学術情報流通、デジタル人文学にといった提言書にも出てくるキーワードについて、私が調べたり、連想した情報を紐づけたいと思います。

今回の提言書のおかげで、学術文献、書籍、古典籍、史料、美術作品など、人知が詰まった作品の多様性を改めて感じました。人々の知的好奇心を刺激していく機関(図書館、美術館、博物館等)の進化にワクワクしています。私も、こういった知識基盤の開発・活用の一翼を担っていきたいと思いました。

データ駆動研究・オープサイエンス・学術情報流通

文部科学省におけるデジタル化推進プラン
(文科省、2020.12.23)
文科省が考えている教育・研究・文化芸術におけるデジタルシフトについて述べられた資料です。研究について主なトピックは以下の通りです。
・デジタル社会への最先端技術・研究基盤の活用
・将来のデジタル社会に向けた基幹技術の研究開発
・研究環境のデジタル化の推進

MedRxiv, ChemRxivにみるプレプリントファーストへの変化の兆しとオープンサイエンス時代の研究論文 
(科学技術・学術政策研究所、2020.3.23)
学術情報流通の構造について、これまでとこれから(プレプリントファースト時代)が整理されている記事です。

arXivに着目したプレプリントの分析
(科学技術・学術政策研究所、2020.8.25)
プレプリント情報を分析することで、どのようなことが知見が得られるかまとめられた記事です。

研究開発DX(上)研究開発DX、成果素早く 仮想空間や秘密計算活躍
研究開発DX始動(下) AI操る「ロボ科学者」
(日経新聞、上 2021.1.29、下 2021.2.8)
デジタルを活用した研究開発現場の事例が紹介されています。

Laboratory Automation Developers Conference 2020
ラボラトリーオートメーション(研究の自動化)に関するカンファレンスです。特に生命科学における事例が紹介されています。発表資料もアップされている講演があるので参考になります。

デジタル人文学 (デジタル・ヒューマニティーズ、人文情報学)

東京大学大学院横断型教育プログラム デジタル・ヒューマニティーズ
東京大学にデジタル・ヒューマニティーズに関する教育プログラムが開講されています。東大大学院生であれば受講できます。社会人も参加できるプログラムがあると嬉しいです。

デジタル・ヒューマニティーズ—人文学と情報学の接点が導く新たな知識の世界
筑波大学がWeb上で公開している「データサイエンス講義」シリーズで、デジタル・ヒューマニティーズが取り上げられています。和氣愛仁先生の講義で、初学者にとって非常にわかりやすいコンテンツでした。

デジタル・ヒューマニティーズ ― 変貌する学問の地平 ― (学術俯瞰講義)
東大の学術俯瞰講義で、デジタル・ヒューマニティーズのシリーズがあります。2018年の講演動画と資料が公開されています。

TOKYO DIGITAL HISTORY
デジタルと歴史学に関するコミュニティで、定期的に勉強会を実施されているそうです。資料なども積極的に公開されており、例えば、2020年に開催されたシンポジウムについては、講演動画抄録集が公開されています。

歴史情報学の教科書 歴史のデータが世界をひらく
デジタル・ヒューマニティーズおよび歴史情報学の入門書として面白そうです。書籍での購入もできますが、PDFやEPUBで全文公開されています(上記リンク先)。著者のみなさま、ありがとうございます。

ジャパンサーチ
ジャパンサーチは、図書館・公文書館・美術館・博物館等の多様な分野のデジタルアーカイブをう横断的に検索できるサービスです。国立国会図書館の開発研究部門が中心となって開発したもので、2020.8に正式版が公開されました。APIも公開さています。なお、2021.3.3に「ジャパンサーチ使ってみた!」というイベントが開催されます。教育、研究、地域情報発信といったケースでの事例が発表されます。私も聴講してみたいと思います。

NDL Lab
国立国会図書館の実験的なサービスが公開されているWebサイトです。例えば、下記のようなサービスが公開されています。
次世代デジタルライブラリー:全文検索、画像検索ができる
書誌情報検索・可視化:図書資料の書誌情報・目次情報の検索・可視化
NDC Predictor:図書の書誌情報から日本十進分類を推測

Introduction to Digital Humanities: edx
Harvard Universityがedxで提供しているプログラムです。閲覧自体は無料で可能です。