クリスマスの壺|#才の祭小説
高校1年生の冬。
学校から帰ってきた私は、
母の帰りを待っていた。
確か、とても、静かな夜だった。
じっと、待っていると、
母の車のエンジン音がしたので、
私は、玄関へ向かい、
ドアののぞき穴から、外を確認。
確実に、母。
ドアの鍵を開け、母を迎える。
『おかえり』
母は笑顔で、
『ただいま』
そして、私に、ケーキの箱を手渡した。
そのまま、居間へ向かうと、
母は、私に、
箱を開けるように言った。
中身は、クリスマスケーキ。
チョコレートの。
私が、ケーキを観察していると、
母は、見たことある袋を持ってきた。
『開けてごらん』
私が、袋を開けて、
中身を確認すると、
青いチェックのマフラーと、
茶色の手袋が入っていた。
そして、私は、
大激怒。
『私は、マフラーも、手袋も、まだ使えるものを持っている。もったいないやないか!!!』
私は、倹約家である。
そのことを
母は、忘れていたようだ。
母は、驚き。
開いた口が塞がらない。
私は、そこからの記憶がない。
あれから、15年。
私は、31歳の冬を迎えた。
今日は、11月15日。
流石に寒いので、
『明日からマフラーをしていくわ』
と言うと、
母がクローゼットから、
マフラーを持ってきた。
『怒られたマフラー🤭』と言いながら。
そう、いまだに、
その時のマフラーを使っている。
そして、
母は、このマフラーを見ると、
このエピソードを、毎回、話始める。
だから、
その後どうなったのかが、分かる。
その当時、
私が激怒したため、
『これは無印良品の、そんなに高くないもの。それに、買えるから、買ったんだよ。無理して買ったわけじゃないから…』
と、慰めたらしい。
そして、私は、
怒りながら、ケーキを食べ、
翌朝から、
そのマフラーを巻き、
手袋を装着して、登校したそうだ。
母は、毎回、
そのことを爆笑しながら語る。
そろそろ、忘れてほしい。
そして、無印良品は、丈夫だ。
おしまい。
※ノンフィクションです。
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今回は『才の祭』小説に、
応募してみました。
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