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【3、意味なんてないとしても(独り言多めの映画感想文、『本心』)】
意味なんてない。そもそも意味あるものがこの世に存在しないとした時、浅野いにおの作品群が頭をよぎった。消去法で生きているような温度が、妙に心地良い時がある。
主人公とワケあって同居していた女性。いつしか男に想いを寄せるようになっていた心。本来「その人」しか見ることのなかった表情が、ゴーグルを通じて依頼主と共有される。生きるための手段と本当の思い。それもまた個人の選択。愛か金か。失って初めて気づく豊かさ。
ただ根本全てに意味なんてないとしても、それを創造するのが、できるのが人間であって、ただ食べられればよかったものを、調理して、味を整える。豊かさを生み出す。事実ではなく真実を。冷たい事実よりあたたかな心を。
気づくことが、だから何より大事。
最終、バーチャルフィギュアとして再現された主人公の母親が「最期」として、本当は死ぬ前に伝えたかったことを口にする。
〈どうしても伝えたかった〉
どんな重大なことをかと身構える主人公をよそに、不意に、本当にあっけらかんと口にする。
世の母親が当然として、当たり前として抱く前提。
本心にして核心。この物語の核を、是非とも映画館でご覧ください。