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第2章 大日本主義の確立(日本人として生きることの決意)〜『大國民讀本』を読む〜(5)
前章で述べた通り、個人も国家も優秀(ゆうしゅう)になるには、しっかりした主義を持ち、ぐらぐら揺れることのない不動の方針を立てねばなりません。
ところが、我が国の思想界(考え方の世界)は混沌(こんとん、はっきりしないようす)としていて、これからどこへ行こうとしているのか全然分かりません。国家を支える大思想の、その本流(ほんりゅう)が確立していないのであり、これ以上の国家の大患(とても心配な病気)はありません。
もしも、
国家の考え方の本流がしっかり定まっていれば、すべての血管(けっかん)の血液が心臓に集まってくるように、国民それぞれの思想は皆本流に注がれ、国の勢いが盛んになって進展するはず
です。
そういうことから、
「日本はこれからどう進むべきか」という大方針、つまり大日本主義の確立が、我が国にとって一番急がねばならない課題(かだい)
となっています。
大日本主義というのは、日本の原点(げんてん、大本)に根ざした生き方を大方針とする考え方のことです。立ち位置を日本におきながら前に進んでいくわけです。
日本とはいかなる国か。日本の良いところは何か。
それを生かすには、どうしたらいいのか。そして、自分は日本人として何を成すべきか。大日本主義によってそれらがはっきりすれば、一人ひとりの生き方が定まってきます。国家は発展し、国民も心豊かになるでしょう。
では、大日本主義とはどういうものか、またどうあるべきかについて、3つに分けて説明します。
〜『大國民讀本』を読む〜(6)につづく
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上記は、昭和2年(1927年)1月25日に出版された、文部省認定・林平馬著『大國民讀本』の内容を、林英臣が、こども向けに“翻訳”したものです。
「戦前は立派だった」いや「戦前はひどかった」、「戦後、日本は良くなった」いや「戦後、日本はダメになった」などと、大東亜戦争(第二次世界大戦)で歴史を前後に区切ることが一般的です。
ところが、『大國民讀本』を読むと、日本は明治から既におかしくなっていたことが分かります。90年以上前の本とは思えない内容が本書に記されているのです。これから取り戻すべき日本の原点が、余すところなく示されていることに読者は気付くはずです。
戦前の日本の実態をよく知り、これから祖国再生を進める上で、心得とすべきことが沢山出てまいります。
昭和に入ってから出版された本ですが、90年以上前の内容ですから古典の意訳に近い作業が必要でした。そこで、子供から大人まで世代を超えて読んでいただけるよう、できる限り分かりやすく書きました。
親子一緒に学んでいただいていただいても、楽しい本になったと自負しています。また、明治以降の日本史を正しく学べる本として、読者のご研究の参考になれば幸いです。
意訳者 林英臣
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昭和2年に出版された著書ながら、今読んでも新しく、胸に突き刺さる指摘ばかりです。新しいがゆえに、我が国の抱える病巣や問題の根が深いことが良くわかります。
戦前の日本が良くわかる本『大國民讀本』
「林英臣の元氣メール(メルマガ)」で、こども向けに優しく噛み砕いて連載していた内容を、〜『大國民讀本』を読む〜として刊行しています。
これからnoteで、逐次紹介して参りますが、下記からお求めいただき、共に「日本の原点」を取り戻すべく、ご家族ご友人と学んでくだされば幸いです。
https://hayashi-hideomi.com/books
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