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ブル・マスケライト《仮面の血筋》100ページ小説No.2

前回までのあらすじ…

クラス全員が突如として碧い仮面になる。夢ではなく現実の様。主人公たちばなは恐怖に怯えながらも状況を見極め徐々に推理していった…

「そうだ、ブッダは?」
先生の真正面、1番前があいつの席。もしブッダも仮面が見えてれば最初に騒ぐはず、だがとくに変わった様子はない。いつも通り周りをキョロキョロしてる。
クラス全員のサプライズドッキリでしたとかなら最初に反応するはず。
つまりあいつは仮面を見えていない。僕だけなのか?…
そういえば、
何故かブッダには仮面がない!
朝から一緒だからしてたら当然気づく。するとこの教室に入ると仮面を着けるような仕組みではない様だ。でも逆に何であいつはないんだ?分からなくなってきた…。
「…たちばな!聞いてるのか?」
「あっ、はい」
「ちゃんと返事をしろ!」
先生の罵声とともに20人ほどの仮面達が一斉に振り向きじろっとこっちを見た。
まるで僕がここにいることが間違っているがっているかの様に見つめて来た。幻覚を見せられてるのか…?自然と背筋が凍る。また一瞬にして不気味な世界に戻された。
「次、女子…有村順子」
先生は淡々と続ける。
僕は念のため恐る恐る窓ガラス越しにみんなの顔を見てみた。
だがガラス越しでも変わらず奇妙な仮面をしている。
自分はもちろんしていない。自分の顔を触ってもいつも通り。
やはり仮面が見えてるのは自分だけ、そしてこの教室では自分とブッダ以外全員仮面をしている。なぜだ?まだまだ状況が掴めない。情報が少なすぎる。
「安和なみは休みだな」
「では今日の5時間目の美術だが明日の1時間目の体育と…」
そういえば今日は遅刻気味で誰も廊下ですれ違ってない。
他の人もそうなのか?学校中、仮面の可能性も出てきた。
とりあえず下手に動いて目立つのは危険だ、考えよう…そうだ!
1時間目に体育の人達がいれば運動場に来るはず。
うちのクラスは2階で窓から運動場が一望出来る。
真正面には旗が3つあるため少し邪魔だが仮面が有るか無いかぐらい分かる。

「では1時間目を始める。教科書の…」
早速、ぞろぞろと生徒が校舎から出てきた。体操着に赤のラインがある。一つ上の先輩達だ。なぜか仮面をしてるやつとしてないやつがいる?よく見るととくに女子の方がしてない気が…。しかしうちのクラスの女子は全員してるし…。
「キャア〜〜!」
運動場でひとりの仮面に女子が群がり騒いでる。
「何だ?騒がしいなあ?」
2階のこの教室にまで聞こえる黄色い声援に担任が反応する。
よく見ると髪の色は金髪、男?女?仮面で分からないが目立ってる。
うちの女子達が窓を指さし言う。
「そう言えば今日から一個上に転校生が来るって言ってた。あの金髪の人じゃない?」
「うそー?ハーフ?カッコイイ!キャー」
小声で騒ぎ出した。するとほかの女子達が反応しざわつき始める。
「静かに!」
担任が一言で一蹴させ、女子達が静かになる。
「お前ら静かにしろよ」
空気の読めないあいつが鼻をすすりながら振り向き言った。
いつもの俺なら気に留めるが今はそれどころじゃない。
もう一度、運動場に目を落とすと金髪の仮面がこっちの校舎を見てる。
自分が見たのに気づくと目を逸らした様に一瞬感じた。
「ん?今…気のせいか…。」
とにかく学校全員が仮面を着けてるわけでは無さそうだ。家族も仮面に見えるのかが気になるが、あいにく父が出張でそこに母と弟が会いに行ってるから帰っても誰もいない。
とりあえず、次の休み時間に仮面の検証と本人確認をしよう。全員顔は見えないし中身が違う可能性もある。まずはわかりやすい奴がいいな…
「じゃあここの文を…袴田!」
「はい!日常の風景の様な錯覚を…」

…休み時間になり、すぐに俺は前の席の林を小声で呼んだ。
「…はやし…林ー!」
「ん?今呼んだかー?」
背の高いメガネをした仮面が振り向く。おれは何も言わずに眉間にしわを寄せる。
「どうかしたか?」
林は言う。
「まず、お前の部活を言え!」
「なんだよ急に…放送部だよ」
林は答えた。
「じゃあ今日は何日だ?」
「今日?えーっと今日は十一月の一日だろ。それがどうしたんだよ?」
「どうしたもこうしたもない!とりあえず顔を見せろ」
そういいながら顔をあちこち触ってみたが仮面には触れれない。
「何んだよいきなり!」
怒り出す林の意見を今は聞いてる場合ではない。
「メガネを取れ!」
「は?」
「いいから!取れ!」
多分林は僕を睨んでるだろうがこっちは仮面で表情が読めない。
しぶしぶ林はメガネを取った。
「ヨシ、では最近変わったことはないか?」
「こっちのセリフだよ!何もねーよ。」
メガネを掛け直しながら少し強めに林が言う。
「じゃあ最近、顔の周辺に違和感を感じたりは無いか?」
「何の質問だよ、いきなり。でもお前の顔に着いてるのは見えるぞ」
「本当か!もしかして、み、見えるのか?」 
他にもいたのかと安心する前にすかさず林が言う。
「ああ見える。お前の死相がな」
そういいながら仮面の林は去って行った。
こいつはゴミだ。もうゴミでしかない。もし林が同じ状況だったらとっくの昔に叫んでのたうち回ってるに違いない。
俺だから冷静にここに座って死相くらいで済んでんだ。
「バカやろう、一生仮面でも着けてろ!」
心で思った。このままふて腐れそうだったがそうした事でこの世界に飲み込まれるのが落ちだ。気絶して僕の人生が終わるなんてあり得ない。理性で元の自分に戻した。
そう、今やるべき事は仮面の検証だ。 それにいつもの林ならそう言ってもおかしくない。むしろ中身が変わってなくて喜ぶべきだ。だからわかりやすい林を選んだんだ。それより少しでも情報収集を。次に検証出来そうな人はと辺りを見渡した。
「ん?人が少ない!」
よく見たら女子が一人もいない。不思議がってると得意げにブッダが言った。
「女子なら全員転校生を見に行ったぞ」
何故か苛立ちながら言う。
「お前も見てこいよ」
黙って無視しようと思ったが、冷静を取り戻す為に返した。
「行く訳ないだろう、だって男だぜ?」
予想通りの答えだ。この女好き(ブッダ)は変わってない。
しかし女子にも色々聞きたいが、いなくてはしょうがない。と言うかそもそも女子と話すのが苦手な僕は多分こんなときでも一部の女子しか話せないだろう。一部といっても一人だけ。隣の席の安和(やすわ)なみ。通称あわナミ。小学校からの幼なじみだ。しかしこんなときに休みとは使えん。とりあえずクラスの男に聞きまくる。今はこれしかない。ひとまず聞けるだけ聞くことにした。
「キーンコーンカーンコーン」
もう昼休憩。あれから4時間は経ったが仮面は消えず、すでに疲労困ぱい。当然食欲などあるはずがない。教室では男どもが仮面を着けながら飯を食ってるという不気味な光景が続く。女子はまた転校生のとこにでも行ったのだろう。誰もいない。いつもなら僕も食堂に行くが、今日はブッダだけ行かせた。

 さてもう一度頭の中を整理しよう…
教室に入ったら僕とブッダ以外仮面だった。
間違いなく今日からだ。
そして他の生徒、先生も仮面。
しかし仮面をつけてない人もいた。それは
自分と面識が無い」人だ。
運動場にいた先輩達に仮面が少ないのはそこだ。
むしろ関わりのある先輩の顔が見当たらなかった。
もし学校の中だけなら学校に原因がある。
最悪、来なきゃいいだろうしもし学校の外でもとなると
もしかして家族も多分仮面…。
ただ例外がいる。 
それは一緒にいるのが一番長いブッダだ。
しかもあいつと俺は一緒に教室に入ってきた。
ならあいつも仮面が見えてなければおかしくないか?
それかあいつは顔と認識されてなくて仮面じゃないのか?
AI認証システム的な?
いやこの辺はまだまだ予想の段階。
決めつけずこれから見極めていこう。
それともう一人例外がいる…
「金髪の仮面、転校生だ」
当然、自分とは面識が無いはず。
知り合いに金髪など聞いたことが無い。
このタイミングで現れたら当然気になる。
ただ今のこの状況だと女子だらけで話しかけるのは困難だ。
今日探るのは諦めよう。
 次に「仮面」事態の特徴を絞っていく。
両目と口以外は「碧い」それだけ。
そして全員同じ形。
ただメガネは仮面の前に来る。もちろんメガネを外せば仮面だけ。
つまり仮面だけ浮き出て見えるわけでは無いということ。
そして鏡で見ても仮面は変わらず映る。
今、分かってるのはここまでだ。
とにかくこの状況を変えないと…
疲れた…何だか目眩がする…

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