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ブル・マスケライト《仮面の血筋》100ページ小説No.5


前回までのあらすじ…


安和なみと栗原静恵も仮面について知っていた。
そしてあわナミは水口先生によりもう仮面が見えてないと言っている。
一気に解決の糸口を見つけた主人公だが果たして…⁇



あらすじや登場人物などの解説マニュアルです👇


 教室に戻るとブッダが寄ってきた。
「たちばな~助けてくれよ~」
「どうしたんだよ急に」
「クラスの女子にまた嫌われたんだよ~」
そんなことだろうと思った。少し気持ちに余裕ができていた僕は聞いてあげることにした。
「あまりにも転校生の話題をするから俺がキャーキャーうるせーなー迷える小鳥さん達はーって言ったら女子達が火がついてサルだのブタだのタヌキだのって言ってきてさー」
当たり前だろって僕は思った。
「そうしたら福良先生が来て、女子を敵に回すとあとが怖いぞーって一緒になって俺をいじめるんだよ」
「ふーん、それで?」
「あの福良先生、美人だろ?脚も長いし。その辺の女子に言われても何ともないけど俺、福良先生には嫌われたくねぇ〜んだよ~」
「そうか」
「しかもまだ結婚してないんだってさー」
何だこの会話は。今の僕にはブッダの言葉は全く響かん。いや、今でなくても…。話を適当に返し他にも仮面が見えてそうな人を探った。
やはり仕草などを見てもわからない。そうだ、
「あわナミはもう仮面に見えてないし表情が読み取れる。一度、仮面のワードを林に振ってみようか」
あわナミに話し承諾を得ると心よく引き受けてくれると言ってくれた。そしてあわナミに林を観察させることにした。

 授業中、前の席の林を呼び後ろを振り向かせた。
「何だよー?」
「林は小さい頃どんなヒーローに憧れてた?」
「ヒーロー?覚えてねーよ。しかし何でいま聞くんだ?」
「いいから」
「そーだなー…バットマンとかかな?」
「それはアメリカのヒーローな。じゃあ日本のヒーローでは?」
「日本かー。日本ならやっぱり…」
「やっぱり?」
「ウルトラマンかな?」
「いや仮面ライダーだろ普通。いつの時代の子だよ」
「何だよ急に聞いといて!俺の意見だろ?だったら何で決めつけんだよ!」
声が大きくなり過ぎたせいで先生が林を注意する。直ぐに林は僕をにらめつけ前を向いてしまった。
あわナミが小声で言う。
「どんだけヘタだお前…」
「…わ、わり〜」
「もっとあるでしょ、俺の顔にほくろ何個ある?とか顔が見えないと答えれない質問が」
「あ、そうだな!」
呆れたあわナミを横目に僕はほくろと聞いて急に思い出した。あわナミの仮面にだけ薄い点があるのを。
「そういえばあわナミ、右目の下にほくろなんてあったか?」
「そう、最近できたの。でもなんで?」
「お前の仮面にだけ薄い点があるんだよ。ちょうど右目の下辺りに」
「じゃあみんなほくろぐらいあるから仮面でもそう見えるだけじゃない?」
「それがないんだよ。みんなには」
「不思議ね。私だけって」
あわナミが仮面の頬を触りながら言った。
「とりあえず私が「し・ぜ・ん・に」クラスの子に調査しとくから帰りに一緒に帰りましょう」
あわナミの「自然に」の言葉に一言多いなと思いながらも無視して答えた。
「分かった。俺も他に仮面が見えてる奴がいないか調べる」
休み時間を使い聞いて回ることにした。

 帰る頃すぎてまで時間が掛かったがクラスの男子は一通り調査した。しかし誰も仮面を見えていないようだ。時間はもう夕方の5時半を周りだいぶ遅くなり過ぎたと慌てて校庭の門を出るとあわナミが待っていた。
「悪りい、遅くなって。そっちはどうだった?」
「遅いわほんと!残念だけど女子は誰も仮面は見えてなさそう」
「そうか。こっちも一緒だ。クラスの中では3人だけみたいだな」
別のクラスも明日聞こうと話しながら二人はゆっくりと歩き出す。
「そういえばさっき門の前にでかいリムジンの車が止まってて金髪のうちの生徒が乗って行ったけど誰アレは?」
「あーそれは昨日から来た一個上の転校生だよ。そういえばアイツも仮面があるんだよ!」
「アイツも?どういうこと?」
「俺には仮面にしか見えないんだ。知り合いでもないのに…」
「待って?仮面に見えるのって全員でしょ?だって栗原さんそう言ってたよ」
「???」
「そんなわけない。俺と関わりのない人は仮面が無く普通に顔が見えてる。栗原と俺は見え方が違うのか?」
また謎が増え、混乱してきた。
「私は一昨日から家族と水口先生しか会ってないから分からないけど…」
「そういえば先生に治してもらったって言ってたな。詳しく聞いていいか?」
「いいけど…」
一瞬足が止まり考えている。そしてまたあわナミは歩き出した。何やら言いにくい話の様だ。あわナミは髪をかき分けながら決心したかの様に言った…

 「一昨日のこと、前の日から父と母はいつものように夫婦喧嘩していた。そして次の日の夜も同じように…。聞きたくもなく私はずっと部屋に閉じこもっていた。すると母の「もう離婚よ!」と声が聞こえてきた。慌てて部屋を出て行くと二人とも「仮面」だった。恐怖とショックでその場から逃げ、次の日も部屋から出なかった。父と母は昼になりやっと私を説得しに来た。でも私はドアを開けなかった。ただただ怖かった…。そこへ夕方、水口先生が来た。ドア越しにずっと私をなだめてくれた。そして先生も「仮面が見えるから安心して」と言った。それを聞いてようやく私が扉を開けると先生は直ぐに私の名前を呼んで抱きしめた。ほんの一瞬だけ先生も仮面だったのが分かった。その後、父と母も私を抱きしめてくれた。その時にはもう誰も仮面じゃ無くなっていた。そして父と母は「ごめん…ナミ」と私に謝った。後で聞いたけど先生は父と母にも離婚をしないように説得してくれてたみたい」
 もう夕暮れの赤い空が暗くなりかけ夕陽の形が崩れたのと同じタイミングであわナミの話が終わった。
「そうだったんだ…」
僕はそれ以上かけてあげる言葉が見つからなかった。ただあわナミの歩幅に合わせて歩いてた。
「でも二人の方が辛いよね。みんなの顔が見れないって不安だよね。いまだに仮面なんだよね。私の顔も…」
「うん。でも明日には外れるから…今日はありがとう。悪かったな言いたくもない話もしてくれて」
「ううん、全然。出来ることは協力するから。それじゃあまた明日」
そういうとあわナミは家へ帰って言った。
 一人でゆっくりと歩く自分の足音と柔らかい鈴虫の声が鳴り響く中、僕は誰もいない家に帰った。
「ただいま」
もう家では何も無かったように振る舞う自分がいた。特に仮面のことは忘れて…
「そういえば隣のおばちゃんにもらった肉じゃがが冷蔵庫にあったな」
すぐに取り出し温めるだけのご飯と肉じゃがを一緒にレンジで温め、その間にシャワーを浴び目を閉じるとあわナミの小学生の頃を思い出していた。性格は今と全く変わらない。顔はやっぱりちゃんと思い出せない。あれからもう高校生。それなりに大人になってきた。同じ学校でクラスも一緒か。そういえば父と母もそんなこと言ってた。しかも僕の今いる私立上野ヶ丘高等学校で二人共一緒だ。うちは中学受験からのエスカレーター式で高校も上がれる為、幼馴染みも多い。似たような関係に少し親近感が湧いていた。そういえば父達の時よりは校舎は最近建て直して新しくしたけどあの図書室をあえて古いままにしたってことは、父達もあそこで育ったのか…。それでもあの雰囲気はあまり得意じゃない。
「ピーピー」
入れっぱなしのレンジが呼んでいる。さっさと洗い流して昨日の父のパジャマを着る。レンジから肉じゃがたちを取り出し机に並べリモコンを手に取った。
「うわー!」
衝撃なことにTVの中の人まで仮面だらけ、あまりの気持ち悪さに直ぐに消した。不意を突かれ心臓音が鳴り止まない。
「もういい、疲れた」
食欲が一気に無くなってしまい鳥肌が止まらない。しかしネガティブな思考が襲ってくる前に頭を切り替えることに専念した。
「どうせ明日には元に戻るんだ。逆に楽しめ俺!」
意味もない言葉で自分をなぐさめながら肉じゃがを無理やり胃袋に詰める。
「明日は家に帰れば母と弟が帰って来る。みんなの仮面も外れ全てが元通りの日。大丈夫!」
そう言いながらふと栗原が頭に浮かんだ。アイツも凄いな。よく学校に来てるよ。それなのに男の僕が弱音を吐くなと奮い立たせつつ今日もリビングで寝ることにした…。


 次の水曜日、朝早くから起きてお皿を洗い、リビングの掃除を済ませる。母達が帰って来るからだ。4日間も泊まりで出張中の父の所へ遊びに行ってる。僕を置いて。まあ僕は高校生だし弟はまだ幼稚園だから仕方ない。きっといいお土産でも買ってきてくれるだろう。そう、仮面生活も今日で終わりだし。そう言いながらいつものようにパンを準備し目玉焼きを作る。チーズを乗せトースターのタイマーをセットした。
「ピーンポーン」
インターホンが鳴った。直ぐに隣のおばちゃんかなと思った。確認もせず僕は玄関を開けた…
「誰もいない…」
たしかに音は鳴った。おかしいと思い、一度リビングに戻ってインターホンの画面を確認した。後ろ姿の人が玄関を離れる様に走って行った映像が残ってる。動きが速くこれだけでは大人か子供かもわからない。
「誰だ?」
不思議に思いながらもトースターからパンを取り出した。
「また粉チーズ忘れてた…もういいかな」
いつものルーティンはとっくに崩れた僕は諦めて食べ始める。
「ピーンポーン」
再び鳴った。今度は直ぐに画面を確認した。仮面だ!一瞬驚いたが冷静に観察すると
黄色の薄いエプロンをしている。あれは隣のおばちゃんの様だ。直ぐにまた玄関を開ける。
「隣の田村ですー。たしか今日の夕方帰って来るんだったよね?これ乃斗ちゃんに渡しといて。あと今日お母さんがご飯作らなくてもいいようにカレー作っておいたから」
「あっすみません、ありがとうございます」
おばちゃんからカレーと弟にお菓子をたくさんもらった。直ぐに帰ろうとするおばちゃんを僕は引き止め聞いてみた。
「あのーさっき一度うちに来ませんでしたか?インターホンが鳴ったんですけど?」
「いや、来てないよ」
「あっならいいです。他の人だと思います。たくさんありがとうございました」
おばちゃんは手を振り戻って行った。
「おばちゃんじゃないなら一体誰だったんだろう?」
そう考えながら辺りを見渡すと空が薄暗いのに気がついた。
「雲行きが怪しいな、ひと雨降りそうな予感」
そう思いながら下駄箱の傘を取り出し玄関に準備した。その時、ポストに何か挟まってるのに気がついた。近づくとそこには橙色の封筒があった。僕は直ぐに手に取った。触った感触は和紙のような柔らかい手触りで直ぐに高級なのが伝わる。だがその高級さから普通の家に届いたというあり得ない違和感が自然とよぎり封筒を持つ左手から嫌なオーラを感じる。しかしもう僕の手の中にあるという事実に変わりはない。この封筒に引き寄せられるかの様に僕はゆっくりと封筒を裏返した…
中央に赤い焼印…
その焼印を見て鳥肌が立ち一瞬で青ざめ愕然となった…

「仮面のマークだ…!!!!」

見た瞬間仮面以外の目に映っている全てのものが歪みだし一瞬にして別世界へと吸い込まれる様な感覚に落とされた…
「落ち着け。大丈夫、仮面は今日学校に行けば終わるんだ。入れたのは間違いなくさっき来た誰か。だが何のために…。」
怖くて封筒は開けられない。僕はここで開けずに学校へ持って行き、水口先生に見てもらう事にした。
 背筋が凍りついたように足取りが重いまま制服に着替え、家を出る。この不気味な仮面の封筒を持って…。

家を出ると直ぐに雨が降ってきた。僕は封筒が濡れないように制服の胸ポケットにしまい傘をさし歩き始めた。雨と封筒のせいでネガティブな思考が動き出し身体全体を包み込んできた気がした。
「うちにこの封筒を入れたということは僕が仮面のことを知っているから。つまり、僕を知る人物で俺が今も仮面に見えていることを分かっていてこの封筒を出してる。誰だ…何の目的でこんなことを…?」
もしかして今こうやって歩いてる間も観察されてるのではと思うと怖くなりさらに僕の足取りを重くする。まるでくさりに繋がれてた鉄球を引きずってるかの様になっていた。それでも少し横からくる雨に肩を濡らしながら一人学校へ向かった。
 何とか教室までたどり着き呼吸を整えてから後の扉を開ける。当然まだ仮面の教室。周りはいつもと変わらない様子で各々話をしている。だが僕は今までより仮面の視線を感じる気がした。誰かが常に自分を観察してると…。震える肩を抑えつつ静かに自分の席に座った。
「おはよう。たちばな大丈夫?」
隣から聞こえる声はあわナミだろう。首を縦に振りあわナミの方は見なかった。しばらくしてその様子を察してか、それ以上何も言ってはこなかった。僕は少し栗原の様子が気になったがただひたすら机に目線を落とし水口先生を祈り待った。そろそろチャイムが鳴る。
「ガラガラ~」
教室の前側の扉が開く。僕は下を向いたまま目線を扉に向ける。
「おっすー!うわー雨でズボンビシャビシャだー、最悪ー」
絶妙のタイミングの悪さでブッダが現れる。
「時間もピッタリ間に合ったぜー」 
僕と真逆のテンションにいつも以上に引いてる自分が抑えきれず表へ出る。
「何であいつだけ仮面じゃないんだ。むしろあいつだけ仮面の方が…」
イライラが募りすぎてネガティブな心がブッダを攻撃し出している。
「キーンコーンカーンコーン」
もうチャイムが鳴ったが中々先生が来ない。嫌な予感が頭をよぎりさらに視野が狭くなりだすのが自分で分かる。その反面耳だけは反響するように聴こえ出し教室中に外の雨音と耳鳴りが響いていた。

10分が過ぎた頃ようやく先生が入って来た。そこには大きい体とは正反対の姿があり、スカートが見えた途端にすぐさま落胆した。あわナミは横で僕の顔を覗き込んでから先生を見直している。
「すみません、今日も水口先生がお休みのようです。」
優しく福良先生が言う。その言葉を聞いて栗原がこっちを振り返った。あわナミと目が合いすかさずあわナミが質問する。
「先生、何で休みなんですか?」
「それが…まだ連絡が来てないみたいで…。分かり次第みなさんに連絡しますね」
困った様に福良先生が言う。
仮面のあの日から水口先生は来ない…そしてこの手紙といい嫌な偶然が重なっている。大きなショックと共に今日のこの流れを反発する言葉が生まれてくるどころか徐々に血の気が引いていき、予感ではない何か自分の中の「潜在意識」が勝手に言葉を作り出し発し出した。

『動き出した…そしてここから始まる…』

 アゴに手を当て生まれたその言葉はまるで他人事のようだった。今日はもう仮面を外せないと理解したはずの自分とは到底思えない言葉。いつもなら思考がおかしいと冷静になって改めようとするが今は全く揺るがない。まるで恐怖を受け入れたかの様に慌てない自分になっていた。信じられないくらいに冷静な僕はこのまま状況を判断する。
 まず栗原はいつも以上に背中を丸めてショックを受けている姿を見つめた。仮面が外せる唯一の先生に会えないと分かれば自然だ。きっと僕たちが声をかけてあげないと辛いだろう。そして隣のあわナミの性格上何かこの状況を変えないとと思いアクションを起こそうとする。すぐに前のめりになる傾向がある彼女の昔からの性格はこの状況でも手に取るように伝わってきた。
「とりあえず2人を集めて状況を把握する。まだ情報が足りない。3人のこれまでを情報交換するのが一番重要だ。昨日の帰りあわナミが教えてくれたように栗原が話してくれればいいが…」

 昼休憩、3人でまた図書室に集まり昨日の席に座った。そして僕から切り出す。
「まずは栗原大丈夫か?俺も今日直ぐに仮面は外せると思っていたから本当に今は辛いと思う。でも諦めず一緒に頑張ろう」
栗原はゆっくりと頷いてくれた。そして僕は話を進める。
「水口先生は今日来ないと思う。このタイミング、この状況、そしてあわナミの仮面を外したことを考えれば…きっと先生は何らかの事件に巻き込まれてる可能性だってある」
二人は驚いた。
「でも二日休んだだけで急にそんなこと…」
あわナミのその言葉に僕はさらに強く言い出す。
「これはもう偶然じゃ無いんだ、聞いてくれ。もちろん原因は仮面。そうなると仮面が見えてることに何かがあり、そしていずれ俺たちも巻き込まれる可能性もある」
「ちょっと待って!今は仮面が見えてるだけでも大変なのに事件って言われてもそれどころじゃないでしょ?栗原さんの身にもなって話してよ!」
あわナミが栗原を心配し見つめながら言った。
「もちろん最初は恐怖をあおることは避けて話そうと思ってた。でもこれを見てくれ。今日の朝、うちのポストに誰かがこれを入れたんだ」
そう言うと、例の封筒を取り出し机に置いた。直ぐにあわナミが手に取り栗原と眺めた。仮面の焼印に気が付くと栗原は両手で口を押さえあわナミは封筒を持っていた手をすぐ離した。机に落とされた仮面の印が奇妙に笑ってるようにも見える。
「な、何よこれ…完全に嫌がらせでしょ!」
「嫌がらせにしてもこれを送った奴は仮面の事を知っている。そして俺が今仮面が見えていると知って送りつけた人物であるという事だ」
「そして今仮面のことを分かってるのが俺、あわナミ、栗原、水口先生の4人。この4人ではない誰かが封筒を送ってきてる可能性が高い」
「それは分かったけど…じゃあ誰なの?」
「分からない…しかし少なくとも俺達の近くにいることは間違いない」
「一瞬ゾッとした。近くって同じクラスってこと?」
栗原を見ながらあわナミが言う。
「そうかもしれない。少なくても学校の誰かであることは…」
二人共黙ってしまった。
「でもお陰で情報も得れた。それは仮面を見えてる人に何らかの特徴があるという事だ。そうでなくては俺が見えてるとは分からないはず。見えてもない人にこんなものをわざわざ送るはずがない」
「確かに…」
「そして俺は仮面の特徴を調べてた。あわナミの仮面に右目の下に薄い点があるの栗原見えるか?」
「…えっあ、コレかな。うん、確かにある」
「他の生徒の中にもあるのかを調べたが誰にもなかった。でも今日、もう一人ある人を発見した」
「えっ!誰?」
「それは…福良先生だ!」
「福良先生?」
「そう、あわナミの仮面と同じ様に右目の下にあった。でもあわナミの顔には同じ所にほくろがある。あわナミ、先生ってそこにほくろあったか分かるか?」
「いや無かったと思うけど…後で確認してみる。でも何で私と福良先生だけなの?」
「そう、それなんだ。みんなにも顔にほくろがあるのに仮面には何もなくただ碧いだけなんだ。でもこれを俺に送って来た人物はきっと俺の仮面に何か特徴があるから送ってきたはず…。そう言えば昨日、あわナミに聞いたけど栗原は皆んなが仮面に見えるって言ってたけど本当か?」
「うん、私には全員が仮面に見える…たちばな君は違うの?」
「そうなんだ。俺には全員じゃなくどうやら自分と関わる人だけらしい…つまりこの時点で2種類の見え方が存在してると言うこと。でも自分から見て特に栗原の仮面に特徴は見られない。栗原、逆に俺の仮面に何か特徴はないか?」
僕は栗原の方を見た。栗原は僕の顔を見るどころか何か言うのをためらってるかの様に下を向いている…。
「どうした?」
「……」
栗原に聞くと少し間を置いて決心したかの様に顔を上げてこう言った。
『たちばな君の仮面だけ…右半分が黒いの…』
「!!!???」
衝撃が走った…

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