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#小説
(童話)「半獣王β版 第二章」
二章
まだ夜が明けない、未明。眠ったふりをしていたラフティは、行動を起こす。予め準備して隠しておいた旅の荷物を取り出し、隣で眠る母親を起こさぬよう、そっと家を出る。ラフティの大きな旅が始まろうとしていた。
薄暗い歩きなれた道を歩き、村の出口までやってくる。門をくぐると、ラフティは母親への未練を断ち切るように全力で地面を蹴り走り出す。
振り向いてはいけない。今はまだ、前を向いて進まな
(童話)「半獣王β版 第一章」
一章
「いいかい、ラフティ。決して熊の形になってはいけないよ。耳と尻尾を出すのもだめ。ずーっと、いつだって人間の姿でいるんだよ」
母親が口癖のように言う言葉で、ラフティは目を覚ます。どうやら母親のその言葉を夢に見ていたようだ。
「あれ……」
いつのまにか、両耳がふさふさと毛の生えた熊の耳になっている。お尻には黒く丸い尻尾まで生えていた。どうやら寝ている間に、半獣体になってしまっていた
森の鳥人 砂漠の砦(※BL小説)
(※ ボーイズラブファンタジーの短編小説です。苦手な方はお控え下さい。)
『 森の鳥人 砂漠の砦 』 はやしひとみ 著
1
四方を砂丘に囲まれた高大な森を抜け、一行は森の出口から一番近い砂漠の街、パルクへ、あと半日ほどで到着しようとしていた。丸3日を要する旅の終盤だ。
パルクは貿易で栄える砂漠の都市。南の大国に比べさほど大きな街ではないが、森を通り砂漠へ出ようという旅人が必ず訪れ
ショート・ショート・ショート総集編① _〆(゜゜〃)
過去に書いたはやしひとみの【(ショート・ショート・ショート)_〆(゜゜〃)】を、抜粋ですが、解説込みでまとめてみようと思います。
当時こんな気持ちでこの文章を書いたんだっけ。とか、私も少し懐かしいです。
はやしの頭の中を少しだけ、覗いてみてくださいね。
2015,5,13
「 君は隣で本を読んでいる。私は窓辺で外を見ている。会話はない。ふと、君がどんな顔で本を読むのか気になった。君は私の視線には
まよバス!SS 「まよバス!」の4人と1匹のとある日常を書きました。ネタバレはないですが第1話を聴いていただいていると分かりやすいかもしれません。
「……大きい」
男子の、それもLサイズの制服に袖を通し、愛実がぼやく。しかし代えの服があるだけマシなので、贅沢は言えない。
着替えが終わった愛実は、理科準備室の外で待たせていた猛を部屋へ招いた。
「おー、やっぱデカいな!」
愛実の男子制服姿を見ると同時に、猛が明るい表情で元気な声を出す。
「大きいわね」
猛よりもふた回りは華奢な体格の愛実が猛の制服を着ているのには、理由がある。
昼
or FALLEN ANGEL (ショート・ショート)
ウミは電気を消した3階の部屋で窓の向こうに広がる夜空、一際大きく輝く月を見上げた。お気に入りのぬいぐるみを強く抱きしめて、嫌いな相手の名前をつぶやく。
ふと月が陰った。雲のせいじゃない、窓に当たる影は人の形をしている。月の明かりを妨げるその陰は夜空に堂々と浮かんでいた。
ウミは慌てて立ち上がり、窓を開けて影を見上げた。
「見えたわよ、黒い感情」
影が喋った。女であろうその声の主の背中には黒