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ミステリー小説『大正スピカ』

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透視と占いの対比や神職と政府の表裏をテーマに構成したミステリー小説です。 過去に出会った霊能者さんたちから聞いた話をもとに、私たちでは知り得ない世界の仕組みを盛り込んだオリジナル…
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記事一覧

大正スピカ-八咫烏の選別-|第1話|違和感

「いつも悪いねぇ、こんなにいただいて」 「いいのよ。鈴子さんには、いつも世話になっとるで…

早坂 渚
10か月前
52

大正スピカ-八咫烏の選別-|第2話|哀愁

過去に、何度も神主に救われている鈴子。 鈴子がこの村に移住できたのも、彼のおかげだった。…

早坂 渚
10か月前
52

大正スピカ-八咫烏の選別-|第3話|宿場

4人は、炬燵を囲い、暖を取りながら食事をしていた。 鈴子は、亡くなった裕次郎も、一緒に囲…

早坂 渚
10か月前
48

大正スピカ-八咫烏の選別-|第4話|守護

料理を提供し、4人とできるだけ距離を保つ。 鈴子は、台所の隅でしゃがみ込み、震えていた。…

早坂 渚
10か月前
42

大正スピカ-八咫烏の選別-|第5話|施し

神社の上空を眺め、怯え始める周。 「どうして行きたくないの?」 「だって、お空が真っ黒く…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第6話|狭間

「もしかして、周、見えるのかい?」 鈴子は、聞かずにはいられなかった。 この世に生を授か…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第7話|滅日

能力を持つ者は成人後、一定の年月を経て、現実世界へ解き放たれる。 表と裏、両方の世界を知り、初めて、世の為人の為になるのだ。 通常、霊能者は、24〜27歳でその分岐点が来る。 これは、算命学でも表されていること。人は、8の倍数、9の倍数で、新たな節目が来る。 つまり、三度目の節目に、能力の分岐点が来るということになるのだ。 神主は、店に入った時から、鈴子がその分岐点にいる人間だと、すぐに分かった。 にもかかわらず、鈴子は見えざる者を迎え入れていたのだ。 神主はす

大正スピカ-八咫烏の選別-|第8話|平然

「細心の注意を払い、発言すること。これを守らなければ、お前は救われん」 全身が痺れるほど…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第9話|子孫

二人は、何も言わず、その場を立ち去った。 心配した村人たちが、後を追う。 「大丈夫です。…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第10話|再来

二人は、飲み屋街の裏路地を歩いていた。 裏路地は薄暗く、店の名前が入った提灯の灯りが、所…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第11話|埋蔵金

男たちが、鈴子の家を占拠し始めてから三日。 村長はあれから、表に出てきていない。 村人た…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第12話|神職

「鈴子さん、聞いてます?」 完全に上の空だった鈴子。 目の前にいる駿河に、焦点が合ったそ…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第13話|御告げ

鈴子は無事、京都に着いた。 30年前の記憶が蘇る。 西洋の文化を取り入れ、街の雰囲気は変わ…

早坂 渚
10か月前
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大正スピカ-八咫烏の選別-|第14話|十字架

政府上層部の人間が集う中、和太鼓の音に合わせ、竹笛が吹かれる。 高貴な着物を着た神職最上位の男たちが、列を成し、登場すると、舞台に降りていた薄紫の目隠しが上がり始めた。 壇上の中央に一人、鎮座しているのが見える。 その姿が徐々に明らかになっていく。 天皇陛下だ。 王冠の髪飾りが揺れている。 両端には、4名の付き人らしき男が、両手を組み、仁王立ちしている。 その中の一人が仕切り始めた。 「これより、神官の儀を行う。平塚國弘、壇上へ参れ」 狩衣を纏った國弘。