自己解決能力を高める方法のまとめ&よくある質問【自己解決能力の高め方⑦】
「自己解決能力の高め方」というテーマで解説してきた本コラムの最終回は、これまでお話ししてきた総括的な内容をお送りします。
問題の切り分けや課題と問題の区別、環境の整備などが不可欠であるため、もし足りていない場合はぜひ現場で意識してください。
またフリーランスの方や経営者といった様々な立場の方からの、自己解決能力に関するご質問に答えた例もいくつかピックアップして掲載しています。
ご自分に近い立場の方への質問への答えを、ぜひ今後の参考にしてみてください。
※前回の記事はこちら
自己紹介
事業投資家の林周平(@HayaShu88)と申します。10社のグループ企業の経営と林経営塾を主催しています。
僕のプロフィールは以下をご覧ください。
【まとめ】自己解決能力を高めるために重要なこと
自己解決能力を高めるためには、問題の切り分けが必要です。
難しく思える問題でも、切り分ければ大体解決します。そもそも1人で解決しようとせず、チームの解決力を高めるためにも、コミュニケーションしやすい環境を作りましょう。
次に、課題と問題つまりイシューとプロブレムを分けて取り扱いましょう。
上司・仕事仲間との報連相を大事にしましょう。なんでも聞ける環境を作っておきましょう。
また問題解決力を高める三つの方法として、クリティカルシンキングと「参照枠を増やす」と「優先度づけを行う」というやり方があると話しました。
最後に、とりあえず石を投げてフィードバックを得て、次に進むという行動を紹介しました。
自己解決力を高める方法は以上です。
僕が自分のグループの代表たちに裏技として紹介した、あることがあります。
それは「困ったら林に聞こう」です。
ある一社の代表に対し、その社員たちが言いづらいことがあったとします。さらにその代表者も、社員に対して言いづらいことを持っていたとします。
その場合、両方の立場から僕に「こんな悩みがあって……」と言えるのです。言ってしまえば「何でもチクれる」のです。まさに何でも聞ける環境が作れている状態です。
僕らは、このような環境を意識的・戦略的に持ってるという強みがあります。そのために僕は常に弱い者の味方でいようと思っており、自分のグループでもし上に文句があるときはぜひ僕に言ってくださいと言っています。もちろん上の立場の人間も同じです。
自己解決能力の高め方に関するQ&A
Q1:正社員からフリーランスでグループにジョインしました。
独立するという意味で、「もっと自分ができなければならない」と思ってしまいます。
「問題の切り分け」を意思決定者にしてもらい、きれいに分割されたタスクを渡してもらえていると思っています。
そこまでしていただいてるのだから、きちんとした状態でないとタスク完成とは言えないと感じ、手間取ってしまいます。
「作業者」としてこれではいけないなと思います。
<林の回答>
組織で大事なことは相互依存です。
相互依存せずに1人1人が独立しているのであれば、それぞれが別の会社でしかありません。その場合、教育コストから企画から全部そっちで完成させてから渡してね、という座組になるでしょう。
そういった形よりも、組織とはもっとみんなで相互依存し合って支え合っています。そのためチームとしての効果が出るわけです。
この間、グループでこんなことがありました。
ある補助金について僕が調べて代表に渡したんですが、その代表も自分でその補助金について調べていました。せっかくこちらが調べて、代表の時間を増やしてあげているのにと怒りました。
しかしながら、本人は不安症なので自分で調べなければ気がすまなかった。そして既に精査した補助金について「この補助金どうでしょう?自社に合ってそうで良いんですが」と質問されました。質問させている僕も不甲斐ないんですが、「そんなに俺は信用ないか……だったら全部はじめから自分でやりなよ」という気持ちになりました。
このように、「意味のない時間」を産出しないように相互依存が必要です。
相互依存できる環境のために、報連相の徹底など信頼関係が重要です。良い意味で、独立しあって業務をしているわけではないのです。
依存とは悪い所もありますが、いい所もあります。
相談者さんが意思決定できるように、今はまず到達するための階段を作っていきましょう。その中で、自分に何が必要なのか、もしくは上司から見たときに、本人に何が必要なのかを見極めつつ、いい関係を構築してみてはいかがでしょうか。
Q2:上司に相談しやすい環境を作るにはどうしたらいいですか?
<林の回答>
僕は相談してほしいとは思っているものの、相談されるタイプではないのですが、例えるなら首根っこを掴んで「相談せえ!」と言って無理矢理に
でも相談を引き出します。
「絶対に三つ相談事を言ってみろ!」という勢いで聞けば、何かしら出てきます。
Q3:「タスク」と「業務」と「仕事」
以前同シリーズの勉強会でも聞きましたが、心理的距離は物理的距離に比例すると思います。というのも、うちの企業はセールス主体なためリモートに向いていないとつくづく感じるためです。
そのような環境下で「タスク」と「業務」と「仕事」を分けることの重要さを感じています。こちらも以前のシリーズで聞いたことです。
例えば私は部下に「とりあえずSNSを更新しておいて」という言い方をしてしまいます。すると部下も、具体性に欠けたタスクのせいで「やらされ感」があるため、本当にこれで良かったんだろうかともやもやしながらタスクを終えるそうです。
また、同じ社員にアポ取りをしてもらっており、かなり成果が出てきました。しかし、その成果が「次の段階へこのように繋がってくるんだよ」といったやりごたえみたいなことを私としては語っているつもりなのですが、本人的には「タスクにまみれている」という実感しかないそうでした。
<林の回答>
「仕事」とは、「業務」が連結して構成されています。さらに「業務」は「タスク」と同じように構成されます。
すると、タスクが集まり業務になり、業務が集まって仕事になり、仕事が集まってビジネスが成り立っていると理解できます。
この場合、「仕事ができる人」とは「タスク→業務→仕事」のうち、右側のまさに仕事の扱いに長けた人のことを指します。
例えば、リストの抽出とか、ひたすら電話をかけるというタスクはバイトさんでもできます。
しかしバイトだけ置いてもフォローする人がいなければ、質問できる相手がいなかったり、タスクとタスクの間に抜け落ちが起こったりと、当然業務は成り立ちません。
すると次には「業務ができる人」が必要です。テレアポならば代行業者さんに任せられます。
しかしながら、業者で代替がきくわけではありません。テレアポをしてくれる業者さん、テレアポをした内容に対して商談をする業者さん、そして役務提供してくれる業者さんを揃えれば会社が成り立つかといえばそんなことはありません。
代行業務の中からこぼれ落ちるイレギュラーな話、カスタマイズの提案などは山ほどあります。
この繋ぎ業務をやるのがディレクターです。業者さんはハンドリングする人なので、フォローする人が必要です。つまりそれこそが仕事全体ができる人です。
仕事ができる人=全体を動かせる人が、内部リソースとして枯渇すると、大体のケースにおけるボトルネックとなります。
企業文化もわかっていて、商材のイメージもわかっていて、クライアントについても把握していて、商談の流れや資料置き場など、全部がわかっている人が最も貴重です。
外に目を向けると、外注ですごい評判の会社は無限にあります。マーケティングで日本一とか、何でもです。ただ、そういう人たちに頼んでもどうせできない。なぜなら、所詮外部の人でしかないためです。そのできない部分をやる人たちが、正社員やフルコミットの方々です。
相互依存の話とも繋がりますが、タスクを進める人に価値がないわけではありません。
ただタスクを切り出すためにはその右にいる業務を切り分ける人が必要です。経営者からすると、一番右にいる「仕事」ができる人を作らなければいけないし、働き手も「仕事」ができるようになるべきです。
できるだけまるっと業務が任せられれば楽です。信頼の証ともなります。
しかしながら、なかなかそこまでには至りません。このため、1個1個解体して業務をつくり、Aさんは営業をやってね、Bさんはテレアポで……と細かく任せていきます。
レベルアップすれば、任せられる範囲が広がり、楽になります。このため右側(仕事ができる人)を目指すべきです。
人材教育の観点としては「仕事」ができる人を作ると、会社経営が楽になります。
社長とマネージャーとスタッフとバイトがいる場合、バイトさんは目の前のタスクにしか目が行きません。当然今何をやらされているのかがわかっていません。
したがって、ひたすらボタンをクリックするみたいな業務を進めます。業務が分解された結果です。
では、リーダー、社長、経営者たちは何をしているかといえば、ビジョンを見ています。
ビジョンとは、「俺たちはこうやっていくんだ」とか「会社をこういうふうにしていきたいな」などです。あるいは、イシューを見ることもビジョンに含みます。「こういう課題感があって、ここに対してこう売っていきたいんだ」というものです。
このように、経営者はイシューやビジョンに対して目線があるため、何のために目の前の業務をしなければならないのかが常に解っている状態です。
わかってはいても、それを語っていなければ次の役職であるマネージャーには伝わりません。
「とりあえず、これよろしく」とタスクを委譲するだけでは、「今まで盆栽の業務なんてなかったけど、社長の趣味でやるんだな」みたいにとらえられてしまいます。実はそこにはビジョンとか背景があるとは思ってもらえません。
ただ盆栽を売るのではなく、「この業務によって、会社がどう変わるか」を話しましょう。すると、次の立場にいるマネージャーが同じように「そうか、このビジョンのためのこの一歩だったんだ」と、情熱を持って燃えることができます。
それを継いだマネージャーは、スタッフに対して業務の説明ができるようになります。この会話を、上の立場から順番にしていくべきでしょう。当然ながら情報は非対称性があるため、上の人だけしか根本的な理念などを持ち得ていないためです。
当たり前ですが、経営者が物事を決めるのだから報連相が重要です。
このプロセスを丁寧に行うことで、目の前の「封筒を閉じて送る」といった業務であったとしても、それを誇らしく思えるようになります。プロセスをおろそかにしないことで、みんながハッピーになるならしない手はないのではないでしょうか。
※「ベンチャー企業に求められる、自己解決能力の高め方」記事一覧
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